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祝福

わたしと切っても切れないものに、最近「祝福」があるのだと気づきました。
※以下「ブレス」「ゴールデンカムイ」のネタバレを含みます※


ことの発端は「ブレス」という漫画を読んでいるときのことです。
blessとは祝福という意味で、その漫画では化粧を通じてその人や相手の人生、パーソナリティ、夢など様々なものを「祝福」していく 否定せず受け止め、一歩を踏み出すためにそっと背中を押す そういうことが描かれています。

主人公の宇田アイアくんは自分にメイクの技術が求められているわけではないと知りながらも、自分の好きなメイクを選んで将来を考えながら試行錯誤していきます。
そんな彼の、ハングリー精神があるわけでもなく才能があるわけでもない、恵まれていることに無自覚で若くて全く周りの見えていない 未熟な彼の唯一無二の強みがその「祝福」なのです。

私自身が化粧を好きなこと、ジェンダーやセックスを問わずメイクを楽しんで好きな自分でいてほしいと思っていることからこの漫画を読み始めましたが、その「祝福」の気持ちに完全に共鳴してしまい、この漫画が好きになりました。


その前は、好きなキャラクターでした。
ゴールデンカムイという漫画に登場する花沢勇作という人が私は大好きです。
最終巻まで顔が出ておらず、出番がとても少なく「○コマの男」などと出演コマ数を数えて嘆き慈しんでいました。

義兄かつ自分を殺した存在の大人気キャラの陰に隠れ、なかなかなんとも言えない存在の彼ですが、
作者野田サトル先生から与えられた彼の役目は「祝福」でした。

兄の回想で
「自分は祝福されないこどもだった」
「立場のある父親と妾の子どもであるため、父から大事にされなかった」
「自分に欠陥があると感じていて、それは『祝福されなかった』ことが原因である」

「その証拠に、父と正妻の間に生まれた弟は非の打ち所がない人格者である」
「欠陥のある自分に対しても良い感情を向けてくる」
「この差はこども本人の資質ではなく、生まれた環境その後の境遇、『祝福』の有無である」
「存在を最初から認められ、『祝福され』てきた異母弟が人格者なのはそのためである」

という形で登場しました。
「祝福された人間」としての象徴だったのです。

しかし花沢勇作さんは、恵まれた故に無神経な発言を一度してしまい それをきっかけに異母兄に殺されてしまうことになるのですが
誰よりも兄の存在を認め、喜び、祝福していたのです。彼だけは兄の性格や行いを見ても、それを兄のせいにすることなく兄を祝福していたのです。

最終的に花沢勇作の怨霊とも幻覚ともつかぬものは兄とともに奈落の底へ落ちていくように姿を消しましたが、私の愛した花沢勇作その人は誰よりも「祝福」を胸に抱いていたひとでありました。


私の愛した花沢勇作というキャラクターはゴールデンカムイという作品の中で「祝福」を背負って生まれてきて、私の愛する化粧の役割とは「その人すべてを祝福」することだとブレスという作品の中で描かれました。
その漫画のことなど知らないうち、何年も前から私が好んでいた行動に「祝福」という言葉が与えられ、大好きなキャラクターには「祝福」という役割が与えられていました。

別に似たキャラクターを好きになるのは良くあることですが、自分自身も目の前の相手を肯定したり、送り出したりすることに特別一所懸命になることが好きで
自分の意見は全く別で、賛同できるかどうかは別にそれぞれの気持ちや性質、生まれもったものを肯定して尊重することが好きでした。

その行動の果てに好きになったメイクを「祝福」の手段だとする作品に出会い
その果てに好きになったキャラクターが「祝福」の象徴であり
自分の行動も「祝福」に当てはまりかねない、と気づいてゾッとしました。
こんなにブレないことがあるか。

関係ないことですが、とある化粧品メーカーが12ヶ月それぞれをモチーフにした口紅で
私の生まれ月の12月が「メリーポインセチア」でした。祝福……

そんなわけで私のこころ、私の愛するもの 私の愛する生き方が「祝福」かもしれないと気づいたのでした。

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