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ファースト・チョイスとなるために

マーケティングをしていると良く出てくる言葉の一つに、「ファースト・チョイス」というものがあります。読んで字のごとく、人が最初に選ぶものを指す言葉です。(この場合ドッグフードではありません)

競争の激しいエンタメコンテンツ業界では、人々の限られた時間やお金を奪い合っており、真っ先に選ばれるコンテンツを提示しないと、勝ち残ることはできません。

特にコロ/ナ禍において人の見る目は厳しくなり、自分にとって今一番興味があるもの以外のコンテンツは、後回しにされ、やがて忘れ去られます。

エンタメコンテンツの世界では、イーブン(引き分け)の範囲が狭くなり、勝ち負けがハッキリ分かれたゼロサムゲームの様相を呈してきました。

そういう厳しい時代に、いかにユーザーや視聴者のファースト・チョイスになるコンテンツを用意できるかが、チームや企業の存亡にかかわることになってきました。


それでは、いかにしてユーザーのファースト・チョイスとなるコンテンツを生み出していけば良いかを考えていきます。

まず重要だと思っているのが、ターゲットをしっかりと特定することです。

例えば、日常的に漫画を読んでいない方に、漫画を買ってもらうと考えてもおそらく効率の悪いことになります。この10年間映画館に行ってないという人に向けて映画を観てもらうことを考えるのも非効率です。

漫画を日々楽しむ方、一年に一本は映画館に足を運ばれている方をターゲットとしなくてはなりません。


その上で、ターゲットの好きなジャンルを想定します。一様にマンガ好きと言っても、恋愛マンガなのか、バトル漫画なのか、ハウトゥものなのか、色々なタイプがいるからです。

このタイプの見極めがまさしくマーケティングの肝で、どういった属性の方がどういったジャンルを好むのかを明らかにしなくてはなりません。

ちなみにこの「ジャンル」という区分けが非常に大事であることが分かってきています。このあたりについては、本稿では詳細を割愛しますが、ともかく人は好きなジャンルが決まっているという点だけ押さえてもらえればと思います。


次に大事になってくるのが、特定のジャンルを好む層が、どのような情報経路を持っているのか、何を決め手にその作品を選ぶのか、といった行動様式を明らかにしていくことです。

これも深くは話しませんが、特定のジャンルを好む層は、行動パターンが似通っていることが知られています。その行動パターン上に情報を置いたり、コンテンツ自体を配荷したりする必要があります。

行動パターンを捉えておかないと、ただ闇雲にコンテンツを作ったり宣伝することになり、非効率この上ありません。


以上を整理すると、
・想定ターゲットを明確化する
・ターゲットの好きなジャンルを分類する
・特定ジャンルを好む層の行動パターンを掴む
・行動パターン上に、情報やコンテンツ自体を置いていく

ということになります。

こうした上で、ようやくファースト・チョイスになるための施策を講じていかなくてはなりません。ここからが本番です。


先ほど、人は好むジャンルが決まっているということを書きました。これを利用すると、ジャンルど真ん中のコンテンツを考えて、これをターゲットへとぶつけていくのが王道です。

ユーザーの時間とお金の奪い合いだと書きましたが、今は特に時間が重要だとされています。ユーザーは様々なコンテンツ消費に忙しく、自分の興味から外れたものに手を出す余裕はありません。

それならば、興味ど真ん中と思われる作品を供給していくしかないのです。

さらに気を使うべきは、競合の状況です。いくら自分たちが一番だと思って提供したとしても、それを上回るど真ん中コンテンツが同時期に展開されてしまえば、ファースト・チョイスは奪われてしまいます。

競合状況を見極めるのはマーケティングの重要な仕事であり、これには営業部門の協力なしには成し遂げられません。自分たちに有利な場所や時期を設定するためには、競合を出し抜くような情報が必要です。この情報を掴んでくるのは、常にマーケットを歩く営業マンしかできないことなのです。


以上から浮かび上がってくるファースト・チョイスとなる必勝パターンは下記です。

①特定のジャンルを好む層の行動パターンの把握
②ジャンルのど真ん中を突くコンテンツの創出
③情報戦を制して競合の少ない時期を狙ってコンテンツをリリースする

マーケティングをする者、作る者、売る者。三者の完全なる協力体制が無ければ、ファースト・チョイスの獲得など夢のまた夢だということが、よくわかっていただけることと思います。

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