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イマジン~読書記録136~

『イマジン』は、槇村さとるによる日本の漫画作品。『コーラス』(集英社)1994年10月号から1999年12月号に連載。著名な建築士の母親と、彼女に女手ひとつで育てられてきたOLの母娘関係を中心に、仕事や恋に自分らしさを模索する女性を描いた作品。

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漫画の場合、キャスの朗読で初回出来ないのが本当に辛いところだ。
登場人物の表情であるとか、微妙な背景とか言葉では表現出来ない。

美津子と有羽は、母娘2人暮らし。親密な親子関係だが、それぞれ大人の女性として仕事に恋に、自分の人生を生きる。有羽は、会社の同僚・田中の持つ空気感に心惹かれ、美津子はテレビ局の敏腕ディレクター・本能寺と恋愛関係となる。恋に不慣れな有羽は、自分の想いに正直に田中に思いを告げ、心が通じ合うが、田中は元恋人の貴子と友人関係を続けており、心は穏やかでない。一方、美津子は、本能寺との関係は割り切ったものと考え、駆け引きの恋をしていたが、彼を自分の人生の一部としていくことを考え始める。


槇村さとる先生の作品は、中学生時代からマーガレットで読んでいた。
当時の(今はどうなのかわからないが)マーガレットや少女フレンドなど、ご都合主義と言うか、平凡な女の子が努力もしないでカッコいい男の事結ばれて、なんてのが多かったような気がする。

槇村さとる先生は、マーガレットという中高生向けの雑誌から離れてから本当に自由に描けたんだなという気がしてならない。というか、移ってからの作品の方が好きだ。

で、主人公の母、自立したキャリアウーマンの美津子は槇村さとる先生そのものなんだな、と「イマジン・ノート」を読んで更にわかる。

10代、20代の女の子には、単なる恋愛ものがいいのかもしれないが、これは恋愛ものではない。主人公が自立して生きる。そんな話なのだ。
多くの人との出会い。主人公の優柔不断な恋人よりも、友人やチョイ役の人の方が濃く描かれているのは気のせいだろうか?

仙台の会社のお局様。仕事は出来ず、事実無根の噂話が大好き。仕事以外に打ち込む物もなし。そして、そのオバちゃんをリーダーとして、集っているメンバー。
これって、中高生向けの雑誌でのフワフワした主人公や友人たちのその後?なんて思ったりする。

実際、ボケるまで売れ続ける漫画家というのは、何か確たるテーマがある!と思うのだ。槇村さとる先生はそれは「自立」であった。
苦しみながらも、自立していく主人公。

私としては、会社の中で一匹オオカミ。仕事が出来、芯を持って、仕事以外の趣味に情熱を持った仙台の会社の同僚。阿部さんに好感が持てた。
主人公が財布やカードをすられ、困ってしまった時に助けてくれたのは恋人ではなく阿部さんだったのだ。
阿部さんからも大切な事を教えられる主人公。

とにかく、無駄のない作品だった。

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