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読書感想文 #54 駐露全権公使 榎本武揚(上)

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

日曜日の今日は午前中は凄まじい雨で、午後すぎにようやく止みました。

今日はこちらの本の感想です。

駐露全権公使 榎本武揚(上)

カリキンスキイ 著
藤田葵 翻訳

概要
三百年の鎖国から目覚めたばかりの日本は海軍中将・榎本武揚をロシアへ派遣した。両国間で初の特命全権公使となった榎本に託された最大の課題は樺太(サハリン)の帰属をめぐる領土交渉。わずか六年前には天皇に刃向かって国賊と呼ばれ牢獄に入っていた男が公使であることを傲慢で自尊心の強いロシア皇帝が許容できるのか。難題が待ち構えるペテルブルグへ向かう榎本が出会った若いロシア人将校は冷徹な外交の世界に心あたたまる友情をよせてくるが……。 旧幕府軍の指揮官から明治新政府の要人へと数奇な人生を送った榎本武揚に惚れ込んだロシアの現代作家が描く長編外交サスペンス


感想

まず、歴史上の日本の人物に関する本がロシア人によって書かれているのがユニークで興味深いと思います。
よく調べられていて、日本人にはわからない、当時のロシア側から見た姿がよくわかります。
なぜ幕末五稜郭の戦いで捕まった賊軍の榎本武揚が重大な任務を任されたのか、明治初期の段階で三ヶ国語を操るというハイスペックぶりだが、オランダ語を学ぶのに1日8時間家庭教師2人をつけ、半年でマスターし、家庭教師のほうが音をあげてしまうとか、細かいエピソードも含まれています。
榎本がロシアに赴任するにつき、軍服をどうするか国会で揉め、出発直前に決まるも仕立て屋た完成されるのに時間がかかり、あとから軍用船で追いかけていくが、ロシア側は事情を知らず、その一部始終を不気味に思ったりするのも滑稽だったりします。
幕末〜明治でオセロのように変わった日本で、旧幕府の賊軍側にいた人物が新政府の要人になる極めて稀なケースで本人の葛藤もあり、ヨーロッパでの苦労や出会いなどが書かれていて、大変面白いものだと思いました。
ロシアも革命前で皇帝がいて、自らを「朕」と呼んでいて、それが今に続いていたら、また違う歴史になっていたかもとも思いました。

早速(下)のほうも図書館で予約したので、近く読むつもりです。


それではまた。


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