河川改修により激減するカメたち
淡水に生息するカメ類の多くは、普段水中で生活しているものの産卵や採餌のために陸地へと上がることがある。また、普段の休憩場所や越冬場所として、川岸の横穴や淀んだ淵などを利用するため、改修工事により環境が改変されることで、陸地への移動が阻害されたり、越冬や休憩に適した淀みが消失してしまうと個体群レベルで大きな影響を受けてしまう。
今回は、河川の改修工事がカメ類に与える影響を示した研究を紹介します。
河川改修がクサガメの個体群動態に与える影響
Usuda et al (2012)は河川改修により、クサガメの個体数が激減し、性比や齢構成が変化したことを示した。
Usuda et al (2012)では工事用の重機による河川の改修作業が直接的にカメ類の死亡率を高めたと指摘している。また、工事により河川が直線化されることで、河川内の流速が均一化し、カメ類の越冬場所となる川岸の横穴や緩やかな深場が消失したことも原因であると指摘した。
中でも、クサガメが激減した最も重大な原因として、水温が低いためにカメ類の活動が不活発になる冬季に改修工事が行われたことが挙げられている。
カメ類にも優しい河川改修を実施する上で、まず第一に工事を実施する時期に注意する必要があるようだ。その上で、越冬環境となる流れの緩やかな環境をある程度残すことが望まれる。
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