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スマートにやろうとしない

ビジネスとは、「何か」を「誰か」に提供してその「対価」を受け取る行為である。

対価の中から少しだけでも手元にお金を残しつつ、次の投資だったり消費をすることで、社会全体にお金を流通させていく。これが経済活動である。

「手元にお金を残す」というところがポイントで、働いて生活をしていく限り、手残りがない行為は、ビジネスでも何でもない。ただの慈善事業である。

そういうことで、組織においても、商売の中で必ず儲けを出して、その組織を維持・発展させていかなくてはならない。

組織としても個人としても、ビジネスに参加し続けることが、経済発展に貢献することなのである。


ところが、お金に貪欲な姿勢を取る態度を、冷やかな目で見る人たちが一定数いる。

そして偏見かも知れないが、そういったガツガツとビジネスできない(もしくはガツガツしたくない)人は、何かとスマートに事を運びたがる傾向があるように思える。


僕は長いこと「営業職=商品をお金に変えること」を生業としてきた。この中で学んだことは、儲けを出すことは全然悪いことではなく、むしろ誇るべき社会貢献なのだということだった。

ただし、儲けを出すことは、それほど簡単な話ではない。際どい交渉だったり駆け引きだったりが絶対に必要で、それってかなり泥臭いことなのである。

全然スマートではないのだ。


ところが、ガツガツ戦えないビジネスパーソンがいる。「交渉」しなくてはならない場面で、「相談」をしてしまう。相手の立場に立ち過ぎて、自分たちの利益を損ねてしまう。

スマートに、格好つけていても、結局は結果を出せなければお終いである。極論を言えば、ビジネスをするということは、スマートに振舞うということと正反対にある行為のように思えるのだ。


もちろん、脱法行為だったり、信義則を損なうことは行ってはならないことだ。しかし、スマートさに拘っていてはお金は稼げない訳だから、行動することのリスクをある程度容認して、ガツガツと数字を追わなくてはならないのではないだろうか。


なぜこんなことを書いているかというと、とある後輩が、ビジネスパートナーに対して、迷惑が掛かるからと言って、多少の面倒くさいが少しは利益を出せる行為を、相談もしなかったという身近な例があったからである。

相手のことを本当に考えるのならば、面倒かどうかの問題ではなく、利益をきちんと出せるかどうかである。それを大変そうだから、迷惑かかりそうだからといって、儲け話をしないなんてことはあってはならない。


ビジネスの主たる目的は、正当な営業活動において、少しでも利益を出すこと。スマートに事を運ぶことが目的と化してはならないと、僕は強く主張したいと思う。



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