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いつまでも親がいる~読書記録145~

2020年に宗教学者の島田裕巳氏が書いているものだ。
(出版は2021年)

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ちょっと私の勘違いもあるのだが、昨今の超長寿社会での、なかなか死ねない苦しさ、介護の事などが書かれているのかと思っていたのだが、違った。

そう、そちらは「パラサイトシングル」で有名な山田昌弘先生らの分野なのだ。

宗教学者として、親子の関係を書いたものである。

著者が強調されたことは「主客合一」だ。
この言葉は、京都大学名誉教授であった哲学者・西田幾多郎氏の言葉だ。

主客合一(しゅかくごういつ)とは西田幾多郎によって提唱された哲学の概念。 個々の人間としての主体が客体を認識する場合にそれと合一するようなことを言う。 主客合一となる場合には、人間というのは純粋経験が最も大きくもっとも深く現れた状態ということでもあり、これが愛している状態でもあるわけである。

私が大好きな鎌倉・円覚寺の横田南嶺僧侶も「主客合一」について語られている。

島田裕巳先生は、現代、子供が少なく、長生きする時代であるから、親子が「主客合一」を経験出来るのではないか、と言われている。

かつて、私は、浅尾慶一郎議員の出た高校の神父から「主客交替」という事を教わった。
日曜日のミサで、主人公が自分からイエスキリストに交替するというものだ。
そこがキリスト教的と言うのだろう。

この本には、キリスト教で「父なる神」という呼び方(祈り)をあげていたが、テレビのニュースで流れたビデオにて、統一教会では教祖の事を「真のお父様」と呼んでいたことが思い出された。


勝手な言い分を言えば、いつまでも親がいる状態はどうなのだろう?
この本にも書かれていたが、能の世界で有名な野村万作(野村萬斎の父)は、親が亡くなるまで自由には舞台で出来なかった、と。
伝統の世界ではそうなのだろう。

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野村萬斎の父は昭和6年生まれでまだまだ健在だ。


私の友人は、親の介護で身体を壊し(夜中に何度も起こされると言っていた)、親よりも先に亡くなった人が何人かいる。
これが親子の合一なのだ。妻や自分の健康よりも親の介護を優先させた人が何人もいる。日本人だけだろうか?

又、ネットで最近よく聞く「毒親」という言葉。完璧な人間なぞいないのに、失敗すると親を責める人間が多くなったなと思う。ある程度の年になったら、親から離れて、親なぞ無視して生きたらいい。それが自立だとも思う。



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