読書感想文 #69 女帝 小池百合子
みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。
9月半ばですが、気づいたら前回の感想から4か月も経っていました。
今日はこちらの感想です。
女帝 小池百合子
石井妙子 著
概要
【小池百合子氏の疑惑の経歴「カイロ大学首席卒業」。
カイロ留学時代の元同居人が、文庫化にあたって覚悟の実名証言!】
キャスターから国会議員へ転身、大臣、さらには都知事へと、権力の階段を駆け上ってきた小池百合子。しかしその半生には、数多くの謎が存在する。「芦屋令嬢」時代、父親との複雑な関係、カイロ留学時代の重大疑惑――彼女は一体、何者なのか? 徹底した取材に基づき、権力とメディアの恐るべき共犯関係を暴いた、衝撃のノンフィクション!
私は小池百合子という個人を恐ろしいとは思わない。だが、彼女に権力の階段を上らせた、日本社会の脆弱さを、陥穽を、心から恐ろしく思う。(「文庫版のためのあとがき」より)
目次
序章 平成の華 9 第一章「芦屋令嬢」17 第二章 カイロ大学への入学 63 第三章 虚飾の階段 127 第四章 政界のチアリーダー 171 第五章 大臣の椅子 235 第六章 復讐 303 第七章イカロスの翼 363 終章 小池百合子という深淵 425 あとがき 454 文庫版のためのあとがき456
単行本2020年5月
文庫版2023年11月
感想
読みものとしては、とても惹きつけられる面白い本です。400ページ以上ありますが二日で読破しました。しかしながら、読み終えて、彼女を歴史に残る偉人とは到底思えませんでした。
ネットのレビューを見ていると、映画化してほしいという声が多数。よくここまで調べたなという感心も多数。
7月あたりでは、都知事選前に都民は読んだ方が良いという声も。
たしか2020年に単行本発売後に、この話をしっかりまとめた中田敦彦のYouTube動画が、本人の逆鱗に触れて削除されたのが話題になっていました。
それぞれの時代に感じた違和感が、これを読むとしっくりきます。
映画化は本人の死後に実現すれば良いかと。
誰も真似することのできない人生。お嬢様高校から影でガリ勉し関西学院大学入学するもすぐ中退し、エジプト留学。お父さんのお供で通訳。しかしアラブ諸国とビジネスのやりとりは基本英語でアラビア語なくてもOK。帰国後、偉人竹村健一の番組アシスタント、女性キャスターブームでテレ東のワールドビジネスサテライトに女性初メインキャスター、湾岸戦争勃発、駐在日本人が人質になり、現地に飛び中継。自称人質解放に尽力。金の問題で国政揺れる中、日本新党結成を聞き、突然出馬し当選。党首が総理になってしまう。その後、新生党、自民党と敵対関係とか気にせず、時流があると渡り歩き、大臣も経験、しかし干され状態で、連続して短命に終わっていた都知事の選挙に出馬し、今年には3選を果たす。
アラブから石油を取り寄せるとか、ほら吹きの商人でかなり癖強い父親と、百合子の子供時代にクラスのお嬢様が着ているブランド服の店に行って、それから家でミシンでそれ以上の服を作ってしまう母。
留学していた時に同居していた人は、事実と異なる物語を武器に小池百合子がここまで出世してしまったことに長年心を痛めて、自身にも責任があると感じ、カミングアウトをすることを決めたのだとか。
日本人の大半がアラビア語がわからないとはいえ、都合よく作られた物語を信じ切って疑わなかった日本のマスコミのレベルの低さも問題だったといえます。
選挙ではメディアを味方につけ、悪玉をやっつけるというスタンスで、テレビを連日ジャックするという手法で、皆彼女に投票してしまう。
ファッションとイベントには興味があるが、管轄に関わる問題で病気に苦しむ人たちには無関心で非情という残念さ。
何かあるとステイホームとか英語カナカナにしてうやむやにまとめてしまう習性がある。
練馬区江古田に環境に良い自宅を作ったが場所にこだわりがあったらしい。"エコだ" だからって
間違えても将来お札にはならないで欲しいものです。まぁ、初代女性首相でもないから、おそらく大丈夫でしょうけど。
昭和後半〜平成の教訓として東京都の全ての中学、高校の図書館にこの本を置いてほしいものです。
ついでに小池百合子本人の著書
『振り袖、ピラミッドを登る』は1982年のもので、竹村健一の番組アシスタント時代に書かれたものですが、国会図書館のwebで読んでみたのですが、友達とピラミッドに登ったとか、生理用品を薬局で買う時に通じず恥ずかしかったとか、浅いエピソードはかりで、超難関大学を首席で卒業したと言う割に学問の話はなく、リビアのカダフィ大佐へインタビューした写真もありますが、応対した時の人柄は書いてありますが、何の話をインタビューしたのか、中身はなく、浅い印象は拭えませんでした。
それではまた
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