主人が自死した日②

あれから春も過ぎ、暑い夏も終わりかけ秋になってきた今も毎日毎日あの日のことは頭に浮かび私の心は痛みます。
どこかのお店にいけば、あぁこんなお菓子をよく買っていたなとか思い出したり。今も置いたままの歯ブラシ。景色やお店は今も同じところにあるのにもう居てないんだなと。

自死するちょうど1週間前に仕事の部署替えが4月にある。したことのない仕事だから不安だ。今はもう目の前の仕事をするしかない、生きがいがないと言ってきた。給料も下がるよと。
だから私は変わってみて合わなければ辞めたらいい、どうせ給料下がるなら辞めるのもいいやん、と励ましたつもりだった。そして躁から鬱に変わっていることにも気づいたので、次の心療内科の日を聞くとちょうど1週間後だった。
だからその時に今度は鬱の薬を貰えばいいと、すぐ1週間後だからと安心してしまったのが大きな間違いだった。
主人はその病院へ行く前日にいなくなってしまった。
すぐに行かせるべきだった。まさかこんなすぐに逝ってしまうなんて思わなかった。
初めて鬱になった時も四年前に躁になった時も私が病院へ連れて行ったのに。今回は間に合わなかった。
助けてあげることができなかったのだ。
前の日の夜もいつも通りに見えたし、特に沈みが増えている感じにも見えなかった。見抜けなかった。
ごちそうさま の声が最後の言葉だった。

コロナのせいで我が家は年寄りもいるのでここ三年くらい、みんなで食卓を囲むことはなく、年寄りから順番に食べるようにしていた。
だから最後の夕飯も仕事から帰ってきてからなので、もちろん子どもたちも食べ終わったあとだった。

元々自分からあーだこーだ言って話しかけてくる人ではなかった。
本当に普通の夜だった。
本人にとってもその時はそうだったのかもしれない。

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