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Vol.11_相棒はタオルケット

そのタオルケットと出会ったのは私が生まれた時。

0歳の体を包み込むタオルケットは少しずっしりとし、外気の寒さからしっかりと守ってくれました。

現在はというと、繊維がボロボロになり生地が薄くなっています。どこか引っ掛けてしまえば一気にびりびりと引き裂かれるくらい。ですが、今でも私を包み込み纏ってくれています。

実は少し前に、母から「このタオルケット、もうおしまいだね」と言われたのです。「いやいや、まだ全然大丈夫だよ」とボロボロのタオルケットを見せながら、心の中では「こんなに脆くなっていたのか」と驚き、見て見ぬフリをしている自分に気付く。

このタオルケットは私にとっては家族同然。
おかしいと思われるから人には言えない秘密ではあるのですが。

小さい頃から二十数年、春も夏も秋も冬もずっと一緒。
ただ、タオルケットとして体を守ってくれていただけじゃないんです。

風邪をひいて高熱を出した時の汗も、夏の暑い日の汗も、悔しくて流した涙も、辛くて悲しくて流した涙も、全部全部。
変わらない優しさと温かさで、いつも体も心も包み込んでくれた。

タオルケットを頭まで被って、息をひそめて涙を拭った時もたくさんありました。

このタオルケットは私の全てを知っているのですよね。もしかしたら父や母、妹よりも素の私を知っているかもしれない。


だから、そんな簡単にボロボロだから捨てようなんて思えないんです。
タオルケットの匂いを嗅いで、心が落ち着いたり、安心できたり。懐かしい気持ちになったり、思い出がふと浮かんできたり。


タオルケットとして使うと、いつ破けてもおかしくない状態なので最近は畳んで枕の隣に置いています。
いつか捨てられちゃうのかなと思いながら。

もしも、このタオルケットと話せたなら
心から「ありがとう」と言いたいです。27歳の私もまだまだ子どもで、弱くて、昔と何も変わっていないのだけれど、あの頃から少しは成長したかな? タオルケットが居なくてもちゃんとやっていけるかな? そんな気持ちでいっぱい。

物にも人にも、いつかは終わりが来ます。
別れるというのは儚くて悲しいですが、数え切れないほどの私たちだけの思い出が残るのですね。
限界がきて捨てられてしまうその時まで、タオルケットとの素敵な思い出を更新し続けたいです!

こんな話、恥ずかしくて本当は秘めておきたかったのですが、どうしても捨てたくないからこの想いも残しておきたかったのです。

どうか、1日でも長く大切な物たちと過ごせますように😌

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