イイ男?!作家たちが胸襟をひらくとき〜愛読書シリーズ「男は語る」阿川佐和子
こんばんは!本日もおつかれさまです。
ベリーダンサーのShala(シャーラ)です。
その昔、留学していたとき、あまりに日本語の活字に飢えてしまい、それを見かねた知り合いが、一冊1000円ほどした週刊文春を、毎号読み終わる度、まるで野良犬に餌をあげるように(!)「はいよ。」と、くれていました。
ありがたき幸せとばかりに、何度も隅々まで読んだというか、ひたすら文字を貪っていたので、当時借りた小説や、文春を通して読んだ作家さんには、独特の愛着があります。
その1人、阿川佐和子さんのことは、連載「この人に会いたい」で知り、帰国してからも、文春を手に取る癖だけはなかなか抜けずに、長らく読み続けました。
先日、図書館で、「男は語る」〜アガワと12人の男たちが、たまたま目に留まり、目次を見ると心が躍りました。
30年も前の、懐かしい作家たちへの(もちろん、現在も活躍中の方も!)インタビュー、対談を収めた本書が、一度絶版になったあと、とある編集者に見出され、再版を重ねたという...なんとラッキーな。
Amazon 内容紹介より
ある時は心臓を高鳴らせ、ある時はうろたえながら、12人の魅力あふれる男たちの核心にアガワが迫る。阿川佐和子、初めてのインタビュー集。
内容(「BOOK」データベースより)
開高健が「男の値打ち」を、渡辺淳一が「男と女の機微」を、村上龍が「男の好奇心」を、そして阿川弘之が「娘とは」を語る。ある時は心臓を高鳴らせ、ある時はうろたえながら、12人の魅力あふれる男たちの核心にアガワが迫る。『週刊文春』の対談「この人に会いたい」の原点となった、初のインタビュー集。
「昔のインタビューって古く感じるのかな?」と思いましたが、それはすぐに、それぞれの作家の個性を味わう喜びへと変わってゆきました。今はなき作家たちも名を連ねていますが、それがまるで今ここにいるみたいに。
時代を超えて味わう喜び、楽しさというのは確かにあるのだなと、実感しました。
目次
男とは 開高健
父とは 城山三郎
男と女とは 渡辺淳一
男の顔とは 辻井喬
ドラマとは 山田太一
ロマンとは 宮本輝
冒険とは 椎名誠
好奇心とは 村上龍
男の喧嘩とは 影山民夫
幸せとは 遠藤周作
少年とは 野坂昭如
娘とは 阿川弘之
文庫のあとがき
文庫の文庫あとがき
ある時代を想起させる、錚々たる顔ぶれ!
いつか鎌倉の円覚寺を散策していると、偶然、墓地で目に留まった美しいベージュ色の、こぢんまりとした天然石の墓石。これ見よがしではないものの、確実にセンスの良さが放たれているような。よく見ると、それは開高健のお墓でした。
なんてお洒落でステキなんだろう!一体どのような方なのだろうと、強烈な好奇心と、その美意識に対する恋焦がれるような気持ちを覚えましたが(後日導かれた開高健記念館、元のご自宅もまた大変センスよく)、本書は、開高健との対談から始まります。
やはり、おっしゃることも含めて、ものすごく個性的な方でした。あの美しい墓石を選ぶ美意識と心の中で繋がったような、繋がらなかったような。。人というものの奥深さよ。
30年も昔ですから、今の感覚と照らし合わせると、前時代的と感じる発言はやはり色々とありますけれども、それでも、私は大変楽しく読み進めることができました。
作家たちの独特の感性、行動や発言の癖、初々しいインタビュアー。作家阿川弘之のお嬢さんだから、このように気さくに接してくれるのでもあり、また気も遣っているのだなと感じるところも含めて、楽しかったです。
特に、遠藤周作のユーモアと、野坂昭如のおそらくその大部分が特異な出自から来ると思われる、強烈な存在感が、強く印象に残りました。
作家というものは、こうして、生涯出自を背負って、コンプレックスをも武器に変えねばならず、そうして世間と一人対峙するとは、なんと体力精神力の要ることだろうと、改めて思いました。
さらに、「失楽園」などを読むことなくあまり興味もなかったのですが、渡辺淳一の語る男女の機微は、これだけをテーマに抜き出して延々と書きたくなるほど、同意できるものがありました。さすがです。。
これだから、手当たり次第の読書も、それもまたご縁と受け止め、やめることができません。
次は、どのような出会いが降ってくるのかを楽しみにしつつ...
それではまた!!
Amazon 男は語る: アガワと12人の男たち (ちくま文庫)