モノ作りは多様性とともに。

本日はFコンテンツ(いつもの藤子ネタ)を準備していましたが、ちょっと思うことがあり、掲題のようなお話となります。

以前、モノを作る人たちとモノを売る人たちのどちらが偉いか、ということを語りました。答えとしては月並みですが、両方偉い、もしくは両方偉くないということでした。

この記事の中で、マーケティング・ファーストの考え方を説明しました。もし継続的にビジネスをするのであれば、作り手の思いよりもユーザーや消費者のニーズが優先される、というものです。

この考え方は、職人気質の強い世界では、強い抵抗に遭います。「消費者に何がわかるのか」、「ユーザーの言う通りに作って良いものが生まれるわけがない」といった言説とともに。

どこの世界でも当たり前のようにやっていますが、マーケットの声を聴いて、しかも上辺だけでなく、ターゲットとなる人たちのインサイトまで深掘りしたリサーチと考察とともに、モノ作りをしていくのは世の常識となっています。


でも、そうとは思っていない人たちもまだ多いのが実情です。

もちろん、マーケティングなど一切しなくても、消費者の気持ちを汲むことができる天才が時々現れますので、そうした優秀な人材を取り込むことは大事ですが、長年営業をしてきた僕の目から見れば、天才が活躍できる期間は、案外と短いものです。

それよりも、一人の天才に頼らない仕組み作りが大事だと考えています。消費者・ユーザーに隣接する部門の声や、リサーチのデータに基づいて、商品開発の方向づけをしていくのです。

そして決裁者は、組織の内輪でしか通用しない常識や、個人的なエゴから距離を置いて、世の中が求めているモノ、世の中が喜んでくれるモノに対して、優先的にグリーンライトを灯していくことが求められます。


それでは、消費者が求めているものを、どうやったら作ることができるのでしょうか。

そのポイントは、アイディアの「量」なのではないかと考えています。「量」を積み重ねることで「質」が生み出されるのではないかと思うのです。

僕の理想としては、新商品・新サービスのアイディアの数をなるだけ出して、それらがマーケットに求めてられているものなのかを、聞いていくべきだと思っています。

数あるアイディアを消費者・ユーザーにぶつけて、こういうものがあれば絶対に欲しいと思ってくれる熱量の高いものを、「抽出」していかねばなりません。


「抽出」は、数多くの選択肢を用意して、ユーザーの反応が良いものを厳選していくイメージです。厳選したものではないと、お客様には届かないと考えているので、この「抽出」という作業はとっても重要です。

抽出の方法についてはいずれ語ろうと思いますが、その前段階として、どうしたらアイディアの「量」を出していけるのか、という部分について考えてみます。


まずアイディアを出しやすい環境を用意することが大事です。アイディアを出すことが「善」だと、組織内で認識される評価システムも必要かも知れません。

もう一つ、アイディア段階では、発想は自由であるべきだ、ということです。少し矛盾があるようですが、マーケティングの発想から離れたアイディアも、この段階では大歓迎です。自分だったらこれが欲しい、という個人的欲求もアリです。

なので、発想の自由を妨げるものは、排除していかねばなりません。あらかじめ出すアイディアにテーマを与えておくことは問題ありませんが、マーケットの声とは関係のない「内輪」の制約を加えることあってはなりません。アイディアの幅を狭めることは、「量」を生み出しにくい環境を作り上げる要因となってしまいます。

また、量を生み出すには、全員野球をしなくてはならない、とも思っています。アイディアの種はそこら中に落ちていて、それを誰が拾ってもいいはずです。営業マンでも経理マンでももちろん企画屋でも。関わるもの全員でマーケットに挑む姿勢が必要であると考えています。


ここまでをまとめると、以下のようになります。

◆アイディアの「量」を出して、マーケットの声を聞きながらアイディアを「抽出」する。

◆「量」を生み出すためには、「環境作り・自由な発想・全員野球」が必要である。

今僕はマーケティングの業務に携わっていますが、上のようなことを念頭に、組織の意思決定ラインを整えようと奮闘中です。


実際に動いてみて思うのは、社員やチームメイトが持つ、様々なバックグラウンドを利用した多様性こそが、アイディアの源泉である、ということです。制約なんてものは、放っておいても企画が進んでいけばドンドン現れてくるものです。けれど、最初から枠をはめては、面白いものを生み出す可能性を狭めることになるように思います。


モノ作りは多様性とともに。

このことを肝に命じながら、日々の業務に邁進したいと思っています。

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