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ひとこと化 人を動かす「短く、深い言葉」のつくり方

こんな僕でも時々は本を読む。

昨日の記事でも触れたのだが、今仕事では、新規案件の企画書を作っていて、その佳境を迎えている。

企画の中身は定まっているのだが、その打ち出し方について結構悩んでいるのが現状である。

そんな今の気分にフィットした本を見つけたので、さっそく今日買って、今日読み終えた。それがこれ。

『ひとこと化 人を動かす「短く、深い言葉」のつくり方』という本である。著者は、著名なコピーライター坂本和加氏である。


まずは「短く、深い言葉」という本書のキーワードに惹かれた。例えば坂本氏は、「行くぜ、東北。」というJR東日本のキャンペーンワークを担当している。確かに、短くて深い言葉である。

この本はなるべく「短い言葉で伝える」ことをテーマに、コピーライティングなどの考え方を述べている。

この手の本はわりと読み漁っている方なのだが、本書ではいくつか心に刺さるフレーズがいくつもあった。


まずは、『共感ではなく、「共鳴」を目指す』というもの。

これは、今の社会は多様化が進んでいるため、「共感」を得るのが難しいという前提に立っている。

共感コピーを目指しても、「私はそうは思わない」と言われてしまう。なので、共感を飛び越えて「他者の考え方や行動」を素敵だと思われなくてはいけないという。

僕の場合、どうしても企画書を練るあげる時に、人の共感を頼りにすることは多いのだが、そのレベルでは決裁者に「僕は違うと思う」と言われて、企画が受け入れらない可能性がある。

そうではなく、決裁者には、これなら多くの人に共鳴してもらえる企画だろうと思わせなくてはならないということだ。


もう一つ、これは全く同じ意見を僕もnoteに書いたことがあるのだが、それは、『「自分ごと化」できる人は話が早い』というものだ。

コピーライティングの仕事は、対象物を客観的に見るだけでなく、主観的に、わが事として捉えなくてはならない、と坂本氏は言う。

僕の今の仕事もこれに近いものがあって、自分が何かを生み出すのでは無く、誰かが生み出したものに付加価値を添えて世に出していく、というような仕事をしている。

コンテンツを生み出す人、生み出そうとする人の相談を受けて、いかにしてコンテンツをユーザーに届けるかを一緒に考えることがメインの仕事である。

そうなると、相談する方としては、わが事として考えてくれる人をより頼りにしたくなるものである。世の中には、客観的に是非を決めて突き放す人は多いが、主観的に自分ごととして話を聞いてくれる人は意外と少ないと感じる。

この本を書店でパラパラと手に取った時に、「寄り添うとは自分ごとにして考えることだ」という一文を見つけたことで、この著者を僕は信用できると感じたことが購入の決め手である。


最後にもう一つ、『「人によく思われたい」を手放す』という部分は、なかなか肝を冷やす言葉であった。

企画書を作っている時に、どうしても見栄えを気にしてしまうし、気の利いた表現などを散りばめて、うまく書こうとしてしまう。普段書いているnoteもそうだ。

「この書き手、すごい」って思われたくなって、普段使わないような言葉や表現を用いてしまう。結果、もともと使いこなせていない言葉を使っているので、読み手にうまく真意が伝わっていかないのである。

思えば、村上春樹の小説などでも、言葉自体は特に難しいものは使っていない。言葉の組み合わせがユニークなだけで、辞書をひっくり返して見つけてくるような難解な表現など使っていないのである。


この他にも気になるフレーズも多い。また、本書の問いかけに対して、まだきちんと消化できていない部分もある。

ただ、この本を一読しただけでも、今作っている企画書が、まだまだ伝え方が不十分であるかを確認することができた。

よきタイミングで得た本を幸運と捉え、企画書のバージョンアップを図りたいと思う。



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