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ブラウン神父の童心~読書記録387~

ブラウン神父の童心 G・K・チェスタトン (著), 中村保男 (翻訳)


奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモアで、ミステリ史上に燦然と輝くシリーズの第一集。小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔。とても頭が切れるとは思われない風貌のブラウン神父が真相を口にすると、世界の風景は一変する!ブラウン神父初登場の「青い十字架」のほか、大胆なトリックの「見えない男」、あまりに有名な警句で知られる「折れた剣」等12編を収める。
【収録作】
「青い十字架」
「秘密の庭」
「奇妙な足音」
「飛ぶ星」
「見えない男」
「イズレイル・ガウの誉れ」
「狂った形」
「サラディン公の罪」
「神の鉄槌」
「アポロの眼」
「折れた剣」
「三つの兇器」

チェスタトン,G.K.
1874年イギリス生まれ。作家、評論家。逆説と諧謔の大家として知られ、“ブラウン神父”シリーズに代表される短編推理小説は、コナン・ドイルの作品と並んで後世の作家たちに計り知れない影響を与えた。また長編『木曜の男』などに顕著な独特の幻想性により、現在でも熱狂的な読者を獲得している。1936年没
中村/保男
1931年生まれ。東京大学文学部英文科卒。

普通にミステリーとして読んでも面白いのだが、キリスト教の基礎がわかる人なら、もっと深い意味が読み取れると思う。
ブラウン神父が初登場の「青い十字架」にて書かれているが、神父という職業柄、他人の告解を聴く。その経験で培った推理力なのだ、と。
カトリック教会の基本を知っているなら、どういうことなのかわかる。
曽野綾子の「神の汚れた手」では、カトリック教会の神父が告解でストレスになっている話が出て来るが、私の現実に知っている日本人、韓国人神父はブラウン神父のようにはならない。
私見になるが、告解をどう受け取るかは、3パターンかなと、今回のブラウン神父の作品を読んで思ったのだ。
1、その場限りで、サラッと忘れてしまう。
西欧人に多い。あとくされもなく、告解しやすい。
2、真面目に受け止めてしまい、胃を悪くしたり、鬱になったり、教会員との関係が悪くなるなど。
日本人、韓国人の司祭で何人も、こんなタイプに会って来た。
3、人間観察をする
ブラウン神父だけ?

2作目では、なんと!
1作目に登場した刑事が殺人犯であった。
それから、著者はプロテスタントが嫌いなんだろうな、と思う所もあちこちに。長老派教会牧師が殺人犯であったり、犯人とまではいかずとも、プロテスタントに対する嫌みもちらほら。
そんな読み方をするのは私くらいか・・・


「賢い人は葉をどこに隠す?森の中に隠す」
折れた剣の有名なセリフだ。

ドラマ相棒の最終話は、まさにこの話をヒントにしたのだろうな、と思った。
旧き良き名作。それを多くの人が知るきっかけとなったドラマに感謝だ。


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