あの日、私をカツアゲした少年に敬意を示す
中学1年だったか2年だった頃、帰り道にヤンキーの集会を見かけた。
同じ中学の上級生数名と、同級生のヤンキーがいた。
その前を通過するのはめちゃくちゃ気まずかったが、
私は気がかなり強いのでそんなことに怯んでいると思われるのが嫌だった。
だからそのまま道を変更せずに進んだ。
無事に通り過ぎようとした頃に、その中の一人の上級生の男子が私に声かけた。
「ねえ、金持ってる?」
「え、ないです‥」
「本当に?持ってたら怒るよ」
「本当です」
って言って早足で逃げた。
後ろからヤンキーたちの笑い声が聞こえてきた。
めちゃくちゃ怖かったし、気分が悪かった。
恐怖感の後に強烈な怒りが湧いてきたので、私は速攻で親と教師にチクった。
後日、教師を通してそのカツアゲをした上級生男子から謝罪をしたいという申し出があった。
私は怖いから嫌だと断ったが、彼方の担任と私の担任両者が同席するからということで半ば強引にその場を設けられた。
そして私は彼から直接謝罪を受けた。
いくら気が強いとはいえ、自分をカツアゲした当事者と面と向かうというのは半端なく恐ろしい。
その時自分が何を言ったのか、どういう反応を取ったのかは一切覚えていない。
正直、親や教師に叱られて形式的に謝罪しているだけで、全く反省なんてしていないだろうと思っていた。
しかしうっすら記憶しているのは、その後日彼と校舎ですれ違ってしまったときのこと。
私は謝罪されたとて恐怖感は失くなっていなかったので、彼と会うと心臓がバクバクしていた。
「てめえのせいで怒られたじゃねぇか!」とでも言い、殴りかかってくるかもしれない。
しかし彼は、私に軽く頭を下げてその場を離れた。
絶対に反省なんてしてるわけないと思っていたが、彼なりにしっかり後悔して反省していたんだろうなと今になると思う。
その証拠にそれ以降、彼がヤンキーグループとつるんでいるところを見たことはなかった。
当時の私は一切許せなかったが40年近く生きた今振り返ると、自分の過ちを反省しすぐに相手に謝罪するという行為ができた彼はとても偉かったと思う。
一方、私は何人もの人を傷つけたがちゃんと謝罪してないことの方が多い。
だから後悔が多い。
これからはすぐ謝ろう。
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