伊勢の外宮、ツクヨミさまのことを忘れていないことを示すコトバの不思議

伊勢の神宮の外宮にはトヨウケさまがお祀りされています。アマテラスさまが五十鈴川の河上に鎮座されたときは、ツクヨミさまが一緒だったのにです。

なぜこのようにしたのか? というのは、太陽と月を並べることで、どちらが上か、といった無用な争いを避けるためだろうと。

こうすることで、アマテラスさまが一番で、そこに仕えるトヨウケさま、という上下の関係がはっきりします。で、人々に無用な争いの種を植え付けることが無くなる。

さらに、人々の心をひとつにまとめることができる。きっと、そこまで考えられたのではと。まぁ、私たちが知らないところで、いろいろややこしいことはあったかもですが。

でも、です! こんな扱いになっても、祟ることなく、台与さん(ツクヨミさま)はそのお役目を受け入れられた。すべては、国の、そして民の幸福のため。ああ、なんて慈悲深い方なんだろう・・・。

ただ、外宮にツクヨミさまがお祀りされていた、ということを忘れないためにコトバの不思議があるんですよ。それは・・・。

外宮のコトバの不思議とは? なんぞや??

外宮にお祀りされているのは、豊受大神さまですね。 

「知っとるわ、そんなこと!!」

 ああ、ごめんなさい・・・(^-^;

で、豊受大神さまのまたの名を、大宜都日女命(おおげつひめのみこと)というということが、海部氏系図(勘注系図ともいいます)に書かれているってことを、「豊受大神は台与さん!? ならば、ツクヨミさまは・・・」という記事でお伝えしました。

そして、伊勢神宮で最も大切な所とされている、神道五部書には、大宜都日女命さまは宇迦御魂命(うかのみたまのみこと)さまと同一神であると書かれています。こちらも先の記事でお伝えしました。

ん? 話が長くてわかりにくい? まとめますね。

豊受大神さま=大宜都日女命さま=宇迦御魂命さま。ということです。

このつながりが、コトバの不思議にどうつながるのか? それは、このお三方が登場する順番に並べなおし、ひらがなにすると分かるんです。さっそくやってみましょう。

最初は、大宜都日女命さまです。古事記の「神々の生成」で、大宜津比売として登場します。あと、「穀物の種」にも登場します。こちらでは、大宜津比売・大気都比売として書かれています。

ここ、ポイントです!

次は豊受大神さま。こちらも古事記の「神々の生成」で、豊宇気毘売神という名前で登場。そして、最後は、宇迦御魂命さま。

で、ひらがなにすると、

・おおげつひめ:つ
・とようけおおかみ:よ
・うかのみたまのみこと:み

一文字ずつとっていくと、「つ」「〇」「よ」「み」ってつながります。どうです!ツクヨミってつながるでしょ?

「いや、いや。2文字めが無いし・・・」

そうなんです。

でも、「おおげつひめ」を「大気都比売」と書き、「おおきつひめ」と読み、「きつ」を「つき」とひっくり返すと・・・。2文字めの空白が「き」になり、「つ」「き」「よ」「み」に。

ツクヨミさまは、一般的にはツクヨミ、って呼ばれていますが、お伊勢さんでは、ツキヨミって呼ばれているんですね。あ、そう、私が先日お参りさせていただいた月読神社も、ツクヨミではなく、ツキヨミでした (。・Д・)ゞ

「でも、古事記ができたとき、気をき、と読んでいたの?」

そう。私も最初、どうなんだろうって思いました。で調べてみると、古事記の冒頭で、「夫れ、混元既に凝りて、氣象未だ效れず。(古事記上つ巻 序并はせたり)」と書かれています。ここでは、「氣象」を「きしょう」と読んでいるんですね。ですから、「き」と読むことは間違いでないと。

ただ、不思議なのが、古事記での表記の変化。「神々の生成」では、「大宜津比売」と書かれているのに、「穀物の種」では、「大気都比売」となっていて、スサノオさんに殺されたあと、「大宜津比売」となっているんですね。

なんかおかしくね??

で、私が思うに、これは、「つき」を忘れないためだと。外宮に祀られているのが、豊受さまではなく、ツクヨミさまなんだよということを。年月が流れても、忘れないようにするためだと。

と、いうこと。コトバ遊び、なんて思われたかもですが、いやいや不思議だななんて感じもしませんか?古くは、日本語には言葉に魂がある、って言われていました。うん、言霊ですね。

ちょっとした言葉でも、気持ちを込めれば魂が宿ります。今は、言葉に力が無くなってしまったと言われていますが、伊勢の外宮が創建されたころは、私たちが想像する以上に、はるかに言葉に力があったはず。

だから、こんな言葉遊びのように感じることにも、何か意味があったのでは? と思うのです。

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