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島根スサノオマジック2020-21シーズン全選手を振り返ろう

はじめに

5月10日、島根スサノオマジックの2020-21シーズンが終了。

コロナ禍におけるシーズンではありましたが、西地区では唯一となる全60試合完走。球団B1最多を大幅に更新する28勝を挙げ、西地区10チーム中5位と大きな躍進を遂げるシーズンとなりました

この記事では、島根の躍進を支えた選手たちの今シーズンの活躍ぶりを振り返ります。

※本記事で用いる写真は球団公式HP及び公式Twitterから拝借しました。


※本記事で用いるスタッツはBasketballnavi.DBさんから引用しました。

※選手名については敬称略とさせていただきます。予めご了承ください。



勇猛果敢

#1 後藤翔平 SG

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ハードなディフェンスとハッスルプレーが持ち味のガッツマンは島根4季目。前半戦は顔面骨折などで欠場もあったがフェイスガードを着用して復帰。プレイタイムは長くないながらもアグレッシブなプレーで度々チームに流れを呼び込み、存在感を示した。今年大きく成長したのはシュート面。アテンプトは多くないものの3PT%(昨季13.0%)、2PT%(同45.8%)、FG%(同36.6%)、FT%(同45.5%)が上の表の数字へと大幅に改善された。外国籍選手と合わせるバックドアやシーズン最終盤で高確率で沈めたスリーポイントが特に印象的だった。持ち前のディフェンスも健在で、同じくディフェンスに強みを持つ白濱とのローテで多く起用された。




臥薪嘗胆

#2 橋本尚明 SG

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高いディフェンス力を期待され横浜から島根に加入した今季は、体調不良やケガに泣く悔しいシーズンとなった。開幕2戦目でスリーポイントシュートを決め移籍後初得点を記録するも、10月後半は体調不良で欠場に。翌月復帰すると12月初旬には3戦連続の二桁得点を記録。特に12月5日の千葉戦は9点差敗戦ながら自身のプレイ時間の+/-は+14を記録する活躍。当時日本人選手の得点力不足に苦しんでいたチームの中で思い切りよくシュートを放つ姿は一際輝いた。しかし、12月中旬の練習中に負傷し長期離脱。3月にはさらなる故障が発覚となり、結局今シーズンコートに戻ってくることはできなかった。14試合出場にとどまったもののプレーでインパクトを残したのは確か。悔しさを乗り越えた彼の来季に期待したい。




旱天慈雨

#3 ルーク・エヴァンス PF (現 エヴァンス・ルーク)


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コロナ禍における水際対策の影響によるトラビス、ビュフォードの合流遅れに伴い緊急加入し、開幕直後4試合をプレーした救世主。B1でのプレー経験はなかったが、相手外国籍選手相手に一歩も引かないプレーを披露。特に開幕2戦目は20得点9リバウンドを記録するなど能力の高さを見せた。島根退団後はB3静岡に加入。1試合平均16.6得点(リーグ10位)、7.5リバウンド(リーグ12位)を記録し静岡の好調を支えている。1月末に日本国籍を取得し現在は帰化アジア枠でプレー中。外国籍選手2名と同時にコートに立てる帰化選手はB1でも貴重な存在。彼のプレーが再びB1で見られる日も近いかもしれない。




百戦錬磨

#5 山下泰弘 PG

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プロ12年目、経験豊富なベテランは今季もチームを支えた。キャプテンは北川に代わったが、その北川とはタイプの違うゲームメイクでチームに緩急をつけたり、若手、中堅の日本人選手が苦しむ中でもリングにアタックする姿勢を見せ続けたりと欠かせない存在だった。昨季に比べるとプレイタイムがやや減ったこともありスタッツは落ちたが、3PT%だけは10%以上の上昇。要所で効果的に沈める彼のスリーに島根は何度も救われた。中でも1月27日アウェー大阪戦、第4クオーターでの同点ブザービーターは鳥肌ものだった。

オフェンスだけでなく、リバウンドやスティールでもチームに大きく貢献。ホームで川崎を破った試合のこのプレーも忘れられない。

コンディション不良で欠場もあったが、その存在感とスキルは健在。来季も元気なプレーに期待したい。




日進月歩

#6 北川弘 PG 主将

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キャプテンとして迎えた島根のスピードスターの今季は、苦しいスタートだった。開幕戦こそ13得点でチームを勝利に導いたものの、キャプテンの重圧からか、ゲームメイクもシュートタッチも振るわない時期が長く続く。それでも12月にはスターターで起用されはじめ、アシストで徐々に存在感を発揮。12月27日の横浜戦で8連敗脱出を決めた際には号泣。トラビスに抱きしめられる姿が印象的だった。ちょうどシーズン折り返しの31試合目だった1月30日の川崎戦で2か月半ぶりに3本のスリーを沈めると、ここからシュートタッチが安定。シーズン通してで見ると表のようにシュート面のスタッツは振るわなかったが、後半30試合の3PT%は33.9%と持ち直した。リーグ17位の4.1アシストも記録。最終戦ではB1自身初の10アシスト。来季はB1で初のダブルダブルにも期待したい。

試合を重ねるごとに落ち着くゲームメイクと増していくキャプテンシー。シュートの積極性も開幕当初とは別人。日々の努力が実を結び、B1で通用するPGへと見違えるほどに成長を遂げたシーズンだった。




千両役者

#7 ペリン・ビュフォード SF

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4年で4大陸7球団を渡り歩き、8球団目に島根を選んだジャーニーマン。10月中旬の北海道戦から合流すると早速二桁得点を記録するなど能力の高さを見せたが、11月中旬から約2か月の離脱。チームはこの期間中に8連敗を喫することとなる。先述のジャーニーマンっぷりとそのポーカーフェイスからどこか掴めない存在であったが、復帰直前に公開された島根スサノオマジック密着番組「スサノオノミカタ」が彼のイメージをガラッと変えた。

惜敗で8連敗目を喫し意気消沈するチームを試合後、ロッカールームで鼓舞する姿は大きな反響を呼んだ。復帰3戦目の大阪戦で19得点を挙げチームを劇的な勝利に導くと、ここから彼の勢いは止まらない。高いドリブル技術を用いたペイントアタック、抜群の安定感を誇るミドルに鮮やかなスリーとシュートだけでも多彩だが、魅力はこれだけではない。相手によって生まれるスピード、あるいは高さのミスマッチと高度なスキルでズレを作りオフェンスの起点に。視野も広くチームハイの1試合平均4.3アシストを記録、時にはPGも務めた。198cmは外国籍選手としては高くはないが、長いウイングスパンと跳躍力を活かしてリバウンドも乱獲した。強豪渋谷相手に劇的勝利を掴んだ2月26日の試合では30得点を記録。中でもオーバータイムに見せたこのプレーは、「ペリン・ビュフォード」の名をBリーグ界に轟かせた。

その後も躍動感のあるプレーでシックスマンとしてチームに大きく貢献。4月3日の富山戦から最終戦まで、12試合連続で二桁得点を記録。シーズンを通してダブルダブルを8度、トリプルダブルを2度達成した。確かな技術と魅せるプレーを併せ持つ彼の残留を願ってやまない。




質実剛健

#8 リード・トラビス PF

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島根が誇る若きインサイドの支配者。高校ではカール・アンソニー・タウンズやデビン・ブッカーなどとともにオールアメリカンに選出され、大学でもロンゾ・ボールらとともにオールカンファレンスに選ばれた経歴を持つエリート。ビュフォード同様10月中旬の北海道戦から合流し2戦目で早速ダブルダブル。その後も屈強なフィジカルとハイレベルな舞台で培ってきた技術を活かして攻守両面でインサイドを制圧。特にオフェンスリバウンドには何度も救われた。走力も十分でファストブレイクからのダンクはもはやお馴染み。ペリメーターも安定して沈め、さらにはオフに仕込んだというスリーポイントも中盤からは島根の武器になっていた。こちらは8連敗脱出の試合で見せたプレー。バチクソにかっこいい。

平均得点はリーグ15位に相当。爆発力もあり、2月27日の渋谷戦ではキャリアハイの42得点を叩き出した。ダブルダブルも12度達成と素晴らしいパフォーマンスを見せ続けていたが、4月2日の富山戦で右手を負傷し今季絶望。シーズン終了前に手術のため帰国となってしまったのは残念だったが、チームのために常に体を張り続けた彼にはとても感謝している。来季は再び島根のユニホームを着るのか、はたまたNBAにステップアップするのか、その動向に注目が集まるが、まずはしっかりとケガを治してほしい。




驚天動地

#13 阿部諒 SG 副主将

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副キャプテンに就任した今季はチームでただ一人全60試合に出場。ハードなプレーを続けつつもそのタフさが光った。持ち前のアグレッシブなアタックで昨季を上回る平均5.6得点をマーク。特に2PT%は8%以上向上した。レイアップやフローターで得点を積み重ねる姿は確かに印象に残っている。3PT%も上がりはしたが、やや物足りない数字。B2時代にマークした36.5%に近い数字をB1でも残せれば、相手にとってはさらに脅威となるだろう。ディフェンスの上手さも光り、4月の三河戦で金丸とのマッチアップで活躍したのはブースターの記憶にも新しいはず。また、アッと驚くようなプレーを平然とやってのけるのも彼の魅力だ。クラッチタイムでの勝負強さにも磨きがかかった一年だった。

攻守両面でさらにレベルアップし、来季こそ島根をCSに導いてほしい。




伏竜鳳雛

#14 杉浦佑成 SF

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B2佐賀に移籍した相馬に代わる”日本人エース”としての期待を受け、渋谷から島根に新加入。能力の高さを見せるプレーでチームに貢献した一方、もっとやれるのではないか、と思わせる1年でもあった。開幕カードは2戦連続の二桁得点と好調に滑り出すも、2週間ほど離脱。復帰後は好不調の波が激しく、無得点に終わる試合もあった。それでも二桁得点16試合は日本人選手最多。世代別代表経験があり、現在も3X3日本代表候補に選ばれるだけの実力は見せてくれた。1月3日の富山戦ではキャリアハイの24得点を記録した。

シューターとしての起用がメインだった渋谷時代とは違いオールラウンドにプレーし2PT%は上昇。プレイタイムは伸びているだけに、2年連続で低下した3PT%が持ち直せば平均得点はまだまだ伸ばせるだろう。また、クラッチタイムはベンチに下がる時間が多かった印象。オフェンスだけでなくディフェンスも向上させさらなる信頼を勝ち取りたい。




難攻不落

#15 白濱僚祐

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”鬼”と称されるディフェンスをひっさげ島根に新加入。故障もあり46試合出場にとどまったが、確かなディフェンス能力を見せてくれた。相手の日本人エースとのマッチアップはもちろん、時には外国籍選手を相手に奮闘した。

平均スティールは秋田時代に比べると減少しているため、来季は万全な体でのさらにアグレッシブなプレーに期待したい。そして見逃せないのはオフェンス面。ディフェンスに注目が集まる一方でしっかりとスタッツを向上させた。特に3PT%は10%以上向上。シーズン終盤は絶好調で、ラスト10試合に限ると10/17(58.8%)を記録し8連勝に大きく貢献した。30歳で迎える来季も攻守両面に冴えわたるプレーで島根を勝利に導いてほしい。




水滴石穿

#22 小阪彰久 PF

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2シーズンぶりに島根に復帰した「こっさん」の愛称で親しまれる日本人ビッグマン。オンザコートルールの変更や帰化選手のニカが所属するチーム編成上プレイタイムは限られていたが、スクリーンやリバウンドなどコツコツと自らの仕事をこなし、確実にチームの力となった。ミドルを積極的に放っていたのも印象的。昨年強豪大阪でプレーした経験もあってか確実に技術が上がっているのが見て取れたため、もっとプレーが見たかったというのが本音だ。気がかりなのは大きく低下したFT%。ゴール下を主戦場とするプレイヤーとしては致命的な数字になってしまっているためしっかりと修正し、来季は外国籍選手や帰化選手の「繋ぎ」に甘んじないプレーを見せてほしい。ブースターに期待されたスリーは7本試投するも決められず。待望の一発は成功すればキャリア初。来季こそ決めてほしい。




疾風迅雷

#24 デモン・ブルックス PF

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昨季琉球で実績を残したスコアラーが島根に新加入。ある時はレンジを問わずスリーを沈め、ある時は高速ドライブで敵陣を切り裂く多彩なオフェンスで島根のエースとして獅子奮迅の活躍。平均30.8分出場はチーム最長で、リーグ12位でチームハイの平均17.9得点をマークと期待に応えた。4試合の欠場はあったものの、1年を通して非常にタフにプレー。前半にアクシデントで退いても後半は何事もなかったかのように得点を稼ぐその姿には心身の強さを感じさせられた。3PT%は昨年に比べると落ちたものの、2PT%は安定し、FT%はチームトップ。特にフローターの精度は凄まじかった。シーズン中盤はトラビス、終盤はビュフォードに注目が集まったが、安定感は群を抜き、二桁得点は47度を数えた。4~5月は全13戦で二桁得点、5回のダブルダブルを達成し最終戦では来日後最多の35得点。最後まで「俺がエースだ」と言わんばかりの活躍だった。




力戦奮闘

#28 ウィリアムス・ニカ C

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島根スサノオマジック史上初の帰化選手として秋田から加入した経験豊富なビッグマン。ゴール下での力強さ、上手さはもちろん、独特なステップやミドルシュートなどの柔らかさも併せ持ち、サイズ不足によるインサイドの弱さが不安視された下馬評をトラビスとともに跳ね返してみせた。今年34歳になるベテランだが最終戦を除く59試合にしっかりと出場し、昨季から大幅にスタッツを上昇。FG%はリーグ3位だった。特にビュフォードが復帰してからはパフォーマンスが急激に向上し、中でもフリースローの精度が劇的に改善されたのが印象的で、6年ぶりに60%台に乗せた。走力の高さもトランジションの中で非常に活きた。5月1日の京都戦では日本で自身初となる3PTを決めた。トラベリングなどのミス癖はあったがそれを取り返して余りあるほどの活躍と成長を見せたシーズンだった。コート外でもムードメーカーとしてチームを盛り上げる献身的な姿勢を見せてくれた。




堅忍質直

#75 神里和 PG

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ボールハンドリングとスリーポイントが魅力の若きPGは、苦しいシーズンを送った。大きな故障なくシーズンを戦ったものの37試合の出場にとどまる。特に後半戦はチームのローテーションに食い込めず、DNPが増加。出場した試合でも相手PGのプレッシャーに苦しみ、シュート精度も低調に終わってしまった。結果だけ見れば厳しいシーズンにはなったが、B1のレベルの中で今季も経験を積むことができたのは事実。チームが躍進しただけに悔しい思いは人一倍してきているだろう。課題を乗り越えブースターをワクワクさせるプレーをもっと見せてくれるような来季にしてほしい。




終わりに

冒頭にも書いた通り、躍進を遂げた今シーズン。

ストレスフルな情勢の中でも最後まで戦い抜き、我々ブースターに勝利を届けてくれた14選手には感謝してもしきれません。

最大限の感謝と尊敬を胸に抱いて、この記事を締めくくりたいと思います。

最後まで読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。





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