アッツアツの茹でガエルになるんだ。
人間に来て1ヶ月が過ぎた。
徐々にここへ来ることが自分の中で当たり前になりつつある。
自分はマンネリになってしまったのだろうか。
心地よい空間で安住しているのだろうか。
しかし、お盆に友人たちと会ってみると遠い目で「変わったね」と言われる。
確かに以前であれば会議で「シャニカマが隠毛剃るのはどうなん?」と聞かれた際に「全然やりますよ!」とは言わなかった気がする。今の私は面白くなるなら隠毛ぐらい何万本でも剃る。抜く。ちぎりとる。
おそらくだが、この面白くて変な会社にいるうちに感覚が麻痺していっているのだろう。隠毛ぐらい剃るっしょ、と。(ちなみに知る限り社員で隠毛を剃っている人はいない、あくまで例え)
今日の仕事内容だって今までなら絶対に体験しないことだ。
詳しくは言えないのだが、とりあえず20程度の会社に電話してヒアリングする仕事だった。電話先は強化ガラスの製造会社、船の扉を作っている会社、新潟の公共財団など。
「株式会社人間の岡と申します」
「え???」
この繰り返しも、10回を超えると作業だ。
どんどん感覚が「面白くて変」に麻痺していく。
よく「茹でガエル」という例えがされる。
カエルを水につけて火にかけてもじんわりと熱くなっていることに気づかず最後は茹でられて死んでしまうらしい。小さな変化の連続は本人の気づかないところで取り返しのつかない大きな変化になっているということだ。
私はそうなりたい。
真面目なことを考えて、真面目に働く。
そんな真水をどんどん熱して頭のおかしな茹でガエルになりたい。
徐々に、徐々に、じっくり時間をかけて洗脳されていきたい。
それこそが、一般人が変になるための方法なのだと思う。
その方法でしかなれないのだと思う。
だから自我を捨て、思考をせずただただ言われたことを疑問に思うことなくやり続ける。そんな奴隷でありたい。
ただ人の道に外れていそうだったら言ってください。
「"人間"にはなれても、"人"じゃなくなってるよ!」と。
サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。