マハーバーラタ/1-27.ハスティナープラに届いた知らせ

1-27.ハスティナープラに届いた知らせ

ヴァーラナーヴァタの火事が鎮火した。宮廷は完全に燃え尽きていた。
人々が燃え尽きた宮廷跡に入ると、灰になった七人の遺体が発見された。誰もがパーンダヴァ兄弟と母親が亡くなったと確信した。そして七人目はプローチャナだった。
「これはドゥリタラーシュトラと彼の息子の仕業に違いない。彼らに指示された実行役のプローチャナが逃げ損ねたんだな。きっと自らの罪で罰せられたんだ」
そんな風に人々は理解していた。

パーンダヴァ達の為にトンネルを掘った炭鉱夫がこっそりとトンネルの入口を確認しに行った。瓦礫に埋もれて完全に隠された入口を見て、彼らの智慧を称賛し、ヴィドゥラへ報告した。
道案内をした他の協力者達の報告が届き、無事ガンジス河を渡って南に進んでいることを知って安心した。

火事のニュースはハスティナープラにすぐ届いた。
人々はパーンダヴァ達の不自然な死を悲しみ、その陰謀を企てた者を確信していた。
ドゥリタラーシュトラはその知らせを聞き、悲しみに打たれている振りをした。心の中では幸せいっぱいであったが、口からは悲しみの言葉を出していた。葬儀を執り行うよう手配し、伝統に従って貧しい人々に財産と服を配るように命じた。

参列者がガンジス河の土手に集まり、葬儀の奉納物を捧げていた。
ヴィドゥラは嘘のニュースによって兄ドゥリタラーシュトラが心の中で喜んでいるのを知っていた。彼こそが不誠実さと陰謀の根源であった。
ヴィドゥラは真実を知っていたが、他の人と共に悲しむふりをしていた。
だが、悲しみで我を忘れているビーシュマの姿は見ていられなかった。
彼はビーシュマに近づき、誰にも聞かれていないことを確認してから話しかけた。
「どうか悲しまないでください。本当はパーンダヴァ達は死んでいないので葬式の奉納は必要ありません」
ビーシュマは驚いて何も言えなかった。ヴィドゥラは全てを話した。
「このパーンダヴァ達に対する陰謀は、ドゥリタラーシュトラ王、彼の息子、そしてシャクニによるものです。今、彼らはその罪が誰にも知られていないと思って喜んでいます。
私には知らせが入っています。パーンダヴァ達は傷つけられていません。
ガンジス河の南側にある森、シッダヴァタに向かっているはずです。時が来たら新月の後の月のように彼らは出てくるでしょう。まだ時は熟していません」
ビーシュマはヴィドゥラの先見の明と智慧を称賛した。
ドゥリタラーシュトラ王と息子達は真実を知らずに、もう心配の日々は終わったと思い込み、安心していた。

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