日本人の死に時~読書記録85~
2007年発行、医師にして、作家の久坂部羊先生の作品。
こちらは、小説でもエッセイでもなく、読者に問いかけるタイプの本となっている。
1990年代から久坂部先生は在宅医療医として働かれていた。(現在は違う)
在宅医療と言うと、当然、高齢者が多いわけで、働くうえで感じた事を率直に書かれたのが、この本である。
多くの高齢者の死を目にして「長生きは必ずしも望ましくない」と、久坂部先生は感じたそうだ。
私も、僅かの期間で辞めてしまったが、ヘルパーやら老人ホームなどの勤務経験から、「寝たきりで介護が必要な状態でずっと生きていて幸せなのか?」と思ってきた。
そして、久坂部先生には失礼なのだが、そんな日本にしたのは、医者にも責任があるんやないかい!と。
病院も製薬会社も利益を出さないと潰れてしまうから当然なのだろうが、それでええんやろうか?
日本の医療費の多くは、終末期医療に充てられているらしい。
脳死状態で、意識のない人に施す措置。かなりの金額のようだ。
そして、今は「なかなか死ねない時代」なのだ。
これって怖くないか?
現代の医療は進み過ぎではないのか?先生の言われる通りだと思う。
マサチューセッツ州の科学者・カーツワイル博士は「不老不死」を手に入れるばく励まれておられる。
そこまでして生きたいのか?と、私などは思ってしまうのだが。。。
こちらの本に紹介されていた、数人の患者さんのように、
「もう、あっちに行きたい」
が本音であるから。
医療は寿命は延ばしたが、健康寿命をは延ばせない。これが真実だ。
なら、何故長生きしたいのか?
ピンピンコロリのコロリは?
色々と考えさせられる書であった。
ついでに言うと、私が持つ久坂部先生のイメージは、ブラック・ジャックに登場する「ドクターキリコ」なのだ。
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