何故、ジャッジミスが起きるのか。

先日、私はこんなツイートをしました。


実は、私が本当に言いたかった事はこのツイートの内容そのものではありません。
本当に言いたかったのは「じゃあ、ジャッジはどうなの?」という事です。

あれだけ理解を深めてくれたプレイヤーに対して、ジャッジから寄り添おうとしてくれましたか?
良くも悪くも慣れてしまい、惰性でジャッジ稼働に臨んでいませんか?
ポケモンカード対戦の機会が極端に少ないジャッジが多くないですか?
疑問に思う事が他にもたくさんあって、もやもやしていました。

SMシリーズにて訪れたポケモンカードブームより前は、私のツイートにあるように、ジャッジに対する理解はあまり浸透していなかった覚えがあります。一部のプレイヤーの中では「ジャッジを信用してはいけない」「ジャッジは敵だ」というような過激な思想も存在していたようです。
ですが、ポケモンカードゲームの競技人口が増え、現公認ジャッジ制度が浸透していく中で、少しずつジャッジに対する理解は広がっていきました。
双方がより良い競技環境を作るために、お互いを必要とし、信用し合う事で素敵な信頼関係を築き上げることができたのです。これは本当に素敵な事だと思います。

ですが今、その信頼関係にひびが入っているのではないか。
このままでは壊れてしまうのではないか。
そう思わずにはいられなくなるきっかけとなったのが、ポケモンカードゲームCL2020愛知です。

まずは配信のコメントで厳しい意見が飛び、Twitterでも話題になった『配信卓で起きたジャッジ案件』について、私が知っている事を書いていきます。
ここから先、少し長くなりますが最後までお付き合い下さい。

☆案件1

CL2020愛知
TOP16
キムラ選手(ミュウツー&ミュウGX+カラマネロ)
vs
マク選手(アルセウス&ディアルガ&パルキアGX+ザシアンV)

YOUTUBE公式アーカイブ→https://youtu.be/-8Zy5rgsnTA
9時間24分頃

問題のシーンの流れ

マク選手のターン
バトル場のアルセウス&ディアルガ&パルキアGXに鋼エネルギーをつける。

エネルギーつけかえを使用。
ベンチのザシアンVについていたオーロラエネルギーを、バトル場のアルセウス&ディアルガ&パルキアGXにつけかえる

博士の研究を使用。
手札を全てトラッシュし、山札を7枚引く。

アルセウス&ディアルガ&パルキアGXのオルタージェネシスGX(追加効果有)を宣言。

キムラ選手のターンが始まり、プレイも進行する。
約30秒後、裏で配信のモニタリングをしていたジャッジCが配信卓上に登場。
配信卓右側にいたジャッジBに『マク選手がエネルギーつけかえでオーロラエネルギーをつけかえていた』と伝達。

左側にいたジャッジAにも伝わり、プレイにストップがかかる。

ジャッジAが状況を整理し、裁定を両選手に伝える。

・ジャッジが下した裁定
①オーロラエネルギーはベンチのザシアンVに戻す。
②オルタージェネシスGXの技宣言は有効とするが、追加効果は無しとする。
③エネルギーつけかえは使えなかった事とし、マク選手の手札に戻る。
④気付かずにプレイを進めたキムラ選手に警告。
⑤盤面修復不可のプレイエラーをしたマク選手にサイドペナルティ1。

☆本当はどうなるべきだったのか

・エネルギーつけかえを宣言したマク選手がオーロラエネルギーをつけかえた時点でプレイヤーorジャッジが止める。

この時点でプレイを止めることができていれば「あぁ、マク選手はテキストを誤って認識してしまっていたんだね」で済んでいました。が、そうはならなかったので、この記事を書いているという事を分かっていただけたら幸いです。

問題のシーンを良く見てみると、マク選手のエネルギーつけかえ宣言直前にジャッジAが『キムラ選手のデッキの下にGXマーカーが隠れてしまっていることを指摘し整理を指示』している事が分かります。
この状況でジャッジAが問題のマク選手のプレイを即座に指摘し、ゲームを止めることは困難だった可能性があります。
しかし、これは「タイミングが悪かった」で片付けられることでは到底ありません。なぜなら、卓付きジャッジは2人だからです。
……マク選手側に立っていたジャッジBは一体何を見ていたのでしょうか。


・マク選手のエネルギーつけかえ宣言時に場のポケモンについていた基本鋼エネルギーを別のポケモンにつけかえる。

ジャッジAが下した裁定では、エネルギーつけかえは使えなかったとしてオーロラエネルギーがザシアンVの元に戻るのみとなっていますが、エネルギーつけかえ宣言時、マク選手の場には基本鋼エネルギーが付いたアルセウス&ディアルガ&パルキアGXと、基本鋼エネルギーが付いたザシアンVがいました。
本来ならばどちらかについていた基本鋼エネルギーを別のポケモンにつけかえて処理するべきでしたが、そうはなりませんでした。
ジャッジ3名で状況を整理しながら、最終的にはジャッジAが下した裁定ですが、他の2名はそのことについては特に言及しなかったのだなという事が分かります。

・エネルギーつけかえ宣言後に博士の研究を宣言、使用しているので、エネルギーつけかえはトラッシュに置く。

エネルギーつけかえは使えなかったとして処理されるのであれば、エネルギーつけかえがあるべき場所は手札ではなくトラッシュのはずです。
博士の研究が宣言されたのは、オーロラエネルギーをつけかえた直後なので、ジャッジAが気付く事は困難であった可能性があります。
しかし、これは「タイミングが悪かった」で片付けられることでは到底ありません。なぜなら、卓付きジャッジは2人だからです。
……マク選手側に立っていたジャッジBは一体何を見ていたのでしょうか。


ジャッジが2名いる状況下で起きてしまった痛恨のジャッジミス。
ジャッジだけでなくプレイヤーにも言える事ですが、疲れや集中力低下、体力的な問題等があった事を前提に敢えてこのように書きました。
この時すでに11戦目。普段なら気付く事にも気付けず見逃してしまったという可能性は十分考えられます。
だからこそ、卓付きジャッジは複数人であるべきだと思いますし、互いを支え合うチームプレイが大切だと考えています。責任重大な重要な役割ですが、仲間がいれば乗り越えられると思える事もありますよね。

2人だからこそできるジャッジングもあったはずなのに、コミュニケーションが不足していたのでは?
サブのジャッジBには、メインでジャッジをするジャッジAを支えなければという自覚が欠如していたのでは?
終わってしまったことなので、考えても仕方ない面もあると思いますが、やはり疑問が残ってしまいます。

☆配信卓はポケモンカード界の顔

ご存じの方も多いと思いますが、CL当日の配信卓の様子は、会場内のモニターだけではなく、インターネットを通してライブ配信されています。
普段からポケモンカードの対戦を楽しんでいるプレイヤーだけでなく、ポケモンカードを知らないどころかポケモンを知らない人まで観戦することができます。
私は「配信卓はポケモンカード対戦の世界の顔のようなもの」だと考えています。
そんな舞台のジャッジを担当しているのは、株式会社ポケモンの社員ではなく、試験に合格し、公認ジャッジの資格を取得したオーガナイザージャッジ。ポケモンカードプレイヤーです。
株式会社ポケモンの社員よりも、普段からポケモンカード対戦に触れ、ルールやロジックについて考察をしているオーガナイザージャッジだからこそ公式から任されていると思うし、よりプレイヤー目線でジャッジングができるジャッジの存在はとても価値があるものと考えています。


☆CL当日のジャッジは全員同じ立場ではない

配信卓のジャッジを担当するのは、基本的には赤腕章以上のジャッジです。
……なにそれ?

ジャッジについてあまり知らない方にとっては何の事か分からないと思うので、ここでジャッジの種類についてお話しておきます。
ジャッジチームの事について触れられる機会は殆ど無いのが現状です。話せない事、話し辛い事があるのかもしれませんが、私はもっとジャッジについて知られるべきだと思っているので、私が知っていることを発信しようと思います。
CLやシティリーグ等のCSPレースに参戦予定の方は頭の隅に置いておいてもらえたら嬉しいです。

CLで稼働しているジャッジには全部で3つの立場、役割を与えられています。
①腕章をつけていない『ジャッジ』
会場内を巡回している、プレイヤーの皆さんが一番お世話になるジャッジです。フロアジャッジなんて呼ばれてたりもします。
カードやコインが落ちた時に代わりに拾ってくださったり、対戦中に起きたルールに関する問題を最初に解決しに来てくれます。

②赤い腕章をつけている『シニアジャッジ』
会場内で時々見かけるジャッジです。配信卓や、シニアリーグ、エクストラレギュレーションを担当していることが多いです。
腕章無しのジャッジより、ポケモンカードの知識や経験があり、ジャッジングについても優秀だとされている方です。

③紫の腕章をつけている『マスタージャッジ』
会場内では殆ど見かけることが無い、ジャッジの最高責任者です。
大会主催の責任者以外で唯一、大会のルール判断に対する最終決定権を持っています。
CLでは、ジャッジのチーム分けや担当エリア決定、シニアジャッジ担当者を任命したり、CL当日ジャッジ全体に指示を出したり、発生した問題を解決したり、ジャッジチームの頭脳として活躍しています。
準決勝、決勝戦等でジャッジをすることがあります。

CLでは、ジャッジの下した裁定について不服がある場合、別のジャッジに裁定の見直しを要求する『上告』が可能となっています。
上告を要求すると、次に裁定を下すのはシニアジャッジです。その裁定にも納得できずに上告した場合はマスタージャッジにより裁定が下されます。

※上告について知らない、分からない方は、ジャッジのゆうさんの記事『上告の権利ってしってますか?』(https://note.com/shimoyuu/n/nfdef61d71d6e)を読んでみてください。
上告についてとても分かりやすく解説してくださっています。


このように、CL当日のジャッジにはそれぞれ違う役割が与えられています。

最近、新たに『レベル制度』が導入されました。
新人ジャッジや稼働経験の少ないジャッジはレベル1からスタート。レベル2→レベル3とレベルアップしていきます。現在はレベル3が最大のようです。今回のCL2020横浜大会では、レベル2以上のジャッジを中心に稼働するようです。もちろんレベル1の方もいます。

ジャッジ稼働の実績や、ジャッジングに対する姿勢等を評価されレベルアップ。ジャッジ全体のモチベーションアップに繋げ、『今後のポケモンカードの競技を支えるジャッジを育てる制度』だと認識しています。

導入されたばかりの制度ですが、現状を維持せず、変化を求めて挑戦しようという公認ジャッジチームの強い想いをプレイヤーの皆さんにも知ってもらえたらいいなと思います。

☆配信卓担当のジャッジは精鋭ばかりではなかったのか

ジャッジについて知っていただいた所で、話を戻します。
説明させていただいた通り、配信卓ジャッジを担当したのは普段ポケモンカードを楽しんでいるユーザー、プレイヤーから選ばれた、知識も経験も豊富なシニアジャッジのはず。

……そのはずなのですが、実は全員がそうではないというのが現実です。

少し話がそれますが、CLのジャッジは毎回抽選で選ばれているという事は、選手の皆さんも、ジャッジの皆さんもご存じかと思いますが、実はそうではなかったようなのです。
ある日、私が都内のシティリーグの会場にいた時。
とあるジャッジの方が「表向きには抽選になってるけど、実はマスタージャッジの〇〇さんが選んでいると本人から聞かされた。」と、プレイヤーがたくさんいるカードショップ内で話しているのを聞いてしまいました。
あんなにたくさん人がいる会場で、よくそんなセンシティブな話ができるなとも思いましたが、なるほどなと納得してしまう自分がいたのも事実です。

なぜなら、それは『マスタージャッジに認められるレベルでジャッジングができる人物が優先して選ばれている』という事だからです。
表向きに公表している内容に反することをしているのはどうかと思いますが、その分優秀なジャッジが選手を支えてくれる保証がされているという事になります。
また、CLでのジャッジ稼働後、マスターレベルのジャッジに「(ジャッジに)おかしな人物はいなかったか」と聞かれた事があったという話も耳にしました。
確かに、コミュニケーション能力に課題がありプレイヤー間で揉めた人物や、公認自主大会で他参加者に暴言を浴びせる等した人物は選ばれていないと記憶しています。

このやり方は、選手からも、ジャッジからも、より信頼されるジャッジチームを築き上げるために必要な事なのかもしれません。
ですが、今回この記事で取り上げた案件であのようなミスをしてしまったのは、そうやって選ばれたジャッジです。
この事実を受け止め、改めて考え直すと、CLのジャッジに選ばれているのは『ジャッジングの能力は問わず、単純にマスタージャッジ個人が信頼している人物』という事になってしまいます。

ちなみに、CL2020愛知本戦の抽選に落選し、ジャッジに抽選申し込みをした競技プレイヤーが数名落選しています。
選手として競技に参加する私の立場からすると、(CL本戦に落選した本人達にとっては不本意である可能性もあるが)普段から競技に真剣に取り組んでいるジャッジ資格所持者にこそジャッジをして欲しい。過去の大会で優秀な成績を収めた方でもありがたいですね。特に配信卓ジャッジはそういった方に担当していただけると、選手達も安心して真剣勝負に臨むことができると思います。


私は、配信卓での致命的なジャッジミスが発生するのは時間の問題だと思っていました。
その根拠は色々とありますが、ここからはこの記事の案件1にてジャッジを担当したジャッジBの過去の発言とポケモンカード対戦に対する態度を例に挙げます。

SMシリーズが始まってしばらく経った頃、ニンフィアGXを使った『ニンフLO』と呼ばれる、相手の山札切れによる勝利を狙うタイプのデッキが環境に登場し、活躍しました。
当時のプレイヤーはニンフLOに衝撃を受け、対策を考えたり、ニンフLOを使用する側に回ったりする等して、気付けば話題の中心になっていました。当時は私もそんなプレイヤーの1人で、どうにかしなければと考察していました。懐かしい。

そんなポケモンカード界の動きに対してB氏は「ニンフLOのようなデッキが今後も増えるのなら、私はポケモンカードを辞める。」と発言しました。
人それぞれデッキタイプの好き嫌いがあるのは理解できますし、対策も大変だったので気持ちも分からなくもないし、辞めるのは自由だから勝手にすればいいと思っていました。

が、問題はその後です。
B氏はジムバトル等にも参加することは無くなり、殆どポケモンカード対戦をしなくなりましたが、公認ジャッジの資格を取得し、ジャッジ活動を開始しました。その後ポケモンカード対戦の機会を意識的に増やすこと無く。

正直、私は信じられない想いでいました。
競技シーンで勝つことがどれだけ大変な事か。私は未だに目立った成績も残せていないプレイヤーの1人なので痛い程分かるし、競技に参加する皆さんやそれを応援する皆さんも分かると思います。
そんな勝利を目指すプレイヤーが集い、真剣勝負を繰り広げる大会のジャッジを普段ポケモンカード対戦をしていない人物に任せるなんて事があっていいのだろうかと。しかも配信卓で。

不安になるジャッジングは、他の試合にも動画として残っているので紹介します。

☆案件2

CL2020愛知
準々決勝
ハットリ選手(ミュウツー&ミュウGX+カラマネロ)
VS
サオトメ選手(ルカリオ&メルメタルGX+ザシアンV)

YOUTUBE公式アーカイブ→https://youtu.be/-8Zy5rgsnTA
10時間17分頃

問題のシーンの流れ

ハットリ選手のターン
エネルギーが3つ付いているザシアンVに、イエッサンVのサイコキネシスを宣言。【60×3+10=190】
ルカリオ&メルメタルGXのフルメタルウォールGXの効果が既に反映されている盤面なので【190-30=160】
与えるダメージは160が正しいが、130ダメージで処理され、ジャッジBスルー。

サオトメ選手のターン
タッグコール宣言、山札からマオ&スイレンを手札に加える。

マオ&スイレンを追加効果付きで宣言。
ザシアンVをベンチポケモンといれかえ、HPを120回復する。

ここで配信をモニタリングしているジャッジから無線で指摘があったようで、ジャッジBがイエッサンVのテキストを確認し、イエッサンVについているエネルギーを指差しで確認する。

両選手とのダメージ確認を行い、正しく修正されゲーム続行。


サイコキネシスという技は(ダメージ倍率は変動してきましたが)旧裏面の頃から変わらず『相手のバトルポケモンについているエネルギーの数によって変動する技』です。
案件1に登場したエネルギーつけかえのテキストも初出から変わらず『場のポケモンについている基本エネルギーを別のポケモンにつけかえる』のままです。
これらのカードは、旧裏面を知らなくても、普段からスタンダードレギュレーションのポケモンカードゲーム対戦を楽しんでいるユーザーにとっては馴染みがあるものだと思います。
CLの配信ジャッジを務める方が、それすらも把握できていないのはどうなんでしょうか。

ちなみにこの日、「ねがいぼしって、カードを持ってこなかった場合、ジラーチはねむりませんよね?」という内容の無線が配信ジャッジ担当中の方本人から飛ばされていたようです。
これはその場でテキスト確認が入り、『カードを持ってこない選択をしても、カードを山札に戻した後にジラーチはねむる』と把握できたようで何事もありませんでしたが、ライブ配信のコメントはざわついていました。

『わがものがお』や『えさあつめ』等の珍しいテキストまで一字一句正確に暗記しろとまでは言いませんし、私自身無理だと思うし、そんなハイレベルなパフォーマンスを毎回発揮できているジャッジは殆どいないと思います。
ジャッジに求められるのは一字一句テキストを正確に暗記する力ではなく、プレイエラーが発生した際、正確にカードテキストを読み取り、盤面を正しく修正し、選手に分かりやすく伝える力だと思ってます。
……ですが、エネルギーつけかえの対象にできるのは『基本エネルギー』だという事。サイコキネシスのダメージは『相手のバトルポケモンについているエネルギーの数』だという事くらいは知っておいて欲しいな。そう思うばかりです。

☆本当にこのままでいいのだろうか

このような事が実際に起きていることを考えると、今のCL稼働ジャッジの決め方には問題があるのでは?と思わざるを得ません。
ジャッジチームはそのようなミスがあってもなるべくポジティブに、今後同じミスを繰り返さないように、という風に考える風潮があるようで、ミスに対して厳しく処置されることはありません。仕事ではなくボランティアですからね、ギリギリですが理解できますし、悪いことではないと思います。
ですが、重要な役割を任されている本人がその重要性を理解せず、ミスを繰り返し、その自覚が本人にないのであれば、配信ジャッジではない役割を任せるべきなのではないでしょうか。

採用されているジャッジがレベル2であろうと、シニアジャッジ経験者であろうと、マスタージャッジは私情を挟むことなく采配を振るべきです。
抽選という表現はやめて『厳正なる審査を行い決定する』とした方がジャッジにとっても選手にとってもより良いのではないかと思います。もちろん、それを実際に行っていただかないと無意味ですが。

ここで改めて主張したいことがあります。
これはこの記事の冒頭にも書いた事なのですが……

ジャッジこそ、普段からスタンダードレギュレーションのポケモンカード対戦をやるべきだ

今回、私がこの記事で一番声を大にして発信したかった事です。
配信卓で起きたジャッジミスは、これをしていれば起きなかったのではないか?と考えています。
普段からスタンダードレギュレーションのポケモンカード対戦を楽しんでいれば、競技環境では馴染みのあるカードを目にする機会も増えますし、ジャッジ自身がプレイヤーの視点を獲得することができると思います。

冒頭にも書きましたが、このままだと公認ジャッジが選手達から得た信頼は水の泡となって消えてしまうと思います。
何のためにプレイヤーが、公認ジャッジが、公式大会のジャッジを任されているのか。
公認ジャッジだからこそできる取り組み、努力があるのではないか。
競技の世界でハイレベルな真剣勝負を繰り広げる選手達に寄り添い、優しく、そして力強く支えられる存在であって欲しい。
もう一度自身を見つめ、考えてみて欲しいです。
私も公認ジャッジ資格保持者として、CL稼働ジャッジとして相応しい存在になるためにはどうすればいいかを考えていきます。

☆今からでも選手にできること

ここまでジャッジの事ばかり書いてきましたが、選手にもやるべき事、できる事があるので紹介します。
ジャッジミスを発生させない一番の方法は『選手がプレイエラーをしない事』です。
そのために、少しでも選手が努力すれば、自分のミスによって敗北する事もなくなると思います。

①自分が使用するデッキに採用しているカードのテキストを再確認する

できること、できないこと、テキスト処理の順番等を把握しておくと、勘違いによるエラーは起こりません。
曖昧な事、分からない事があればポケモンカード公式のQ&A(https://www.pokemon-card.com/rules/)でカードテキストについての裁定を把握しておくと良いと思います。


②盤面のカードを見やすく、分かりやすく置く事を意識する。

そこにあったはずのカードがない。なかったはずのカードがある。
プレイエラーの中でもよく見られるケースです。
対戦時間が25分と短い中でプレイ速度を気にすることも大切ですが、その分盤面は乱雑になってしまいがちです。
トラッシュの際に巻き込んだり、デッキカットの際に移動してしまったり。
これらを未然に防ぐことができれば、エラーが発生する確率は減少します。


③上級プレイヤー用ルールガイドを読む

公式ページにある『上級プレイヤー用ルールガイド(https://www.pokemon-card.com/assets/document/advanced_manual.pdf)』を1度でもいいので、是非読んでみてください。
ここには『ポケモンカードの詳細なルール』についてまとめてあります。対戦をする選手がお互いに納得して試合を進めるための辞書のようなものです。
きっと初めて知る内容のルールがあるはずです。
……えっ?「そんなものは1つもなかった?」そんなあなたには公認ジャッジ資格試験に挑戦する事を強くお勧めします。
一緒にルールやロジックについて考察を深め、議論を交わしていきましょう。


④フロアルールを読む

公式ページにある『フロアルール(https://www.pokemon-card.com/assets/document/rules/floor-rule_202007.pdf)』を1度でもいいので、是非読んでみて下さい。
ここには『ポケモンカードイベントの共通のルール』についてまとめてあります。
参加者全員がポケモンカードゲームの対戦を楽しむために定められた『ポケモンカードイベント専用のルールブック』です。
カードのテキストには直接関係ないものですが、CL参加者として知っておくべき事や、ジャッジ、観戦者に向けた内容も記載されています。


⑤ペナルティクイックチャートを読む

公式ページにある『ペナルティクイックチャート(https://www.pokemon-card.com/assets/document/penalty-chart.pdf)』を1度でもいいので、是非読んでみてください。
ここには『ジャッジが選手にペナルティを科す際に、参考にする事例等』についてまとめてあります。
どんなエラーにどんなペナルティが科せられるのか。
ジャッジではない選手には関係のない事かもしれませんが、これを見ておくと、自分が実際にエラーを起こした際に科されるペナルティの内容を予測することができます。

公式の大型大会でジャッジにお世話になった方なら分かると思いますが、ペナルティの内容を言い渡されたときの精神状態は、少なくとも冷静ではありません。

エラーを起こし、ペナルティを科されるべきは自分自身だと待ち構えていても『サイドペナルティ1枚』と言われたときのショックは大きいです。
そのサイドペナルティ1枚が、ゲームの勝敗に直接影響しなかったとしても、自信のプレイングの判断には多大な影響を及ぼす可能性がある事は容易に想像できます。
ペナルティを科されても、勝利をつかむためにできる備えのひとつだと思います。

開催まであと1日を切ったCL横浜。
久しぶりの大型大会。
コロナ禍での初めてのCL。
今回のCLから大会形式やシャッフル等、様々な変更もあり、プレイヤー、ジャッジ、主催者……きっと全員が順応するのに精一杯だと思いますが、そんな中、2日間の新たな挑戦が始まろうとしています。



そんなCL横浜について、私はこう断言します。



このままではプレイエラーだけでなく、ジャッジミスまでもが多発するだろう。

それも、過去大会とは比べ物にならない程に。



関係者全員で備え、CL横浜だけでなく、今後のCLもより良い大会にしていきましょう。

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