見出し画像

読書感想文 #50 『アーモンド』

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今日は会社でしたが行きも帰りも大渋滞でした。

今回はこちらの感想です。

アーモンド
ソン・ウォンピョン 著
矢島暁子 訳

2020年本屋大賞「翻訳小説部門」一位作品

概要

“感情"がわからない少年・ユンジェ。
ばあちゃんは、僕を「かわいい怪物」と呼んだ――

「ばあちゃん、どうしてみんな僕のこと変だって言うの」
「人っていうのは、自分と違う人間が許せないもんなんだよ」
扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。
そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ無表情でその光景を見つめているだけだった。
母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」を丸暗記させることで、なんとか“普通の子"に見えるようにと訓練してきた。
だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちになってしまう。
そんなとき現れたのが、もう一人の“怪物"、ゴニだった。
激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく――。
「わが子が期待とは全く違う姿に成長したとしても、変わることなく愛情を注げるか」
―― 出産時に芽生えた著者自身の問いをもとに誕生した、喪失と再生、そして成長の物語。

感想
韓国にこんな有能な作家がいるのかという驚き。もともとは映画の方でやっていたとか。映画やドラマは韓流でいまや有名だが、小説はあまり聞かない印象でしたが、挿絵からも若者の恋愛話なのかと思いましたが全然違い、イメージを覆す斬新な作品になっています。

植物状態になった母が営んでいた古本屋をユンジュは放課後に店を開くのですが、複雑な家庭環境で育ち、学校でも実の父でも手のつけられない不良となっていたゴニとの社交場となったり、後半では足の速い女の子ドニとの恋愛につながり、年齢による成長と他人との交流で少しづつ感情や好奇心が芽生えてくる様子が感じられます。
最後は衝撃的で悲しいですが、彼なりに必死に生きたというのがどこか次々と起きる不幸な現実よりもむしろ清々しささえ感じられて人生とはこういうものなのかと思える気がしました。

さすが全国の本屋さんが選んだ海外作品を翻訳したもので1番というだけありました。

それではまた。


この記事が参加している募集

#読書感想文

189,831件

よろしければサポートをお願いいたします!!! 費用は活動費に充てさせていただきます。