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マスター1到達・勝率80%超え【メタビート】(シーズン23)


はじめに

今月も無事マスター1に到着したので振り返る。

新パック「レコード・オブ・ノーブルスピリッツ」が実装されたことで、また環境に変化のあった遊戯王マスターデュエル。【メタビート】的には待望の《時を裂く魔瞳(モルガナイト)》が実装されたので、今回は「モルガナイトを活かす」をテーマにデッキを組んだ。

ただ、今シーズンは環境上位デッキが複数あり対策がバラけていることに加え、《無限抱擁》《魔砲戦機ダルマ・カルマ》のようなカードの使用率が(多分)増加していることにより、単純に「パキケや結界像を立ててイージーウィン」という戦術が取りにくくなった。実際、構築がまとまるまでは、勝ったり負けたりを繰り返しており、いまいち勝率は安定しなかった。

マスターランクに上がってからも、最初はランク2までスルスルいったものの、そこからあまり勝てなくなり、いろいろカードを入れ替えて試行錯誤していた結果、一時期はランク5まで落ちてしまった。負ければ負けるほど構築がブレていき、ついでにプレイングもブレてさらに戦績が悪化するのは、対戦ゲームあるあるだが、心情的には結構つらいものがある。

しかしながら構築をコンセプト段階から考え直した結果、表題のように勝率8割超え(82.7%)、30戦弱でマスター5から1まで駆け上がることができた。素人なりに確率も計算して構築したので、それが結果につながったのは多少の自信にもなった。

もちろん、8割超えたのは上振れもいいところだし(そんなことがナチュラルにできるのは、一部の遊戯王星人ぐらいだ)、調子のいい一時期だけを切り取って「勝率8割超え」と言ってしまうのは、我ながらなかなかセコい数字あそびだ。もう少し戦闘回数をこなせば、もっと常識的な数字に収束していくだろう。

それでも、「(今の環境が続くのであれば)6割〜ぐらいは勝てそう」と言える程度の安定感はあると思うので、なにかしらの参考にしていただければ幸いである。

デッキについて

いつもながら前置きが長くなったが、上記がマスター5〜1到達までの30試合ほどで使っていた完成版の構築である。全体のマスター5〜2での対戦数自体は、いろいろと迷走していた時期も含めて100試合ほどで、総合勝率は52.2%。この構築に落ち着くまで、めちゃくちゃ負けまくっていたのがよくわかる数字である。

今シーズンは基本的に、DC 2ndで使っていたものと似たような構成でずっと戦っていたが、途中からやりたいことがバラバラになっていた感覚があり、一度考え直してコンセプトをはっきりさせた。

すなわち、デッキ構成を「モンスター・魔法・罠」で考えるのではなく、

  1. 特殊召喚封じのモンスター

  2. そのモンスターを守る防御札

  3. 後攻からのまくり札

  4. 欲しいカードを引くためのドローソース

以上の4つに分け、それに該当しないカードはすべて外した。これまでよく採用していた《王家の眠る谷-ネクロバレー》を入れていないのもそれが理由である。とにかく「特殊召喚封じ」に振り切ることで、デッキの安定を図りたかった。また、《拮抗勝負》《三戦の号》のような限定条件つきのまくり札やドロ―ソースを外し、汎用的なドローソースを厚くすることで、さらに安定感を求めた。

《拮抗勝負》はうまく決まったときのインパクトが大きいのでつい入れたくなるのだが、妨害札を立てるデッキがまた増えてきたこともあり、現状通りはあまり良くない。さらにいえば、《拮抗勝負》を打てる場面でも、特殊召喚を封じるモンスターを先出したほうが相手に余計な展開をさせず、うまくいく場面も多かった。それなら《拮抗勝負》を外し、空いたスロットはドロー関係に回したほうが、全体的な勝率は高くなる。

事実、ドローソースを増やしたことで構築は安定した。これにより無理な相手・盤面は生まれるものの、そこは割り切ることにしている。

特殊召喚封じについて

《フォッシル・ダイナ パキケファロ》×3
《業火の結界像》×3
《豪雨の結界像》×2

前述したように、デッキを構築する段階で、「1ターン目に特殊召喚封じのモンスター+守備札1~2枚を置く」ということをとにかく意識した。もともと初手で特殊召喚封じができるかどうかで、【メタビート】は勝敗に大きな差が出る。ゆえに先行でも7割以上パキケか結界像が引けるように8枚体制にし、計9枚のドローソースも併せて、高確率で理想展開ができるようにした。ちゃんと計算していないが、概算して85%前後の確率で最低限の盤面は整えられるはずである。

モンスターが過剰になりやすい問題は、《時を裂く魔瞳》さえ引いていればむしろメリットになるし、仮に《時を裂く魔瞳》を引いていなかったといても、「手札全部が結界像」みたいな大事故を除けば、実は割となんとかなる。というのも、こちらに最低限必要なのは「特殊召喚を封じるモンスター1体+そのモンスターを守る1〜2枚の守備札」なので、2~3枚までなら無駄札を引いても一応戦えるようになっているからだ。

防御札について

パキケファロにせよ結界像にしろ、戦闘でも効果でもあっという間に即死する貧弱モンスターなので、こちらとしてはなんとかバックで守らなければならない。ということで守備札は多めに採用している。

《ドラグマ・パニッシュメント》×3

なかでも《ドラグマ・パニッシュメント》は守備の要だ。単純にモンスターを破壊することでパキケたちを守ってくれるだけでなく、状況に応じて(1)《旧神ヌトス》による追加破壊、(2)《灰燼竜バスタード》による《ドラグマの聖女エクレシア》のサーチ、(3)《共命の翼ガルーラ》による1ドローから1つを選べるという高性能っぷりである。

特に(2)は強力で、《灰流うらら》《墓守の指名者》などで妨害されないかぎり、次のターン以降も《ドラグマ・パニッシュメント》を構えられるので、継戦能力をぐんと上げてくれる。

ただしドラグマ共通の課題として、墓地にカードを送れない状況だと機能不全に陥ってしまう。ゆえに先手だと強いが、これ単品では後手からのまくり札にはなりにくい。

《決戦のゴルゴンダ》×2
《機械仕掛けの夜ークロック・ワーク・ナイトー》×2

《決戦のゴルゴンダ》《機械仕掛けの夜ークロック・ワーク・ナイトー》は、戦闘耐性を高めてくれる永続魔法であり、罠と違ってすぐに効果を発揮するため、後手でも腐りにくいという強みがある。

しかも《決戦のゴルゴンダ》はモンスターだけでなく、バックの耐久力も高めてくれるので、これがあるだけで展開が大幅に安定する。しかも2枚貼れば毎ターン2回分守ってくれるため、《ドラグマ・パニッシュメント》からの《旧神ヌトス》の2破壊にも対応できる。枠さえあれば3枚入れてもいいカード。

《機械仕掛けの夜―クロック・ワーク・ナイト―》は単にパキケたちを守るだけでなく、このデッキに不足している「キルスピードを早める」という意味でも重要な存在である。特に、【神碑】や【ふわんだりぃず】のような苦手デッキは、このカードを引かないとほぼ勝てない。そういう意味では3枚採用も視野だが、防御札として見たときはそこまで信頼できないため、優先度はどうしても低くなる。

《禁じられた聖槍》×2
《ギャクタン》×1
《神の宣告》×3

《決戦のゴルゴンダ》《機械仕掛けの夜ークロック・ワーク・ナイトー》が「破壊」からパキケたちを守るカードなら、《禁じられた聖槍》《ギャクタン》《神の宣告》は主に「効果無効」から守るために入れている。

《禁じられた聖槍》は後攻時でも相手の《無限抱擁》に対応できる他、コンバットトリックにも使えるという強みがある。パキケたちの戦闘力は控えめにいって物足りなく、殴り合って勝てるのは【ピュアリィ】ぐらいという可愛らしさなので、意外にATKを800ダウンさせる効果は使いやすい。

ただし【ラビュリンス】に高確率で採用されている《魔砲戦機ダルマ・カルマ》には対応できないし、せっかく《無限抱擁》を避けたのに、攻撃力が下がったせいで普通に戦闘破壊されるというケースもままあるので、あまり信頼はできない。

逆に《ギャクタン》《魔砲戦機ダルマ・カルマ》にも対応できるし、このデッキにとって致命的な罠カード、たとえば【神碑】の《シンクロ・ゾーン》や【ラビュリンス】の《闇のデッキ破壊ウイルス》をノーコストで止められる。さらに、スペルスピード3なので《レッド・リブート》のようなカードにも有効である。

その一方で、魔法の効果は止められないし、罠なのでどうしても発動スピードの遅さが弱点となる。《禁じられた聖槍》との枚数配分は悩ましいものの、汎用性という観点から今回は1枚採用とした。

《神の宣告》は遊戯王プレイヤーなら誰もが知っている汎用カウンターで、魔法・罠だけでなく、モンスターの召喚も止めてくれる。パキケ軸の【メタビート】は相手に特殊召喚を許さないことから、「通常召喚を止める」ということは、「ほぼ1ターン稼げる」と同義になる。《禁じられた聖槍》《ギャクタン》と違い、相手の《深淵の宣告者》を止められるのもよい。防御札の中では《ドラグマ・パニッシュメント》の次に優先度が高い。

とはいえライフコストは案外バカにならず、とりわけ《深淵の宣告者》があるときはLP管理に気をつける必要がある。

まくり札について

「【メタビート】といえば先行番長」というイメージがあると思うが(そして実際その通りなのだが)、後手でも戦えるようにしないと勝率は伸びないため、少しはまくり札を採用したい。というかそうでもしないと、コイントスで負けたときのストレスがマッハになる。

難しいのは採用枚数で、【メタビート】というデッキはカード間のシナジーがあまりないことから、まくり札を採用しすぎるとすぐに事故ってしまう。そのため、先手で引いても腐らないカードを中心に採用せざるをえない。上記の理由により、採用したのは以下のカードに絞った。

《神風のバリア―エア・フォース―》

先行で引けば「守備札」に、後攻で引けば「まくり札」になってくれる貴重なカード、それが《神風のバリア―エア・フォース―》である。他のカードでは処理しきれないモンスターや状況も、このカードなら高確率で解決してくれる。

打ちたい相手としては、【ラビュリンス】の《迷宮城の白銀姫》、【サイバース】の《デコード・トーカー・ヒートソウル》《トランスコード・トーカー》といった、破壊耐性や対象耐性を持つモンスター全般である。「効果を受けない」と書いてあるカード以外の耐性はすべてすり抜けるので、窮地の盤面でもまくることができる。

通常召喚されたモンスターに対しては時間稼ぎにしかならないが、1ターン引き伸ばしてくれるだけでも悪くないので、他のフォースシリーズよりも優先して採用している。

《深淵の宣告者》×3

《深淵の宣告者》はもともと【ピュアリィ】相手に後手をとったときを想定して採用したが、その他のデッキ相手にもかなり使える。事実、後手まくりが成功したときは、パキケor結界像を召喚し、このカードか《神風のバリア -エア・フォース-》で相手盤面を崩すというパターンがほとんどであった。

先手で引いたときも、3ターン目(自ターンのみカウントなら2ターン目)以降に使う機会はかなりある。なぜならパキケも結界像も攻撃力が貧弱なため、単品だと相手モンスターを殴って処理できないためである。そういう意味で、このカードへの信頼はどんどん高まっているのだが、最近地味に流行しており、こちら側が相手に打たれて困る回数もどんどん増えている。

ドローソースについて

前述したように、このデッキの動きの肝は「特殊召喚封じモンスターを置く+そのモンスターを守るための札を並べる」ことにある。ただしデッキシナジーに乏しいため、なんとかして欲しい札を引き込むべく、ドローソースを大量に入れなければならない。

しかしながら、ドローソースでデッキの大半を占めてしまうのはリスクがある。というのも、《ドロール&ロックバード》(いわゆるドロバ)がぶっ刺さってしまうからである。

ドロバの流行により、ドローソースならなんでも採用すればいいわけではなくなってしまった。たとえば《成金ゴブリン》は、ドロバのない環境だと良カードだが、ドロバを打たれてしまうと単なる1ドローで終わってしまい、展開が弱くなる。《強欲で金満な壺》との相性も悪い。

ということで、採用したドローソースは、たとえドロバを打たれたとしても強く打てるカードに限ることにした。

《天底の使徒》×3
《教導の聖女エクレシア》×2

そこでまず言及したいのが、守備面の柱となる《ドラグマ・パニッシュメント》を持ってくるためのドラグマセットである。

《天底の使徒》は追加で1ドローできるだけでなく、《旧神ヌトス》を墓地に送ることで相手カードの破壊もできるので、まくりカードとしても機能する。とりわけ《シンクロ・ゾーン》のようなバックを後手からはがせるカードは、このデッキだと《天底の使徒》しかないため重要であり、3枚採用の価値がある。

《教導の聖女エクレシア》の採用枚数は悩ましいが、《強欲で貪欲な壺》を採用している関係上、なるべくエクレシアがデッキから吹き飛ぶ可能性を減らすため、2枚以上は採用したい。そのほうが《天底の使徒》も打ちやすい。

《命削りの宝札》×2
《強欲で謙虚な壺》×2
《強欲で金満な壺》×1
《強欲で貪欲な壺》×1

《命削りの宝札》《強欲で謙虚な壺》は、特殊召喚をほとんど使わないこのデッキでは標準装備だ。というか特殊召喚を使わない理由の半分ぐらいは、これらのカードを使いやすい点にあると言っていい。

《強欲で金満な壺》《強欲で貪欲な壺》はそれぞれEXデッキ、デッキを蝕むため、シーズンを通して採用したり採用しなかったりという感じだったが、外してみると顕著に勝率が落ち、戻すと勝率が安定することがだんだんわかってきた。今更ながら、それだけ複数枚のドローは重要ということなのだろう。

回してみた感触としては、どちらもそれぞれ1枚採用だけなら、そこまで致命的なカードの飛び方もしないので、正直入れ得だと思っている。《強欲で金満な壺》は次回の改定で制限入りを果たすとのことだが、もともと1枚しか採用するつもりはないので問題はない。

《時を裂く魔瞳》×3

他のドローソースといろいろな意味で一線を画すのが《時を裂く魔瞳》だ。もともとこのカードを使いたくてこの構成にしているのだが、実際に運用するときは「モルガナイトはあったらラッキー、基本的に引かない前提で組む」ぐらいがちょうどいい。そういう意味で、このカードは「ドローソース」枠というより、「その他」枠と言ったほうがいいかもしれない。

あと、一般的に「自分ドローフェイズの通常のドローは2枚になる」という1つ目の効果が注目されがちだが、【メタビート】的にはむしろ2つ目の「自分は通常召喚を1ターンに2回まで行う事ができる」ことが大きい。パキケや結界像を一気に2体並べれば《無限抱擁》や破壊に強くなるし、パキケと《教導の聖女エクレシア》を並べれば、《ドラグマ・パニッシュメント》を自然と構えられるようになって強い。「《命削りの宝札》を打ちたいんだけど、モンスターが複数あるから強く打てない」という問題も解決してくれる。

今後について

いまのところ、【メタビート】への対策意識が手薄という環境もあり、【ピュアリィ】【ラビュリンス】【クシャトリラ】【斬機】といった有力テーマには互角以上に戦えている。

他方で、《王家の眠る谷-ネクロバレー》を抜いている関係上、【ティアラメンツ】【神碑】への対策が薄くなっている感は否めない。どちらもTier 2ぐらいのデッキではあるので、これ以上数が増えてくるようならば、構築が歪むのも覚悟のうえで《王家の眠る谷-ネクロバレー》の再登板も検討しなければならない。

また、【ふわんだりぃず】が一時期よりも増えてきている(気がする)のもかなり気になるところである。《機械仕掛けの夜ークロック・ワーク・ナイトー》が入っているとはいえ、基本的にこのデッキ構成では【ふわんだりぃず】に勝てないので、増えてきたらデッキ選択そのものを見直す必要がある。【メタビート】の文脈でいうと、《インスペクト・ボーダー》軸はいまそこまで強くないと思うが、みんなそう思って試してなさそうなので、案外研究したらいけるかもしれない。

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