読書感想文 #45 『バカと無知』
みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。
今日は昨日とはうって変わって、日中は晴れて、暖かく過ごしやすい1日でした。このままずっと暖かくなって欲しいところですが、来週また寒くなるようです。
今日は下記の本の感想です。
バカと無知 人間、この不都合な生きもの
橘 玲 著
感想
55万部の大ベストセラーで、岡田斗司夫さんが勧めていたので、読んでみました。
目次が多いのは、週刊誌の連載をまとめたものだからです。
タイトルが強烈ですが、論文を引用したり、実験の結果などを用いていて説得力のある内容となっています。
何点かピックアップしてみます。
5バカは自分がバカであることに気づいていない
学生を使った実験で、ユーモアのセンス、論理的推論、文法問題の得点と学生の自己採点の比較。平均50点に対し、自己評価の平均は66点と3割も多い。
論理的推論で下位の4分の1の学生は、実際の平均スコアが12点だったにも関わらず、自分たちの能力は68点と思っていた。逆に上位4分の1の学生は実際の平均点が86点にも関わらず、自分たちの能力は74点しかないと思っていた。この勘違いは他の分野でも同様だった。
つまり、下位の点数の人たちがそれなりと見積もってしまい、かなり低いレベルと理解できないというのが事実であるようです。ショッキングなヒトの原理というか、そういうものだとは、あまり知られていない事実でしょう。
13バカでも賢くなれるエンハンスメント2・0の到来
貧困家庭に育った生徒が熱心な教師やボランティアの支援を受けて一流大学に入学したという話が定期的に話題になる。最初はメディアで大々的に報じられるものの、そのうち誰も触れられなくなって忘れられていく。どうやら当初の素晴らしい成果は劣悪な環境の中から優秀な子どもを発掘しているらしい。つまりビリギャルが優等生に変身するのではなく、もともと優秀な子がたまたまギャルをやっていたのだ。
なるほど、たまたま環境が悪いところで育っていただけで、元々は優秀だったものだから、その急成長メソッドを流用したところで、他では通用しないので、優秀な子がでてこない限り、こういったストーリーはなく、たまにしか話題ができないということです。ただ脳の認知領域を物理的に刺激を与えることで、賢くなることはできるようですが、ちょっと過激なやり方なようですので、記述は控えます。
16いつも相手より有利でいたい
いくつかの実験で赤ちゃんは2歳になる前から平等主義者でかつ成果主義者である。平等や公平は社会的に学習する以前に脳のプログラムにあらかじめ埋め込まれているらしいことがわかる。3〜5歳児をペアにした実験では子どもたちは不公平に敏感であるが、それを意識するのは自分の取り分が他の子より少なく損したときだけである。子どもにとって重要なのは絶対的な損得ではなく相対的な損得である。なぜこんなことになるのかは祖先がグローバルな市場取引の世界ではなく、最大150人程度の濃密な共同体のなかで暮らしていることからである。幼児の話だが、大人でも同じではないか。利益を生む提案を理不尽な上司に握りつぶされた苦い経験があるひとはこのことがよくわかるだろう。
小さいうちから平等や成果についての意識があるのは良いのですが、ヒトは不公平に不満を持ち、会社にとって得するものであっても、それを実現することで、自分の地位を脅かすおそれがあると思ったら、会社の得をなくしてでも潰してしまうという残念な性質を持っていることがよくわかりました。
ヒトは不都合ないきものであるのは悪いというよりも、仕方がないというか、そういうものだと理解して、あの人はなぜ怒っているのだろう、この人はなぜこんなずるいことをするのだろうとか、よくあれで平気でいられるのだろうとか、ヒトの性質だと思うことができれば、余計に争ったり、感情的にならずに済むのではないかと思います。
それではまた。
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