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第10回 積聚治療を英語で説明してみよう! / 鍼灸師のための必須英語表現

英語総合即戦学校 責任者・講師 鈴木将樹

期刊積聚治療 2021年第1号 掲載

今回は、積聚治療に使う英語表現を治療の流れに合わせて紹介していきたいと思います。

積聚治療(acupuncture core therapy)に興味を持つ鍼灸師の方は海外にも多く、これまで何度もボストンを中心にセミナーを行ってきました。積聚治療は、治療法が体系的にまとめられているほか、東洋の思想に基づく独自の治療法というところが、海外の鍼灸師を惹きつける理由です。東京に海外からの鍼灸師を招いて、セミナーを行ったこともあります。英語のテキストも出版されていますが、全部を英語で読むのは大変だと思いますので、今回はそれを大まかにまとめたものと思ってください。

積聚治療では、精気の虚(deficiency of qi)を補うことを治療の目的としています。「腰が痛いので、対応するツボを治療する」といった治療法ではなく、患者(patient)の主訴(main complaint)が何であれ、根元には精気の虚があり、それを補うことで主訴が改善されていくという考え方です。西洋医学(Western medicine)で例えれば、熱が出たから解熱剤を飲もうということではなく、熱が出た根元的な原因を治療しようという考えです。

具体的な治療手順としては、まず仰向け(face up)で患者さんに寝てもらい、触診(palpation)を行います。触診する中で、痛みがあるところ、硬いところなど異状が認められる部位があれば(主訴を含む)、この部分を指標(reference point)と呼び、治療過程ではこの指標の変化を確認していきます。

積聚治療ではその中でも特に腹部(abdomen)に注目します。接触鍼(contact needling)、脈の調整(pulse adjustment)を経て、まだ残っている痛みや圧痛、違和感のある部分を特に積と呼びます。積が特定されたら、今度は、背部に移り、接触鍼を経て、背部兪穴(back shu points)を治療していきます。背部兪穴の治療の順番は、4種類ありますが、腹部の積がどの部分にあったかで決まります。

ここまでが基本治療(fundamental treatment)となりますが、指標を確認し、更なる治療が必要と判断した場合には、補助治療(supplementary treatment)を行います。補助治療は、鍼の他に、灸(moxibustion)や刺絡(blood letting)を使ったものがあります。補助治療において、どの部位に何を用いて治療するかということに関しては数多くの種類があります。

積聚会の鍼灸師の方は、積聚治療の手順と魅力を英語で簡潔に説明できるようにしておきたいものですね。