仕事は脈々と繋がっていく
年の離れた後輩から、とある企画の相談を受けた。正直企画書を読む限り、モノになるとは思えない。けれど、ここで一蹴してしまったら、それで話はおしまいとなる。
僕はこうした場面で、企画者の気持ちに一度寄り添うようにしている。まずは、なぜこの企画を立てたのか、その狙いを聞きだす。次に企画者が思う強み(ストロングポイント)や、秘めた可能性を語ってもらう。
相談された僕としては、その企画に対するネガティブな意見が浮かぶわけだが、それをいきなり伝えたりはしない。まずは企画者の意図をあぶり出し、その意図が企画書に込められているかを確認する。
そうして、企画者の考えを把握し、企画書との齟齬を見て取ることができたら、いよいよ自分の意見を述べていく。
この時、間違っても安易にダメ出しするのはご法度。具体的に、その企画の足りない点、補うべき点を指摘していく。
などである。
さらに、企画者の話を聞いてあげるだけでなく、その企画自身に寄り添っていくことが重要である。人の企画を我が事として受け止めて、きちんと自分の言語に昇華させるのだ。
このあたりを徹底すると、相談にきた相手は、僕がどんな意見を述べたとしても納得し、この件がぽしゃったとしても、また別の企画を相談しにきてくれる。
僕は後輩からの相談だけでなく、先輩や同僚、OBや他社の方でも、同じ方法論で企画者&企画と向き合うようにしている。
なぜそんなことを考えているかと言うと、まず色々なことを知りたいという知識的な欲求がある。そして、数多く企画に接していれば別に生かせるアイディアが湧いてくるし、何か突然当たりくじを引く可能性だってあると思っているからだ。
不思議なことに、真摯に人の相談ごとに向き合い続けていると、「あの時相談に乗っていただいたのでお声掛けしました」などという、小説の世界のようなことが本当に起こる。仕事が仕事を呼ぶ感覚が、そこにはある。
いきなりモノになる企画なんて、そうそういくつも存在しない。数多くのアイディアを出して、運とか時勢とか、自らがコントロールできないことも含めて、企画はドライブしていく。
どこに正解が埋もれているかは判らない。だから数をこなしていく必要がある。
数を増やすためには、自分の力だけでは全くダメで、周囲の人間のアイディアを借りていかなくてはならない。その意味で、色々な人と繋がっておく必要がある。
そして、繋がるためには、一度でいいから真剣に他者と向き合うことが求められる。相談ごとが持ち込まれるということは、真剣に対峙できるチャンスを貰ったことと同じ意味を成す。
僕が曲りなりに何年も脈々と仕事を繋げていけるのは、面倒くさがらず、きちんと他者と向かい合ったからだ。
企画の相談のような場面は、その企画の是非に関わらず、自分にチャンスが来たのだと捉えるべきだと、僕は思うのである。
たまに仕事の話なんかもしています。
https://note.com/shatoru0619/n/n538e2f0ab9cf
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?