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おちゃめなパッティ~読書記録249~

あしながおじさん」のウェブスターの著した、とっても愉快で、胸キュンな女学生お転婆物語。1911年に発行。あしながおじさんが1912年に発行なので、その前の作品になる。


「由緒正しく、規律に厳しい寄宿制の女学校に通う、仲良し三人組のお嬢さんたちは、そのストレートな生き方で、いつも学園中に痛快な嵐を巻き起こしていく。
その中で正しさ、優しさを貫いてゆく中で、学園の周辺に存在する人々も巻き込みながら成長してゆく話だ。彼女たちの真っ直ぐさに、浮き彫りにされる社会の歪みも、ウェブスターはさりげなく指摘している。弾む美しい心に洗われる社会は、現代に何が必 要かを著者が教えている。「これこそアメリカ!」という青春小説である。

尚、日本語訳は、1955年に遠藤寿子さん(1971年逝去)が訳したのみで。
今回のこの本は、復刻して欲しい!!のリクエストを受けた復刻版となる。

訳は、現代の一部の方には受け入れがたい面もあるようだ。
だが、それほど違和感もなく楽しく読めたので、受け入れがたかった人は、かなり若い人だろうと思う。

赤毛のアンを新たに現代訳された松本侑子さんのように、ウエブスターの作品も若い人が現代訳をしてくれたらいいのかなとも思ってしまった。無責任で申し訳ございません。

ウエブスター自身は、裕福な恵まれた家で育ち、すぐに作家デビュー出来るような環境にもあったようだ。その点は、「赤毛のアン」の作者・モンゴメリー、「若草物語」のオルコットなどとは違っていたようだ。
作品も、舞台は裕福な子女の集まる女子校の寮で、汚い言葉を使う事を嫌い、礼儀作法を身に着ける、などの学園の方針も出て来る。
主人公のパッティは頭もよく、物おじしない。それは、主人公自身の育ちの良さから来ているのだろうとも思った。
けれども、愉しく読めた。復刊してくださった出版社に感謝したい。


そして、続編のように思えるのだが、ウエブスターの処女作となったのが、パッテイの大学生活を書いたものだ。


アメリカで1903年に発行。
日本では、1967年に内田庶(うちだ ちかし)氏により翻訳され発行さされた。
こちらも、復刊して欲しいとのリクエストを多く受け、復刊となった。

おちゃめなパッティは主人公が高校生の設定ですが、こちらは大学生。
順番が逆になるが、こちらが先に書かれ、ある程度、売れっ子になってから、高校時代のパッティが書かれた。
1967年講談社刊「パティ、カレッジへ行く」改題である。

内田氏が解説で言われているが、文学を通して、その時代を読み取ることが出来るのだと思う。
1900年頃のアメリカは、イギリスから移住してきた人たちが元の国での礼儀作法を引きずっていた頃だ。そんな時代もわかる。

文学というものが、その時代時代の新しい芽を、作者の目で的確につかむものであるとするなら、この作品もそうだし、だからこそ、いまなお読まれているのだと思います。(内田先生)

ウエブスターの生き方も、この作品に現れている、と思うのであった。


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