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忖度、前例、しきたり

エンタメコンテンツを作ったり、売ったりする場合、本来はお客様・ユーザーのことを第一義に考えるべきなのに、やれ会社が通せるかどうかとか、関係者を説得できるかどうかなどと、身内の事情に走りがちです。

それは決して作品の強度を上げる方向には進みません。

良いもの、求められているものを作って勝負したいはずなのに、どうしても関係ない「大人の事情」が入ってくることか多々あります。

経営陣への忖度とか、前例とか、業界のしきたりとか、エンタメを享受する側にとってなんら関係のない要素が、作品のグレードを下げているケースが多いのです。


そう考えると、世の中にあるヒット商品で、かつ、心からユーザーの支持を集める作品作りは、至難の業に思えてきます。

簡単には作れないのは確かで、奇跡的に神がかったプロデューサーがいたりしないと成立しないものです。

けれど、その奇跡的なことが稀に現れることがあり、そういうものを間近に見ると、羨ましく思えてきます。自分も、奇跡に関わりたい、と。


僕自身、誰もが知るIPを世に送り出す立場で仕事をしたことは何度もあります。

あくまで作ることがメインではなく、売る立場として関わってきました。

直接作っていたわけではないけれど、当たるコンテンツは、作る・売るのチームが一体となって、今面白いことやってるなあという、充実感がありました。

営業マンまでもが楽しめるコンテンツ、その熱量がユーザーにも届くのだと確信しています。


作り手も喜び、受け取り手も喜ぶ。それが理想なんですが、今はその理想が達成されないと、ヒットコンテンツは生まれません。

理想を現実化させた人たちだけが、ヒットの味わいをかみしめることができるのです。


けれど、理想の現実化を邪魔する要素が出てきます。それが、忖度、前例、しきたりという「大人の事情」なのです。

逆を言えば、エンタメコンテンツの世界では、「大人の事情」を排除できれば、かなり当たる確率が増えていくように思います。


会社組織をピラミッドで表すことが多いわけですが、僕はそれを逆さまにするべきだと考えます。

△ → ▽

トップとなるものは、決裁者ではなく、一番川下にいるユーザーなのです。ユーザーを上位に位置させなくてはなりません。

上の方の事情が、ピラミッドの頂点でのさばってはいけません。大人の事情(忖度、前例、しきたり)を抑え込まなくてはならないのです。

良き逆ピラミッドを作れるのか。これが今、僕が追い求めていることでもあります。



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