みんなの屁理屈__4_

【結果発表】第1回「逆ギレ王決定戦」を行いました。

「屁理屈をスポーツにしたい」
そんな軽率な思いつきから始まった企画「逆ギレ王決定戦」が終了しました。

第一回のお題は「万引き主婦の逆ギレ」です。
社会的に完全な「悪」として認識され、立派な犯罪でもある万引き。
決して許されることではありません。

そんな立場から、徹底的に利己的な解釈に基づく独断と偏見を駆使し、最低で最強な屁理屈をこねることが求められる、言わば屁理屈真っ向勝負なお題でしょう。

普段から万引きしている人ならともかく、立派な善人であるクリエイターさんがこねるのですから、大変だったと思います。

普段使わない筋肉を使うような。
「エクソシスト」さながらのブリッジ歩行で通勤するような。
そんな過酷なお題だったのかもしれません。

そんな企画にも関わらず、今回5名の方にご参加いただきました。
本当にありがとうございました。

どれも甲乙付け難い素晴らしい屁理屈でございました。
しかし、優勝賞金「(無職の)500円」がかかった大会ですので、厳正な主観に基づく評価をさせていただきました。

そして、優勝者が決まりました。

まずは各エントリーの紹介、参加賞である「異名」の授与をして、最後に優勝者を決めたいと思います。


No.1 まつあきさん

まずエントリーされたのはまつあきさんです。
実際に家庭を持つ主婦からのエントリーとあって、生々しい。

そして、エントリー作品「N市在住 S江雪子」も、そんなリアルとバーチャルを融合させた短編小説でした。生々しい。

では偉そうに批評します。

小説内では少ない文字数ですが、簡潔に、かつ官能的に生々しい万引き主婦の一家庭が描かれており、自分の育毛剤を万引きした主婦を迎えに行く旦那なんて哀愁の濁流です。

そんな主婦の屁理屈は至ってシンプル。
「全部シャニカマのせいだ」です。

この主婦は「逆ギレ王決定戦」のために万引きを始めたので、とどのつまりそんなクソ企画を開催した運営主に問題があると、そう言いたいわけですね。

分かりやすい。
とっても分かりやすい。

それに「憤り」の感情に任せて言い切る姿は清々しいものがあります。
まるで「勝てないから」とゲーム機のコンセントをぶっこ抜く癇癪少年のようです。

ちなみにあの一言を言い放った後はどうなるんでしょう。
突然の一言に店長がぽかんとすることは言うまでもありません。
でも、逃げ切れはしないですよね?

例えば
「シャニカマが企画しなきゃ私は万引きなんて初めてない、あいつが無職の500円で釣るからだ。でもそもそも無職の500円がなぜ欲しいのか。それは金持ちの金より希少価値があるからだ。そう考えるとこのサバ缶も、この店がリッチじゃなくて、いい具合に寂れたギリギリ経営に見えるから欲しくなるわけで、つまるところアンタらの店が万引き欲を掻き立ててるのよ!アンタらは麻薬を取り締まるために麻薬を密売してるようなもんなのよ!麻薬密売人どもめ!」
みたいな感じになるのでしょうか。

開き直った人間は怖いですからね。
アフターエピソードも気になる一作でした。

私は多くを語りたがる人間ですが、侘び寂びを重んじた一言屁理屈。
趣があって大変よろしい。

多くを語らぬ。多くはいらぬ。
それは日本の短歌や俳句に通じ、ハゲにも通じる。

まつあきさんの異名は「屁理屈界の正岡子規」です。

ただ、私のせいにした時点で残念ながら優勝はありません。
言ったでしょ、審査員長の「独断と偏見」だって。
おとといきやがれホトトギス。


No.2 樫尾キリヱさん

樫尾さんは個人的に「狂人」のイメージが強い人です。

他のクリエイターさんのnoteをシェアしたり、子育てについてなど真面目なことを呟く一方。ガチマジでとち狂った音楽を好み、そこへの「変愛」を語っていたりしています。(衝撃だったのが「魂を、少し」ってやつ)

さて、そんなキリヱさんの作品は、期待通り、そして予想を裏切る変態小説「MOTHER【第一回逆ギレ王決定戦応募小説】」でした。

では偉そうに批評します。

正直な感想、私は感動してしまいました。
長い小説を要約すると「万引き主婦を捕まえたら、その主婦の膣とおもわしき異空間に迷い込み、必死でもがいて目が覚めたらソコは万引きの概念すら存在しない優しい世界だった」です。

最初のお題なんだっけ?となるほど、とにかく滅茶苦茶な展開で店長が翻弄されていく姿は屁理屈の新時代への扉が開いてしまった瞬間なのかもしれません。

論理としては「商品棚は私のパンツです」「パンツの中のモノを取って何が悪い」「お前らが私の中にいるんだ」というようなことから始まったはずなのですが、どんどん奇妙な展開に陥れられるうちに、店長も読者も私も「万引きとはなんだ」「悪意ってなんだ」「どうして人は傷つくのか」「人はどこから生まれるのか」と考えさせられ、哲学の沼に引き摺り込まれてしまう。

もう、そこに論理なんて必要ありません。
借りた金を返さない友人との口論中、目の前のビルに旅客機が突っ込んだような、全てをぶっ壊す狂気性があるのです。

キリヱさんは一体どんな心情でこれを書いたのか。
感嘆するともに、とてつもなく心配になる「傑作」兼「問題作」でした。

誰もが「論理」を盾に取る時代。
あえてその盾を捨て、無防備な素っ裸で戦場に1人立つ彼女に、敵兵は恐れおののき退散するしかありませんでした。

そんな全裸なキリヱさんは「屁理屈界のレディガガ」です。
彼女がファッションと称して乳出しても逮捕されないのは彼女の芸術性と度胸に警官もおののいてしまうからです。それと同じです。


No.3 悠凜さん

フォロー外からの参加だった悠凜さん。
コメント欄への記入でご参加いただきました。

それにしても、見知らぬ無職が開いたいかがわしい企画に参加するなんて、よっぽどお金に困っているのか、大脳新皮質にチンアナゴが住み着いているのか、もしくは両方かなのでしょう。お察しします。

そんな悠凜さんのエントリー作品はコチラ。

『あのさ……ここのオーナー、あたしの彼なの』
(ホントなら不倫罪追加)
『彼があたしに言ったのよ。“いつでも、何でも好きなもの持って行っていいよ”って』
(確実に偽証罪追加)
『彼ね。あたしにぞっこんラブなの』
(妄想罪追加)
『あたしが彼にひと言言ったらどうなるかしら?あんたなんてコレよ(首切りの仕草)』
(妄想偽証恐喝罪追加)

ニューホライズンの1ページに収まるほどの短い会話でした。
うん、わかりやすくていい。

彼女の論理は要するに「あたいはオーナーのナオンなんだから、万引きしたっていいのよ」です。これは明確な嘘という前提に成り立っているので、一応一般的な万引き主婦でも扱える汎用的なシロモノらしいですね。
これは「主婦」が持つ「女」という武器を用いた手法です。

そしてコメント1つずつに罪状が追加されています。
ここに悠凜さんの真面目さが出ていますね。

そして、この主婦がおそらくブスであることも想像ついていいですね。
本当に美人で「ナオン」な可能性があるのならこんな直接的な言い方はしませんし、AVの予定調和よろしく店長を誘惑して、店長のチンアナゴを完食して回避するでしょう。

それができない、でもなんとか言い逃れしてやろうと必死。
勘違い優等生ブスです。

みんなやりたくないからって推薦されてるのに、人望があると信じ込んで学級委員長になってきたタイプです。愛くるしい。

そんな悠凜さんは「屁理屈界の磯野貴理子」です。
どうぞ勘違い漫談からの逆ギレをこれからも貫いてください。


<ちなみに、これプロフ記事らしいです>



No.4 矢野さん

誰ですか?
え、ほんと誰ですか?

「#逆ギレ王決定戦」で検索すると突如出現しました。
見間違いかな、って思ったんですが、企画に参加されていました。
コメント欄に参加の旨も書かれていません。

昔中学の時に「矢野先生」と言う方がいて、大人しい先生なのに『先生エロマンガ島知ってる?』と地理の授業終わりに聞いたら異常に乗ってこられて引いた記憶がありますが、あの矢野先生ですか?まさかね。

そんな、知らない人から手紙が来て、引っ越してくる前の住人宛の手紙かと思ったらしっかり宛名に自分の名前が書いてあり、中からオーソドックスな時限爆弾の音がしないかだけを確認して封を開ける、みたいな気持ちで読みました。

エントリー作品「第1回逆ギレ王決定戦のやつ」です。

結論から申しましょう。
ちょっと何言ってるか分からないです。

見ず知らずの人から届いた手紙、その中身は支離滅裂、クスリともできないダジャレが5つも入った恐ろしいものでした。逆にダヴィンチコード的なストーリーが始まるぐらい、それぐらい深読みして何か強大な陰謀が隠されていないと心の収拾がつかないぐらい、意味不明な記事でした。

なんか架空の万引きYouTuberのていで話を進めています。
でもその架空の動画内容とかを淡々と語って終わるだけ。
そしてダジャレが5つ。

意図が分からない。
メッセージが分からない。

怖いのでもう異名つけて終わらせます。
矢野さんは「屁理屈界の田村研一」です。
芸人の麒麟田村さんの兄で、弟の本にかこつけて「ホームレス大学生」を出版して大スベリした人です。スベってるのと、行動が奇怪なので命名です。


No.5 ヤスタニアリサさん

note、Twitterで普段から交流があるヤスタニさん。
私が初めてnoteでファンになったクリエイターさんです。
シン・ゴジラが破壊する東京でムロツヨシと愛し合う小説が素晴らしくて、何人もの友人に勧めました。

クマキさんにも推薦されていましたが、一本グランプリのバカリズムばりに優勝候補な方です。

そんなヤスタニさんのエントリー作品は「【企画小説】ムロツヨシと万引きマダム」です。

お分かりですね?
もう得意の寝技で審査員長のハートを掴みにかかる卑怯な方です。

今作も、最高に楽しませていただきました。
さすがは優勝候補です。

もうムロツヨシを描いた作品は5作ぐらいになるんでしょうか?
完全に板についており、ムロツヨシ本人の情けなさ、適当さ、真面目さ、ダサさエロさ、ゲスさがふんだんに表現されています。小説としても最後のオチがしっかりついており、落語にでも出来そうな完成度です。

そして、今回最大の争点である屁理屈は「(有名女優である)私がズッキーニなんてレジで買ったら『旦那が相当粗チンなんだ』って世間にバレてしまうじゃない」と言うものです。

これは相当に高度ですよ。
まさに風が吹けば桶屋が儲かる状態。

「誰が思うねん!」と言うツッコミは起きつつ。
でもそう思うまでの論理的な繋がりには納得できる。

それに、野菜類、ウリ科と根菜系は汎用性が高いですね。
大根だって、人参だって、きゅうりだって、ヘチマだっていける。
極太マッキーペンだって万引きできるかもしれません。

旦那の粗チンなんて女優じゃなくても、一般主婦でもご近所に知られたら大変ですからね。一般的な万引き主婦でも使える技でしょう。

もしかするとこんな屁理屈がスッと出てくるヤスタニ家は…?とも思いますが、下手なことを言うと本名もバレている手前、法的措置を取られかねませんのでここまでにしておきます。

さらりと夫へ責任転嫁し、エロスを交えて相手を煙まく、強く気高い女。
まさにヤスタニさんは「屁理屈界の大竹しのぶ」です。

理由は、井上公造が「魔性の女優」で1位に選んでいたからです。


優勝者発表

それでは優勝者を発表します。
記念すべき第一回大会の優勝者は…。











樫尾キリヱさんです!
おめでとうございます!

ヤスタニさんと悩んだんです。

斬新な新境地で感動させたキリヱさん。
見事な完成度で感動させたヤスタニさん。

ですが、やはり読んでいる主催者自らが沼に沈められる怪物のような作品だったことを評価し、今回優勝とさせていただきました。
なので、優勝した樫尾キリヱさんには賞金500円を贈呈します。

おめでとうございました!

また、他のご参加いただいたみなさん。
お忙しい中屁理屈こいてくださりありがとうございました。
みなさんは世界初の「屁理屈競技者」として誇ってください。

また、機会があれば第2回も行います。

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。