8音階(オクタトニックスケール)
今回は8音階(オクタトニックスケール)についてざっくり解説します!
目次はこんな感じ(タップorクリックで飛べます)
8音階(オクタトニックスケール)とは?
8音階(Octatonic Scale, オクタトニックスケール)
全音・半音を交互に繰り返す規則性・対称性を持つ音階(スケール)
オクタトニックスケールは、通常の和声進行(コード進行)を逸脱した非調性音楽の旋律、即興演奏などで多く使われている。
(参照元: コード理論大全)
コード理論大全には非調性音楽と書いてありますが、これは基本的には全音階(=長調・短調から成る音階)ではない音楽のことを言っているようです。バルトークのような19世紀後半から20世紀のクラシック音楽の作曲家は全音階からは逸脱した音階を使って作曲したりしていますが、その中でこの8音階(オクタトニックスケール)も使われています。オクタトニックスケールは8つの音をなんでも好きに選んで音階にすれば良いというわけではなく、一般的には全音と半音を交互に規則的に並べた音階のことを言います。
特徴
全音(長2度)と半音(短2度)を交互に繰り返す規則性を持っています。
オクタトニックスケールは全音・半音を交互に繰り返すので、
全音→半音→全音→半音・・・
という並びと、
半音→全音→半音→全音・・・
という並びがあります。
主音をCのCオクタトニックスケールで見るとこんな感じになります。
全音スタート
半音スタート
オクタトニックスケールの種類
オクタトニックスケールは3種類しか存在しません。全音スタートの場合で見てみましょう。
1. 第1音がCの場合
2. 第1音がD♭の場合
3. 第1音がDの場合
仮に第1音がE♭の場合を考えると…
これは1. 第1音がCの場合と音階の構成音が全く一緒になりますね。同じように第1音がEの場合、Fの場合・・・で音階を作っていっても必ず、1. 第1音がCの場合, 2. 第1音がD♭の場合, 3. 第1音がDの場合のどれかと構成音が同じになります。これは、オクタトニックスケールがディミニッシュセブンスコードの構成音から作られた音階だからです。
オクタトニックスケールの成り立ちを考える
ではオクタトニックスケールをディミニッシュセブンスコードから作っていきましょう。
Cディミニッシュセブンスコード(Cdim7)で考えていきます。
Cdim7は短3度(半音3つ)を積み上げてできる和音(コード)なのでこんな感じの和音ができます。
Cディミニッシュセブンスコード(Cdim7)
これにテンションを加えていきます。
ルート音Cに対して、テンションとして長9度(9th)D, 完全11度(11th)F, 短13度(♭13th)A♭, 長14度=長7度(M7th)Bを加えると下でCdim7+テンションと示すような和音になります。(テンションとしてどうしてこの4つの音を加えられるのかは割愛します。)
加えた4つのテンションの部分だけピックアップするとDディミニッシュセブンスコード(Ddim7)になっていることが分かりますね。このCdim7とDdim7の構成音を第1音Cから音階に並べるとCオクタトニックスケールができあがります。
オクタトニックスケールを使った作曲家
19世紀後半から20世紀にかけてクラシック音楽の分野でも積極的に取り入れられました。代表的なのはこの方々
オクタトニックスケールを使った作曲家
・リムスキー・コルサコフ
・ドビュッシー
・ラヴェル
・スクリャービン
・バルトーク
・ストラヴィンスキー
・メシアン
オクタトニックスケールの色んな呼び方
オクタトニックスケールは色々な国・ジャンルで使われてきたので、色々な呼び方があります。幾つかピックアップしてみます。
オクタトニックスケールの色んな呼び方
・ディミニッシュスケール/コンビネーション・オブ・ディミニッシュスケール(ジャズ・ポピュラー音楽などでの呼び方)
・移高が限られた第2旋法(オリヴィエ・メシアン)
・1:2モデル(エルネー・レンドヴァイ)
・コルサコビアン音階(リムスキー・コルサコフ)
ディミニッシュスケール/コンビネーション・オブ・ディミニッシュスケール
オクタトニックスケールのうち、全音スタートと半音スタートをそれぞれ次のように呼ぶこともあります。
・全音スタートのオクタトニックスケール
=ディミニッシュスケール
・半音スタートのオクタトニックスケール
=コンビネーション・オブ・ディミニッシュスケール(略してコンディミ)
こちらはジャズやポピュラー音楽でよく使われる呼び方かと思います。
移高が限られた第2旋法
20世紀のフランスの作曲家 オリヴィエ・メシアンは著書『わが音楽語法』の中で移高が限られた第2旋法としてオクタトニックスケールについて書いています。ちなみに『わが音楽語法』の中で移高が限られた旋法は第7旋法まで挙げられていて、第1旋法はドビュッシーが多用した全音音階(ホールトーンスケール)です。
1:2モデル
ハンガリーのバルトーク研究家 エルネー・レンドヴァイは論文『バルトークの書法』の中で1:2モデルとしてオクタトニックスケールについて書いています。日本では全音楽譜出版社から『バルトークの作曲技法』・『音のシンメトリー』として日本語訳が刊行されています。ちなみに、民俗音楽学者として東欧の民謡を研究したバルトーク自身はオクタトニックスケールについて、「(民謡で用いられるものとしては)極めて珍しい音階であり、全音階と半音音階を媒介するもの」と言っています。
コルサコビアン音階
19世紀後半から20世紀のロシアの作曲家リムスキー・コルサコフがオクタトニックスケールを多用したことで、コルサコビアン音階と呼ばれていたようです。他にも、ロシアではリムスキー・コルサコフスケール, リムスキー・コルサコフモードと呼ばれたりもしているそうです。ロシアの古い民族音楽にはオクタトニックスケールが使われています。
おわりに
以上が、8音階(オクタトニックスケール)のご紹介でした。読みやすさ重視で極力コンパクトになるよう内容をかなりギュッと絞りました。オクタトニックスケールのここももっと知りたい!という方は、コメント頂ければ追記を検討します。
今回の参考図書
最初に参照元としてご紹介したコード理論大全。和声・コードの基礎から実用的な知識まで非常にわかりやすく網羅してあっておすすめの1冊です。
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