エクソシストシャーク2の話(ネタバレマシマシ)


はじめに

年の瀬も迫る12/22日、新宿シネマートにて全世界待望(?)のエクソシストシャーク2が公開された。前作「エクソシストシャーク」(旧題:デビルシャーク)は多くの人から「手軽に見られる虚無」「時間の大切さを考えさせられる」「体感4時間」等の感想が寄せられ、私を含む一部の界隈からは「稀代の怪作」「深すぎて逆に分からない」「デビシャちゃん推せる」等話題に事欠かない存在である。

冒頭の、前作との匂わせ


まずは、前作のマイケル神父による悪魔ザメとの一騎打ちの回想が入り、時系列的には1→2である事が考えられ、マイケル神父の兄、ダニエル神父の発言からもこれは明らかであろう。同じく回想でリンダブレアと思わしき女性が、死んだ赤ん坊を水へ放り込み贄として悪魔ザメを召喚するのだが、ここで早速矛盾が生じる。前作では彼女と因縁がある女性がナイフで刺され、生贄となったが、今回は赤ん坊になっており、辻褄が合わないのではないか?しかし、これはあのスティーブン・キングも認めた作品の続編、そんなチャチなミスをするとは思えないのでパラレルワールドの話の可能性を考慮し、一旦頭の片隅に入れておく。

オープニング

親の声より聞いたいつものBGMだが、長い。びっくりするほど長い。それもそのはず、スタッフ陣だけでなく、クラファン参加者のクレジットが続くからである。正気か?スタッフより尺長くないか?
極めつけは日本人名の多さ。体感6割以上は日本人という異常事態に私も乾いた笑みが溢れるのみである。クラファンやった人たちの中で当日映画館にいたの私だけなのにこの数は何…?

本篇

開幕から雨の降りしきる中、郊外のスーパーと思しき店から出た男がヒッチハイクをしている。悪天候の撮影は可哀想だろという監督への文句と、お前は車なしでどうやってここに来たんだという脚本への文句を心の底へ沈めつつ、彼はシスターの車に拾われる。彼は眠らされ、シスターによって生贄となり悪魔ザメの降臨に成功するのだが、このシスター、なんと前作のリンダブレアの姉である。急に姉が生えてきた。リンダブレアは2人姉妹と判明し、先述したマイケル神父は3人兄弟と判明した。数学的帰納法の考え方だとエクソシストシャークn(nは任意の自然数)にはリンダブレアはn人姉妹でマイケル神父はn+1人兄弟となる。行けるところまで突き抜けて欲しい。
処変わり、百合カップルの登場。ポリコレに配慮してるのか?と思ったが、作品規模的にそこが話題になることはないので多分脚本か監督の趣味である。そして百合に挟まろうとする男が来た。何だこいつは。視聴者の脳を破壊しに来たのか?百合の片方とジップラインに挑戦しているが、これに既視感を覚えた邪教徒前作ファンは多いだろう。1分間ジョギングを彷彿とさせる虚無時間である。何の意味もない。

主人公(?)ケーシーの登場

内容を忘れてきたのでちょっと話を端折りつつ進めようと思う。際どい格好をした金髪のケーシー(こんな名前だったはず)が何やら衣装を選んでるようだが、やたら尺を稼ぐ。衣装に頬ずりをしまくるんだが、だんだんとストリップショーの楽屋なんじゃないかと錯覚してくる。ケーシーは高級リゾートでバカンスをする野望の為にパーティダンサーの仕事を決意するが彼氏に止められひと悶着あり、彼氏が催涙スプレーで自爆する。ほんとおバカ。彼が目を洗いたいと水を欲するのだが、そこでまた尺を稼ぐ。気を溜めるだけで1話使ってたドラゴンボールZか?
ケーシーがパーティ会場につくとそこには1人男がいるだけ。まぁなんやかんやあってケーシーと男は映画列挙ゲームに興じる。DVDで見てたら飛ばしてた。

百合ップルと神父の邂逅

今回の神父は一味違う。なんと悪魔ザメに対処できるのだ。もうそれだけで今作を見る価値がある。まあちゃんとした祓魔師としてのカッコいい姿を見たいならブラウザバックして「ヴァチカンのエクソシスト」を見よう。
さて、夜も更けたある日に百合の痩せた方が台所に行くと、窓の外でシスターがこちらを向いて佇んでるのを発見する。冒頭で悪魔ザメを召喚したあいつである。ここのシーン、とても雰囲気がよく絶妙なホラー感が醸し出されており、私の好きなシーンの1つだ。例によって百合の片方は死に、神父が悪魔ザメを追い払う。

衝撃のラスト

パーティ男に騙されたケーシーがつれて来られたのは悪魔ザメの被害があった砂浜。前作のパリス•ランディング(湖)にしか見えないのだが、本人たちがビーチと言ってるのならそこはビーチなのだろう。ザックリ流れを話すと、パーティ男が死に、神父が悪魔ザメを追い払うが、直後にシスターに殺される。いくらなんでも雑すぎる。起承転結の"て"から結にワープした。あれだけ尺稼ぎしたのに尺が足りなかったかのようなたたみ方…これだよこれ!これがZ級サメ映画だ!と私達に思い起こさせるドナルド•ファーマー監督のワザマエである。

エピローグ

ナンシー復活。待望のナンシー登場である。
前作で悪魔ザメに憑依されたナンシーがとても元気にリポートをしている。前作との矛盾その2である。リポートついでにオープニングで収まりきらなかったクレジットが流れる。私は考えるのをやめた。もはや前作と辻褄を考えるのは無為と悟り、流れてくる情報を咀嚼せず流し込むしかない。
デビルシャーク最高!エクソシストシャーク最高!エクソシストシャーク2最高!

総評

年末に現れたサメ映画界のバケモノ。私達の心に大きな恵みを残していった。サメ映画界隈の底に君臨する覇王の貫禄を見せてくれた。
前作の反省を踏まえ、過去に当たるシーンは画面の比率を変えたり加工を施したりすることで分かりやすくなった一方で、話の進行に課題が残る。明らかに別撮りしている会話があったり、天候がやたら悪かったり等、コロナもあったことで撮影にはかなり難儀したと見受けられる(そこを踏まえてリスケしろというのは禁止カード)。円盤化の際のオーディオコメンタリーでの解説や、続編での描写補充に期待したい。
円盤化したら布教用や有事の際の備蓄として数枚買っておきたい。

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