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かっこいい女になりたかったけどって話




幼い頃からかっこいい女に憧れていた。


最初は幼稚園児の頃に観た「ごくせん」のやんくみだった。


それから時を経て小学生になり、もはや人生のバイブルと化した「最後から二番目の恋」に出会うわけだが、小泉今日子さん演じる主人公、吉野千明もまた男前な女性であった。

そうなれば必然的にかっこいい女に憧れてしまうのは仕方あるまい。
そうして、無意識に偽りの姉御肌でこれまでやってきたのである。

しかし、私自身はというと、人付き合いは苦手で割と根暗という、憧れからは対極のような性格だ。
それに気が付いてしまったのである。

幼い頃から努めて姉御肌であったために、周囲の評価は望んだものだったが、無意識のうちに作り上げたキャラクターと、それとは対極にある本心の乖離が進んでしまっていた。

高校生の頃にそれに気付いてからは、何事にも無気力になってしまった。
ある種の燃え尽き症候群のようなものだろうか。
幼い頃から唯一、一貫していた目標が途絶えてしまったのだからショック極まりなかったのだ。

何をするにもやる気が起こらなくて、ほぼ惰性で前述の人生のバイブルを見返してみた。
その時に観た「最後から二番目の恋」で印象に残ったのは、千明のかっこよさだけじゃなくて、些細な事で傷付いたり、悩んだりする姿であった。

その時に、完璧じゃなくていいんだ。と思った。
そして、5歳そこらで姉御肌を意識していたのなら、もう立派なアイデンティティの1つなんじゃないかと気付かせてくれた。


やっぱり、救ってくれたのはかっこいい女であった。

だから、私はこれからも姉御肌であり続けたいと思うっていう話。

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