山根ミスル
「企画力」とは何か。
それは「打率」と「飛距離」で表せるのではないでしょうか。
「打率」とは、自分の脳内から外に出したアイデアのうち、何%がヒットとなるのか、筋の良いアイデアになるのかを表した「確率」の指標です。
一方で「飛距離」とはそのアイデアがどれほどのインパクトがあったのか、そのアイデアの「良さ」を測った指標です。
今回は「打率」の話をしたいと思います。
人間ではほぼ毎日社内にいるメンバーでランチにいきます。
オフィス周辺には雑誌に載るようなお店が多数あり、ランチでも行列のできている店が少なくありません。選択肢は無数にあるので、人間メンバーはフラフラっと宛もなく歩きながら入るお店を決めます。
「人間って絶対にお店決めてから出かけないですよね」
「そらね、決められへんよね」
当然のように答えたのは山根さん。
人間の「アイデアマン」であり、数多くの企画は山根さんのアイデアを種として育っていきました。
山根さんクラスになると、もうランチですら修練の場であり、良い企画が思い付くように「決めつけること」を極力排除しているのかもしれません。全てのバイアスを取っ払い、広い視点から突飛なアイデアに辿り着けるように。
妙な納得感を得たまま、自分もなるべく直感にだけ頼って店を探して見ることにしました。
「この焼肉屋いいんじゃないですか?」
「いや、そんなガッツリじゃない」
「このイタリアンどうですか?」
「なんか普通やなあ」
「なんか無いですかね」
「あ、ここは?あ…終わってるわ」
写真:宛もなく歩き続ける山根さん(右)と佐々木さん(左)
結局、店が決まらないまま10分以上も歩き続けました。
これも「山根の流儀」なのかもしれません。
そして、結局誰一人行きたいと思っていない韓国料理屋に行くことになりました。まあ、そんな出会いがあるのも「山根の流儀」なのかもしれません。
そして、何だか聞いたこともないスパム入りチゲみたいなものを注文する山根さん。果たして美味しいのでしょうか。
30分後の写真がこちらです。
ご覧の通り、テーブルには山根さんのチゲだけ。
佐々木さんもご覧の通り食べ終え、山根さんの食事を待っています。
まさに昼休みになっても給食食べてる小学生。
そして滝のような汗をかきながら「ああ、暑い」「無駄にからい」と文句だけを吐き続け、ゆっくりとチゲを消化していきます。
明らかな失敗です。
あんなに打率高くアイデアを出す山根さん。
ランチ1つであれだけたくさんの店を回ったにも関わらず、フルスイングの空振り三振です。
弘法も筆の誤り。
猿も木から落ちる。
山根のランチにも失敗。
しかし、ここに秘訣があるのではないでしょうか。
山根さんはこういう企画とはまるで関係のないランチなんかで凡打を量産するからこそ、その運を企画の方に当てている。プライベートを犠牲にして仕事に活かす、まさにプロです。
見習いたいものですね。
サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。