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死の影の谷間~読書記録427~

死の影の谷間  ロバート・C. オブライエン (著)  越智 道雄 (翻訳)

放射能汚染をまぬかれた谷間で、たったひとり生き残ったアン。そこにやってきた見知らぬ男の正体は?―少女の目を通して、核戦争後の恐怖を描く傑作ミステリー。待望の改訳新版!1976年エドガー・アラン・ポー賞受賞作。

ロバート・レスリー・キャロル・コンリー(Robert Leslie Carroll Conly、1918年1月11日 - 1973年3月5日)は、ペンネームのロバート・C・オブライエンでよく知られ、アメリカの小説家であり、ナショナル ジオグラフィック誌のジャーナリストであった。彼は 1971 年の児童小説『ミセス・フリスビーと NIMH のネズミ』で最もよく知られており、この小説は 1982 年のアニメーション映画『NIMH の秘密』に改作された。
コンリーは、ニューヨーク州ブルックリンで、裕福なアイルランド系カトリック教徒の家庭の 5 人兄弟の 3 番目として生まれた。音楽と文学に興味を持ったコンリーは、 1935 年にウィリアムズ大学に入学したが、2 年目に退学。その後、彼は「精神崩壊」と呼んだ時期を経験し、ニューヨーク州アルバニーで短期間働いた後、恥を忍んで家族の元に戻った。その後、ジュリアード音楽院でしばらく学ぶが、 1940 年にロチェスター大学で英語の文学士号を取得した。

この作品は、多分、キリスト教、聖書をある程度知らないと理解出来ないかと思う。
今回は、新訳であったが、前の訳では不評であったらしい。それは一概に、作品の至る所に出て来る聖書の言葉やキリスト教的な考え方を抜きに訳していたような気がする。

たといわたしは死の陰の谷を歩むともわざわいを恐れません。
あなたがわたしと共におられるからです。

(詩編23編)

私の勝手な解釈だが、死の影の谷間とは、聖書の詩編から来ているのではないだろうか?

読んでいて怖くなるのだが、惹きつけられ、結局、夜更かししても読み切ってしまった。。。
主人公の少女の献身に対しての科学者である男性の傲慢ぶりなど、腹が立つことも多かったが、そもそも、水爆で人類が滅亡した世界。
何故に、そんな悲劇が起こるのか?その原因は、この科学者の自分勝手な公道を見たらハッキリわかる。自分が助かりたいからと同僚を殺し、その時点では、自分以外に生き残った女性を攻撃する。

第2のエデンなんぞ存在しないのだろう。そんな想いになった小説であった。


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