生徒指導にも活かせる「再評価」ってなんのこと?
みなさんこんにちは。
学校現場で働いていると、本当に様々な問題が起こりますよね。そして、その度に、生徒とじっくり話をしたり、時には叱ったりしますよね。いわゆる「生徒指導」です。
みなさんが学校で生徒指導をしていると、こんな悩みをもつことがあるのではないでしょうか。
生徒指導をしても・・・
この指導が正しいのかどうかわからない。
話はしたけれど、どこに着地させればよいかわからなくなった。
本人が納得できているかどうかわからない。
今回は、そんな悩みを解決する手立ての一つとして、私が実践している「再評価」についてまとめます。
なお、本日の内容は、内田舞さんが書かれた『ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る』を参考に、その内容を学校現場でどのように活用できるかを、私の実践を含めて解説します。
「感情」「考え」「行動」を「再評価」するとは
今回テーマとしている「再評価」とは、一体どんなものなのでしょうか。
以下は、本書からの引用です。
引用部では、「行動に移す前に、一回立ち止まって再度評価し直す」とありますが、今回は生徒指導に関わって、「起きてしまったこと」について、改めて評価する方法を「再評価」とします。
実際、本書の中には、内田さんが息子さんと一緒に、息子さんの行動について後からじっくりと話し合い、再評価するエピソードが書かれています。
そのエピソードでは、認知行動療法で一般的な、「感情」「考え」「行動」の3つに分けて再評価する方法が用いられています。
わざと水をこぼした息子さんに対して、「感情」「考え」「行動」を確認し、1つ1つの答えを一緒に再評価しています。
そして、「感情」に関しては否定せず、「考え」に間違いがあることを指摘し、正しい「行動」に導いています、
実際に生徒指導で活用した話
このような「感情」「考え」「行動」を分けて指導することは、学校現場に置いても、非常に有効です。
私はこの方法を用いてから、生徒指導に関わって、話の着地点がわからなくなったり、生徒が納得できないまま帰宅したりすることがなくなりました。
ここでは、実際に起こった生徒指導事案に対して、私が「再評価」を活用して生徒と話をした例を紹介します。
起こった出来事
ある朝、教室内でトラブルが起こりました。生徒Aが生徒Bのペンを破壊してしまったというものです。
よくある指導であれば、生徒Aに対して「なんでそんなことをしたんだ?」「ペンを壊すことはよくないようね」「謝るべきなのではないか」という話をする流れになろうかと思います。
しかし、これでは、生徒Aの気持ちを理解することも、生徒A自身が考え直すこともできません。
ペンを壊してはいけないことくらい、本人もわかっているはずです。でも壊してしまったのです。その背景を考える必要があります。
ここで「再評価」の登場です。
今回は、話をわかりやすくするために、生徒Bに対するアプローチは省略します。
学校における「再評価」のステップ
1.事実の確認
まず初めに、事実を確認します。
生徒Aは、自分の行動について嘘をつくことなく冷静に話をしてくれました。周りの生徒から聞いた話とも一致しました。
2.「感情」の確認
いよいよここからが「再評価」の出番です。
「感情」「考え」「行動」を3つに分けて、「再評価」していきます。
ぶつかられてイラッとすることは、決して間違ったことではありません。
生徒が感じた「感情」に対しては、否定する必要がありません。
3.「考え」の確認
「感情」がわかったら、どう考えたのか、「考え」の確認です。
どうやら、ここで「わざとだ」と決めつけてしまったようです。
しかし、ここではまだ指導はしません。じっくりと話を聞くことを続けます。
4.「行動」の確認
「考え」を確認したところで指導したくなるかも知れませんが、もう少し待ちましょう。
「行動」の確認です。
最初に確認した事実と同じになりました。
これで、生徒Aがどういったプロセスで、生徒Bのペンを破壊するに至ったのかがわかりました。
5.一緒に「再評価」
ここまでの確認を経て、ようやく「再評価」できます。
大切なことは、どんな「行動」をするべきだったかを、生徒が自分の言葉で表現することです。
この「再評価」のプロセスを経れば、生徒が自分の行動に至るまでの「感情」や「考え」を振り返り、どんな「行動」をすべきだったのか、自分で考えることができます。
まとめ
今回は、内田舞さんの書かれた『ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る』を参考に、「再評価」の観点から考える生徒指導の方法について、内容をまとめました。
「感情」「考え」「行動」を3つに分けて再評価する。
分けて考えることで、生徒本人が正しい「行動」を考える。
当たり前ですが、生徒は「ペンを壊してはいけない」なんてことは知っています。
知っているけれど、やってしまうのです。
大切なことは、その行動を叱るのではなく、その行動に至るまでの「感情」や「考え」に焦点を当てて、冷静に、よりよい「行動」を一緒に考えていくことです。
生徒指導には正解がなく、常に迷いがあると思います。
そんな迷いがある中でも、今回紹介した「再評価」のような方法を活用することで、より効果的な生徒指導ができるようになるのではないでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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