見出し画像

病は気から1

何事も病は気からだ。

そう余命1年だった彼女は矛盾を起こして勝手に去ていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕の名前は〇〇 成績も運動神経も何もかも普通の高校三年生だ今日は土曜日…学校は無く、僕は行きつけの喫茶店に来ていた。この喫茶店は人気でおじさんで一杯だった。

〇〇:メロンソーダお願いします

いつも通りの注文だ、正直コーヒーは飲めないし紅茶も飲めないお子ちゃま舌だ。それでも僕は喫茶店の落ち着く雰囲気が大好きで通っていた

カランカラン🔔このベルの音も大好きだった。

誰か来たのがすぐ分かる…いつも通り喫茶店好きのおじさん達…ではなく今日は同じ歳くらいの女子だった。

まぁ、誰が来ようと変わらない

その女子はカウンター席に座るとマスターに注文を始めた。

筒井:いつものお願いします

注文が終わり彼女は席が埋まっていることに気づいたらしい。

〇〇:ここの常連さんなのかなぁ…

僕はそう思いつつメロンソーダを啜った

やっぱりいつも通りが一番落ち着く……いつも通りの美味しいメロンソーダ…いつも通りの喫茶店…でもいつも通りはすぐに終わった。

筒井:あ、あの〜…学校同じ子だよね…?

〇〇:え?△△高…?

筒井:そうそう!良かったぁ〜前良い?

〇〇:いいですけど…

筒井:え〜何か同級生の中に喫茶店に行く人がいるとはなぁ〜意外かも

〇〇:あのごめん、名前聞いても…?

筒井:あ、3-Aの筒井あやめでーす

〇〇:3-A…?僕もだけど…

筒井:あ、そっか…私昨日ね〜用事あってさ行ってないのよ笑 

〇〇:そうなんだ、よろしくお願いします…

筒井:冷たっ、え…生きてる?笑

〇〇:生きてますよ…失礼な

筒井:ごめんごめん笑 君はさぁ喫茶店よく来るの?

〇〇:まぁ一応毎週土日とか気まぐれですけど
筒井:へぇ〜私も好きなんだぁ〜!

〇〇:そうなんですね…

僕は女子との慣れない話に辛さを感じてしまい手元の本を読む📕

筒井:おいおい、お話中に本を読むのは良くないぞぉ〜

〇〇:女子との会話は慣れないんです…

筒井:え、なにそれ可愛い笑

〇〇:馬鹿にしないでください…

筒井:ごめんごめん笑 じゃあ私飲み終わったし…君も気まずいだろうし人も混んでるから帰るね?

〇〇:はーい

筒井:冷たいなぁ笑

筒井さんが出た後、僕も本を閉じクリームソーダのさくらんぼを残して帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キーンコーンカーンコーン🔔
高三の春、生徒は皆少し余裕を持ちながらも本気で勉強を始める。

そろそろ受験の時期だ…

筒井:おーい〇〇〜

僕には高校の友達関係が広く浅いせいで深くは1人もいない。だからか僕を呼ぶ女子の声にクラスのみんなが騒めいていた。

〇〇:はい…?

筒井:よっ!〇〇

〇〇:おはようございます…

筒井:相変わらず冷たいねぇ笑 

筒井:隣の席なんだしさ〜仲良くしてよ笑

〇〇:と、隣…?

確かに隣の席は空いているけど、まさか筒井さんとは

〇〇:そっか、よろしくお願いします……

筒井:よろしく〜隣だしさペアワーク一緒かな〜?楽しみ!

〇〇:ペアワークなんてあるかな…?

筒井:え、無いの…?期待外れだなぁ学校も

凄い上からだな

筒井:ないならさ…私のペアになってよ!

〇〇:ペア…?

筒井:そうそう!私と君のペア!良くない?笑

彼女は変な提案を爽やかな笑顔で誤魔化す

僕は良く分からないまま頷いた

筒井:じゃあ決定ね〜ペアはペアの為に!これ教訓ね!

〇〇:ペアはペアの為に…?

筒井:そうそう、例えばペアが困ってる…じゃあもう1人が助ける!みたいな?笑

〇〇:な、なるほど?

筒井:あ、でも流石に片方が死んだら死ぬみたいなやつじゃ無いからね?笑

〇〇:分かってますよ

筒井:ならよし!

僕等は休み時間にペアになろうと歩みよいあった。

筒井:ねぇ〜〇〇今日さ?喫茶店行こうよ!私のお気に入りの場所あるの

〇〇:まぁ勉強するなら

筒井:じゃあ決定ね!!

〜放課後〜
筒井:じゃあ行こ〜

〇〇:うん
僕達は学校から出てあやめさんのお気に入りの喫茶店に行く

カランカラン🔔
マスター:おぉ〜あやめちゃんまた来たのかい〜?

筒井:はい、彼と一緒に!

〇〇:こんにちは……

マスター:いらっしゃい〜

筒井:マスター!いつものと…クリームソーダでいい? 
〇〇:あ、うん…

筒井:はいどーぞ

僕はマスターから筒井さん越しにクリームソーダを受け取る

〇〇:ありがとうございます

筒井:ん〜…君さ何でそんな他所他所しいの?私達ペアじゃん!

〇〇:いやそう言われても…高校3年間の中でこの前会ったばっかですよ

筒井:いやいや、そんな事言ったら私3年間学校在籍してるけど友達0だよ笑

〇〇:そうなんですね…

筒井:え?いやいや笑 もうちょっと興味持ちなよ君〜こんな可愛い子が友達0なんだよ?

〇〇:他人の事とかあんま興味無いんで

筒井:そっかぁ…

その一言に少しだけ間が生まれた流石に言い過ぎたと思い口を開けようとした瞬間だった

筒井:私ね〜あと余命1年なの

〇〇:へーそうなんですね

その一言を発してクリームソーダを飲む。今度は僕が間を作ってしまった、というか作るしかなかった。

筒井:え〜これでもダメ?も〜君はもうちょっと人に興味持つべきだよ?

〇〇:急すぎますし嘘なのバレバレですから興味も何も…

筒井:嘘じゃ無いよ?

〇〇:は…?

あまりにも唐突な事実で殴られ唖然した

筒井:私ね〜白血病ってやつなの!高校入ってから入院してたんだけどさ?昨日久しぶりに検査受けたら余命1年だって笑笑

〇〇:そ、そうなんですね……

僕はあまりにも動揺してしまい手元にある本を出しては読み出した。

筒井:もぉー君!そこはペアとして心配するとこだよ〜?

彼女は僕の本の栞を取って顔を見る

〇〇:大丈夫なんですか…?

筒井:大丈夫な訳ないじゃ〜ん何言ってるの死ぬのよ?笑

〇〇:だって心配しろって

筒井:まぁこれからもって事!ペアなんだしさ?私が死ぬまで私とペアでいてよ笑

〇〇:分かりました……

こうして僕達ペアの余命1年は始まった。


何も変わり映えのない日常、受験生の中テストの点数が変わるくらいしか変化のない僕の日常に余命1年の美しい"花"が咲いた。

ー病は気からー
to be continued……

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?