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消極的人事への対抗策

個人事業主は1月から12月を会計年度とするのが原則で、例年2~3月のこの時期は、前年度の確定申告に忙しい時期となっている。

一方で一般的な会社は4月から3月を事業年度とすることが多く、今は第4Qの最終コーナーを回って、精緻な年度の着地見込みなどを計算している時期となる。

流通系の会社では2月が決算月というところが多く、まさしく年度が締まろうとしているところとなる。

公務員のお仕事も4月~3月が会計年度となっているので、まさしく締めの時期を迎えようとしている。ちなみにこれは日本の場合で、アメリカなどは9月ー8月制だったりする。

とまあこのように、2月から4月くらいの間は、会計的に個人も会社も公務員も慌ただしい時期だと言えるだろう。


そして新年度の始まりに際して、主に組織においては組織変更やら人事異動が行われることが多く、その直前となるこの頃には、次期の体制などについての話題が組織内を駆け巡ることになる。

思い起こせば、自分も昨年度末に突然上司呼び出されて(と言ってもリモートだったけど)、異動出向を命じられた人間である。組織の人間にとっては、年度末は仕事がガラリと変わってしまう可能性のある時期なのだ。


人事異動においては昇級・昇進がもっとも人々の関心を呼ぶのだが、昇進する人がいる一方で、引退したり、役職定年となったり、降格になったりする人も出てくる。

その意味で、組織における人事とは、非常に悲喜こもごもなイベントなのである。

サラリーマン人生を25年も続け、その間組織のゴタゴタを見てきた自分からすると、昇進する人が優秀とも言えないし、降格したり異動をさせられる人が仕事ができないとも言い切れないように思える。

人事異動や昇進の裏側には、上司や組織にとって、使い勝手の良い人間を選択している向きも見られる。また、誰もいないから選ぶというような消去法のようなやり方をしているケースも多い。


僕自身、成果も上げていないのに、「組織の若返り」というお上の一声で管理職に引き上げられたこともあるし、逆に成果を出し続けていたのに、その時の業務を外されたこともある。

人本位というよりは、その時の組織の在り方や上から降りてくる「方針」で人事は決まっていくものだと、組織人のベテランである僕などは達観すらしているのである。


組織の形は常に揺らぐし、トップが変われば全体的な人事の方針も変わる。組織人である大多数の人々は、積極的な登用や配置というよりは、ある種の消極的人事によって、仕事が割り振られているようにも思える。

上を代えたいから誰か若手を引き上げる。あの部署は人手が足りないから、違う部署から誰か出してもらう。上司の受けのいい方を残して、それほどでもない方は外す。

時として、そんな消極的理由で人事が簡単に行われてしまうのだ。


そういう厳しい現実の中で、どうでもいいやと斜に構えてしまうと、実はこれがもっとも良くない結果を生むように思う。

消極的な理由で不本意な異動が行われたとしても、とりあえずその場所で自分自身は積極的に打って出なくてはならないだろう。

間違っても消極的な理由で引き上げられた者の実力不足を笑うのは止めた方がいい。そうした取るに足らなかった人間が、与えられた立場をうまく利用して、力を伸ばしていくこともよくあることだ。

僕の経験では、チャンスはそこら中に転がっているし、ジタバタしている間に好機が巡ってくることもある。

年齢とか会社の短絡的な方針転換で、それまで得意としてきた仕事を奪われるケースもあるわけだが、そうだったからと言って腐るのは本当に勿体ない。

真の実力者であれば、結局世の中は放っておけないものなのである。もちろん、場合によっては自ら中身の詰まったアピールをしていくことも必要かもしれない。

とにかく、あがくことだ。

消極的な人事に対しては、積極的な態度で対抗する。これに尽きるのだと、強く思う年度末なのである。




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