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嫌なことはしないとかいう人

嫌なことは誰だってしたくない。

でも、だからといって、「嫌なことはやらない」とか言ってしまう人には眉をひそめてしまう。お前が嫌だと言っていることを、誰かがやってくれてるんだよ、と反発心を覚えてしまう。


例えば僕のいるエンタメ業界では、華やかなメディアを賑わせるようなやりがいのある仕事や、クリエイテュブな脳を働かせる楽しい仕事がある反面、ひたすら誰かの顔色ばかりを窺って調整ばかりする仕事や、嫌なことを相手に伝えたりするような仕事だってある。

どんな仕事でも光と影はつきものだ。


特に僕は営業の仕事をずっとやってきたので、いつだって「縁の下の力持ち」の気分で、業界の華やかな部分を下支えしてきたつもりである。そういう自負もある。

憂鬱になることや、数字面で人に責められて嫌な思いをすることはザラ。それでも自分なりの達成感や未来へのモチベーションを見つけだして、楽しさ半分、嫌なこと半分で仕事を続けてきたのである。

そんなことがあるので、人によって色々な事情があることは百も承知の上で、「嫌なことはしないようにしてます」などという発言を聞くと、僕の内心は穏やかでなくなってしまう。


もちろん「憂鬱じゃなければ仕事じゃない」とかいう本を出していた某経営者の発言も看過できないし、メンタルを壊してまでしたくないことを続けるのは間違っている。

やはり理想は、というか最低でも、楽しいことと嫌なことは50:50でありたい。何事もほどほどが大事なのは間違いない。


そもそも「好きなことで生きていく」とか、「嫌いなことは手放そう」とか、簡単にそんなことを言うような人たちは、どんな人たちなのだろうか。

すごく流れが良い仕事の循環にハマっているか、むしろその逆の状況で、自分を鼓舞しているかのどちらかのような気がする。

実際は好きなことだけでは当然生きていけないし、嫌なことは手放した瞬間に次の嫌なことが頭をもたげる。そんな風にできているのである。


なので、嫌なことを手放すと楽になる的な言説は疑ってかかった方がよかろう。楽しいことを過半数以上にしましょう、というくらいが説得力を持つのではないだろうか。

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