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イマジン・ノート~読書記録113~

1998年 人気漫画家・槇村さとる先生の初のエッセイ。
フリーライターである寺田薫さんがインタビュー、編集をしている。



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高校1年生で漫画家デビューしてから、ずっと第一線で活躍されてきた槇村さとる先生。
実は過去に相当な体験があったことをこの本で明かす。
12歳で母親が出ていき、父親からの暴力。それだけならまだしも、12歳の時、寝ている時に父からされた性的虐待。
弟は父と喧嘩し、家を飛び出す。

まさに、そのまんま、ドラマや漫画になりそうな。。。

私とあなたは違う
みんな別々
みんなオリジン
みんな孤独(ひとり)
ひとりで生きてひとりで死んでゆく(本書より)


真実だな。。。

槇村さとる先生にとっては「捨てられた子供」というのが常にテーマだった。
中高生向けのマーガレットを読みながら、平凡な女の子が素敵な王子さまと❤などという、他の漫画とは違うなと思っていた記憶が確かにある。
そうか・・・・

若い頃の槇村さとる先生は、神経過敏で周りの空気を感じ取る、そんな人だった。今は「HSP」とか「私は繊細だからああ」と簡単に自分を位置づける人がいるが、実際に色々な傷を抱えた人の気持ちは本人にしかわからないだろう。

槇村さとる先生は、ある夜、独りで自分の過去と対峙した。12歳の時の父から受けた性的虐待について。
なくしてしまった自尊心。
そうか・・・・私を殺したのは私。「こんなことされる自分は生きる価値のない人間である」という考えは自分で決めてしまったのか、と気づく。
35歳の時にその気づきがあり、新たにやり直し、安定した気分になっていったのだ。

孤独(ひとり)になるのを怖がる人もいるようだが、ひとりで泣けなくて、どうして人の為に泣けるのかと思う。
自分で自分を守って、泣いてやる自分の大切さ。そうやって自分を承認し、承認され、自尊心というものは育っていくのではないだろうか。(本書より)


ただ絵が上手いだけの人なら沢山いるが、漫画家ってやはり凄いな。自分を見つめ、昇華させて。そんなことを思うのだった。

先生の生き方からは、自立する大切さ、楽しく生きることを思い知らされる。

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インタビューされた寺田さんはこの方。


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