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公務員が立食パーティーに出る理由

こんちは!副業社労士まさゆきです。

サラリーマンをやっていると業界団体の賀詞交換会等がありますが、公務員の方々が出席する場合は必ず立食パーティーでした。先日、「公務員への贈収賄~国家公務員倫理規程」のレクチャーを頼まれ、調べてみて初めて立食の理由が解りました。

【国家公務員倫理規程Q&A】
「公務員に賄賂を贈ってはいけません」当たり前です。では、公務員の幼馴染が仕事相手になったら、結婚式でお祝いを出せば賄賂になるのでしょうか?国家公務員倫理規定のQ&A(人事院発行)に細かく定められています。興味深い例をいくつか紹介します。

《公務員と言っても全ての公務員が対象ではない》
当たり前ですが「仕事相手の」公務員に対する賄賂が対象です。注意したいのは「仕事相手の公務員に命令できる上司」も対象です。そして、仕事相手には公務員が管轄する業界会社も含まれます。例えば、厚労省の公務員にとって製薬会社の社員は仕事相手です。少し広すぎるよう思いますが…

《幼馴染の公務員とは節度あるお付き合いを》
幼馴染が公務員になり仕事相手になった…プライベートの付合いは出来なくなるのでしょうか?結婚祝い、葬式の香典、プライベートの飲み会…問題ありません、あくまでもプライベート、社会通念上常識の範囲で国民に疑念や不信を与えないレベルならば…です。

《食事も大勢が出席する立食パーティーならOK》
仕事相手の公務員と旅行、ゴルフ、食事はNGです。ただ、食事は大勢が出席する立食パーティーなら問題ありません。冒頭の立食パーティーの理由です。これ、“立食”なんです…居酒屋はダメみたいです。“立食は軽食”の主旨のようですが、最近は立食でもいい食事が出ます。きっと“料亭のような豪勢な食事はダメ”なのでしょう。

《公務員と仕事で出張、定義は厳密》
公務員と仕事で出張する際、公務員が堂々と出張できるのは、①公務員に公務の出張命令が出て②仕事相手(貴方)を同行させる公務上の理由がある場合です。駅から目的にタクシーで行く際、公務員の方を同乗させてもいいのか?Q&A上は「基本は経費が出るので自分でタクシーを捕まえましょう。ただ、仕事相手(貴方)に余分な料金負担が発生しないなら同乗も差し支えない」です。ただ、実際には疑われないよう別々に乗るでしょうね…

倫理法・倫理規程Q&A (jinji.go.jp)

【刑法上の贈収賄罪も公務員に厳しい】
公務員に賄賂を贈ると、贈賄罪に問われます。賄賂を贈るだけでも、賄賂を贈って便宜を求めても(便宜は未遂でも求めるだけでダメ)、便宜を図ってくれれば賄賂を贈ることを約束するだけでもダメです。罰則は3年以下懲役または250万以下の罰金、時効3年です。
公務員は収賄罪に問われます。公務員の方が罪は重く、5年以下の懲役、受託収賄罪(賄賂をもらって便宜を図る)は7年以下の懲役、加入収賄罪(便宜が不正行為の時)は最大20年の懲役です。罰金は収賄額相当額。一番の特徴は時効が5年、贈賄側に時効後証言してもらい、公務員だけ逮捕出来るようにしています。

【会社法にも規定あり】
会社法には、取締役、会計監査人、株主にも贈賄罪が適用できるよう規定しています。967条は取締役、会計監査人対象で3年以下の拘禁または300万以下の罰金。968条は株主で5年以下の拘禁または500万以下の罰金です。社会的責任がある立場なので刑法より重くなっています。

【外国公務員等への贈賄罪は不正競争防止法】
外国人公務員等への贈賄罪は条約上の禁止行為です。刑法、会社法は個人のみを対象としていますが、条約では法人にも罰金を課すため、不正競争防止法第18条に規定されています。
個人には10年以上の懲役または3000万以下の罰金もしくはその併科、法人には10億円以下の罰金、時効は7年です。今年2月にOECDからの指摘により厳罰化されました。
相手公務員国の法でも罰せられる可能性があります。注意が必要です。

今回はいつもとちょっと違う分野でした。ではまた次回

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