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「人脈」について考える

仕事上の繋がりのある人って、友人ではないですが、赤の他人でもなくて、その中間にある独特な人間関係だと思っています。

もちろん仕事を通じて友情が育まれたり、家族ぐるみのお付き合いに発展することもあります。

ですが、基本的には付かず離れずの距離感で、普段は交流しているはずです。


仕事上において「人脈」という言葉がありますが、これも考え出すと絶妙な意味合いが出てきます。何かビジネスライクな響きを持ちながら、表面的な付き合いレベルでは、「人脈」と呼べる関係には行きつきません。

ビジネス上だけの関係にも関わらず、互いのプライベートの事も共有したり、まるで友人関係のように会食したり、お茶したりして、交流を深めて、ようやく「人脈」関係が結ばれることになります。


僕は同じ業界に20年以上も居座っている人間なので、若い人たちに比べれば「人脈」と呼べる仲間や知人は大勢います。わりと丁寧に長い時間を使って、多くの方と困った時に助け合ったり、少なくとも門前払いをしない/されない関係を築いてきました。


ただ自分の周囲を見渡した時に、長く業界にいても人脈と呼べる関係性を築けていない人もいます。知名度はそれなりでも、頼ったり頼られたりする関係を作れない人がいます。

はたしてこの差はどこから生まれてくるものなのでしょうか。


ちなみに僕が人脈作りで大事だと考えていることは、一期一会を大事にするということです。

長年営業の仕事をする中で、地方在住の方だったり、関連性の薄い業種の方だったりと交流する時は、もう二度と直接会うことはないのではないかと、いつも考えてお付き合いするようにしてきました。

例えば自分が東京で活動しているとして、札幌の方と頻繁にお会いすることはできません。メールや電話でのやりとり、今ではリモートMTGも可能ですが、直接顔を合わせての再会という場面が、次にいつ訪れるかわかりません。

つまり、今、会っている人ともう二度と会えない可能性があるということです。


僕は全国を行脚する営業マンだったので、「こんな地方にもう二度とこないかも・・・ということは、この方と直接お目にかかる機会はこれが最後かも・・・」と、いつも考えていました。

それゆえに、今回の一発勝負でどこまで自分をアピールできるか、相手のことをどこまで理解できるか、という点に、常に注力してきました。具体的には・・

詳しくはまた今度、ではなく、いきなり詳しく説明する。
踏み込むのはまた今度、ではなく、いきなり本題に踏む込む。
変な奴と思われるか、ではなく、変な奴ですけど何か?と開き直る。

などということを実践してきました。

ジワジワ関係値を深めることも大事なのですが、いきなり冒頭からガツンと切り込み、胸襟を開き、一気に間合いを詰めることも重要だと考えています。


一期一会の精神でいきなり切り込んでいく僕のスタイルは、長年の営業経験によって培われたものです。そして、このスタイルの副産物として、親しくなる間柄を増やすことができました。

初対面である程度の関係性を作ってしまうので、二度目、三度目とお会いすると、関係性は短時間で強固なものができ上がります。そして、他の人より短期間で関係性を深められれば、より多くの人との「人脈」を作ることができるのです。

広く浅く付き合っていても、知名度は上がれど「人脈」には到達しないものです。会う回数ではなく、一回の対面でどこまで踏み込んで関係を構築できるかが勝負だと僕は考えています。


ただし気を付けないといけないのは、いきなりプライベートのことを言ったり聞いたりするのは、互いに気が引けるものですし、かなりの割合で相手に引かれてしまいます。そして一度こじれると関係の修復は短時間では不可能です。

つまり、一期一会が大事だとしても、それをきちんと実践するのは、また別の能力が必要だということです。


初対面から切り込み、かつ引かれない関係を作る・・・。一期一会を実践するためには、やはり人間力、パーソナリティが重要となってきます。

こればっかりは、自己啓発本や先輩の薫陶レベルでは獲得できるものではありません。

実践の中で培い、自分の能力として開花させなくてはなりません。


僕自身の長年の経験からすると、一つの重要キーワードは「ユーモア」です。人を馬鹿にする笑いではなく、場面が微笑ましくなるようなユーモアを、パッと差し込むことができれば、とても良い印象を持ってもらうことが可能です。

良い印象を与えれば、いきなり本題に切り込むことは容易です。後は流れに従って、互いのプライベートや手の内を明かして、一気に間合いを詰めることができるのです。


だいぶ話が散らかりましたが、簡単にまとめると・・

・人脈を作るためには、踏み込んだ関係を構築する必要がある
・一期一会の精神で切り込めば、強固な関係を築ける
・初対面で切り込むためには、人間力が欠かせない
・人間力増強のためには、ユーモアを使いこなすべし

と、そんなじじいの戯言でした。




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