なぜ仕事には「練習」がないのか

「トヨタ式」の話をすると宣言してましたが、ちょっとオリジナルの話をします。

当たり前のようですが、サラリーマンって「練習場所」がなかなかないですよね。例えばスポーツで基本動作を反復練習するように、「メールを100通打ってみる」とか「稟議書を○通書いてみる」といった時間や機会はまず与えられないと思います。
「営業のテレアポとかメールは?」というご意見もあるかも知れません。確かに新人トレーニングとして位置付けられる向きもあると思います。「駄目元で」と言ってくれる上司もいるでしょう。
ただ、そのトレーニングはあくまでも仕事の一環ですし、受け取る相手は「練習」とは見なしてくれません。仮にそのトレーニングが成功すれば、きちんと「仕事の成果」になる一方、失敗は本人の糧になるでしょうが、会社にとっても実害になりえます。
つまり、対外的に実害のない=失敗の許される「練習」というのは、外部とのコンタクトがない、社内クローズまたはあらかじめデザインされた「研修」のようなものでなければならない、ということになると思います。

とはいえ、研修では「基本の型」は学べても、身につけるための「量稽古」の時間はなかなか確保されていません。どうしても量稽古の場面は実践、すなわちOJTに頼らざるを得ないのが一般的だと思います。

失敗のリスクを抱え、それでも量稽古を積まなければならない若手にとって頼るべきは何でしょうか。上司・先輩?ビジネス本?確かにそれらも有力ですが、会社・組織にとって重要視すべきは「マニュアル」の充実と浸透だと思います。
ただし、アップデートなしに死蔵されているマニュアルでは意味がありません。このことは後日、「カイゼン」の話とセットで述べたいと思います。

※創業から日が浅いベンチャー企業や、これまでになかった業態・業界では、そもそもマニュアルになる知見の蓄積に乏しいので、ここではある程度成熟した業界・会社を想定してお話しています。

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