【マーラー交響曲第2番《復活》 分析編⑤】第4楽章
こんにちは。
《復活》分析編最終回です。
今回の分析は第4楽章『原光』についてです!
4楽章『原光』は元々歌曲集《子供の不思議な角笛》に組み込まれていた曲でしたが、後に削除され最終的に4楽章として《復活》に組み込まれたという経緯がある曲でした。
歌詞テキストに使用されているのは詩集『子供の不思議な角笛』のテキストで、アルトとオーケストラ用に作曲されています。
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第4楽章『原光 Urlicht』
この4楽章はスケルツォ楽章(3楽章)で提示された人生に対する懐疑的な問いに対して答え、交響的カンタータ(合唱付きの楽章)であるフィナーレへと導くもので、ストーリーの演出上重要な役割を担っています。
マーラーは4楽章『原光』について次のように解題しています。
三部形式
マーラーは詩の構造を三つの連からなるもの、と考えたようです。
そのため楽章の構成も三部形式となっています。
主部(部分A)と再現部(部分A')の部分は同じ動機と主題に基づいていますが、構造や性格は同じではありません。部分A冒頭で聴かれた歌の旋律は、部分A'の最初ではより緊張し、切迫した動機に変化します。
ちなみに、和声的にもドミナントを続けていることによる推進力で焦燥感や切迫感が演出されていますね。
詩の構造
表の通りに各部ごとに詩を三連に分けると👇のようになります。
主題・動機
コラール風の旋律
冒頭でファゴット・コントラファゴット・ホルン・トランペットによるコラール風の旋律。この旋律は主部(部分A)の27〜30小節(「だから私は天国にいたいのだ!」の部分)・再現部(部分A')の63〜65小節(「永遠の至福に満ちる生」の部分)でそれぞれ回帰します。
主部(部分A)と再現部(部分A')の同じ動機による主題
「サナギの状態」を表すグロッケンシュピール
中間部で天使が現れる場面では、グロッケンシュピールが使われています。
マーラーはこのグロッケンシュピールについて、友人のバウアー=レヒナーに次のように言及しています。
「サナギの状態」(Pauppenstand)はゲーテの『ファウスト』第2部第5幕最終場面に出てくる言葉で、この場面は後に交響曲第8番(マラ8)第2部の歌詞テキストとして使われます。
マーラーのゲーテに対する造詣の深さや受けた影響の大きさが垣間見えますね。
ちなみに、ここのグロッケンシュピールは7つの音が鳴らされます。
この7という数字は、キリスト教的には完成・完全を意味する数字で、フィナーレの「永遠」と「昇天」の主題のところでもグロッケンシュピールに7つの音を鳴らさせていましたね。
まとめ
『原光』の分析編は以上です。
『原光』はスケルツォからフィナーレをつなぐ、ストーリー上重要な楽章です。後のマラ8のテキストにつながる、ゲーテの『ファウスト』ともコンセプト上の繋がりが見えておもしろいです。
今回で《復活》分析編も完了しました!
次回は今回散々《復活》と繋がりが深い曲としてご紹介してきたマーラーの交響曲第1番《巨人》について解説を書いていきたいと思います!
(仮決めなので変えるかもしれません笑)
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