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結局「普通の能力」を使いこなす人が重宝される

今年も就職活動が本格化する時期がやってきた。なぜそれがわかるかというと、この時期になると毎年、会社から面接か書類選考の任務が通告されるからだ。

そしてこの時期になると、自分の就職活動をしていた頃を思い起こす。

自分が社会に出て通用するのだろうか。そもそも会社が求めている仕事の能力って何なのだろうか。そんな不安が渦巻く日々のことを思い出す。


さすがに社会に出て25年近く経つと、仕事ができるってどういうことか分かってくる。そして、最近考え方がアップグレードしたので、ここで思うまま書き綴ってみたい。

もし、たまたま就活中の方に参考になってくれれば、大変に喜ばしいことと思う。


仕事ができるとは何か。

結論から言ってしまうと、「普通の能力」を「普通に使いこなせるかどうか」ということなのではないかと、今は考えている。

つまり、仕事に特殊能力は必要ではないということだ。


では、普通の能力とは何か。それを思いつくまま書き出してみる。

最も大事だと思うのが、コミュニケーション能力である。
これは別に難しく考える必要はなくて、人の話を正確に聞き取って理解し、適切な反応を返すということだけだ。相手が会社の先輩だったり、取引先の方であっても、友だちや家族と会話していることと何ら変わらない。

次に共感力である。
これも難しい話ではなく、相手の感情にきちんと寄り添うだけのことである。嬉しそうにしていれば、感じ取ってこちらも喜んでみる。辛そうにしていれば、声を掛けてみる。怒っていれば、その理由を聞いてみる。これも家族や友人相手と全く同じだ。

読解力も大事だ。
解説書やメール、お知らせ、そういった文章の意味を正確に読み取っていく。上辺だけではなく、内容をきちんと理解しなくてはならない。ちょっとした上司からの指示メールあたりが読めないと、少しステップアップして、契約書の文言を詰めたり、お詫び分を作ったりなんて場面で、容易に躓いてしまうだろう。

交渉力も欲しい能力の一つ。
自分(たち)の主張をきちんと伝わるように述べて、相手からの主張も正確に理解する。その上で、ぶつかっているポイントを両者で把握して(論点整理)、互いの妥結点を見出していくという作業だ。交渉というと、騙し合いや駆け引きのイメージが付き纏うが、結論をきちんと導き出そうという意思統一ができていれば、無駄な駆け引きなどは基本的に必要ない。

ユーモアもあっていい能力だ。
もちろんユーモアといっても、ダジャレやアメリカンジョークが求められている訳ではなく、要は明るい態度だったり、場を和ます姿勢が大事という話である。

もう一つ、予測力も欲しいところ。
これは未来予知の世界とかではなく、物事の進行を予測して、先んじて手を打っていく能力である。例えば、議題が詰まっている会議があるのなら、予めアジェンダを作って展開しておくとか、終わりの時間が伸びても良いように会議室をキープしておいたり、というような事前準備の力のことである。

少し難易度は上がるが、逃げない胆力というのもあるといい。
仕事人生の中では、困難なことだったり、思わず逃げ出したくなるような事態に直面することはよくある。そういう時に、逃げずに踏みとどまれるか。嫌な方向に突っ込んでいけるか。胆力としか言いようのない、内なる馬力を試される時が必ずくる。

あと忘れがちな大事なことは、一般常識を持ち合わせるということである。
挨拶する、メモを取る、口の利き方を気をつける、年上を敬う、NGの話題をしない、嘘をつかない、虚勢を張らない、時事問題を最低限知っておく。そういうレベルの常識である。


もっとも、人間、得意不得意があって、今挙げていった「普通」の能力でも苦手なことは必ずある。

僕は細かい作業が苦手だし、考えすぎる傾向があるので、即レスができないなどの弱点を自覚している。苦手な部分は、誰かの助けを借りたり、苦手なことに取り組む時間をたっぷり確保しておくなどの手立てを講じるようにしている。



誰しも、スーパーな能力に魅せられることと思う。デジタルツールを使いこなす力、プログラミング能力、プレゼン力、圧倒的なリーダーシップ、語学力・・。

でも、改めて自分の周囲を見渡してみると、スーパーな能力以前に、当たり前のことを当たり前にできている人がいかに少ないことか

人の発言を正確に聞いてくれない。平気で噓をつく。嫌なことは人に押し付ける。腹が立っているのに逆なでしてくる。ブスッとして不必要に雰囲気を悪くする。先の見通しを立てずに行動してしまう。

恐ろしいくらいに、普通の能力が欠けている人間は多いのだ。


なので、これから社会に出て行こうという若者は、どうぞ自信を持ってもらいたいと思う。特殊能力がなかったとしても、「普通の能力」しか持ち合わせていなくても、普通の力を普通に発揮できる人間は、きっと社会で重宝されると断言できるからだ。

どうぞ、奇をてらわずに、常識の道を進んで欲しいと強く願って、この文章を終えたい。

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