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【答辞】"コロナ世代"が大学4年間を振り返ってみた


答辞


うららかな春の日差しのもと

私たち37名は大学を卒業します。

思い返せば、私たちの入学式は、得体の知れない病に世間が怯えるなか中止となりました。

公の場で学長に入学を許可されぬまま、私たちは4年間をこの学び舎で過ごし、本日卒業を迎えることとなりました。

何かとできないことばかりが目立ってしまうなか、私たちは置かれた環境でしか達成し得なかったことを成し遂げてきました。


4年間の出来事や思い出を振り返ってみたいと思います。

誰の顔も知らず、孤独に耐えながらひたすらパソコンに向かい課題に取り組んだ1年生。先輩がzoomで開いてくれた同学年との顔合わせ。やっと仲間の顔を見ることができた喜びの一方で、画面上ではコミュニケーションがうまく取れず、存在が遠く感じられました。

秋学期にはようやく一つの授業が対面実施となり、半年の我慢期間を経て仲間と顔を合わせることができました。

8割の授業が対面実施となった2年生。
1年間大学に通えなかった反動から、授業がなくても大学のフリースペースに入り浸った私たちは、教授から
「外行って遊べよ」
と言われるほどでした。

初めて集合写真を撮れたのは2年生の初めの必修の授業の日でした。私たちのアルバムには1年生の時の写真がありません。
それを挽回するかのように、私たちは色々なところに出かけて遊び、写真に残しました。
教壇に立った時、とても子どもたちには見せられない写真や語れない失敗もたくさんあります。それもまた思い出です。

1年目に毎授業毎時間課題が出るのが当たり前だった私たちは、リモートと対面のギャップを実感しました。しかし1年目に鍛えた「誰にも頼らず履修登録をする力」「大量の課題をこなすことへの免疫」を武器に、「優秀な学年だ」と先生方に可愛がっていただき、お利口な学年の称号を獲得することとなりました。

ゼミ活動が始まった3年生。
一気にそれぞれのゼミでの活動が増えた3年生。必修の授業も減り、みんなで顔を合わせる機会も減りました。
私たちはサークルに入会するにもリモート説明会を経なくてはいけないハードルの高さから、その多くがサークル活動に参加していませんでした。
そのため、大学に来たら会うのは専修の友達でした。そのこともあってか、他の学年よりも仲が良く、集まっては飲み会が開催されました。
宴会部長のYちゃんTくん、あなたたちのおかげで私たちは集まって飲む機会を得、その度に仲を深めることができました。感謝しています。

実習や教員採用試験で忙しかった4年生。
ほとんどが夏に試験を控え勉強するなか、教育実習が行われました。3週間友達に会えず必死に激務に耐える期間。それを乗り越えたのも持ち前の孤独を生き抜く力と根性のおかげだったのかもしれません。
試験の面接で聞かれる「ガクチカ」の内容に悩む人もたくさんいました。

私は試験に合格することができなかったけれど、そんな時でも無理に元気づけず慰めもせず遊びに誘ってくれた仲間に救われました。心の底から居心地の良さを感じた瞬間でした。感謝してもしきれません。

私は、私たちは、たくさんの方に支えられて学生生活を送ることができました。

イレギュラーと言われた私たちの学年をいつも気にかけ見守ってくださった先生方。
正直この授業どうなんだ?と言いたくなるような授業や発言の数々は水に流します。私たちは先生方に恵まれました。やりたいと言った企画を叶えてくれ、歩いて日光街道を踏破するのを実現させてくれたり、休みの日にも関わらずゼミ対抗運動会に足を運んでくれたり、普段のゼミ活動や研究のみにとどまらず多くの時間を私たちに割いてくださいました。どの大学を探しても、専修をあげてこんなにも学生の近くにいてくれた先生方はそういないと思います。

イレギュラーな学生生活を心配しながらも1番近くで支えてくれた家族。
大学に通えないという愚痴も課題に負けそうな時の弱音も全て受け止めてくれました。
もう大学生なんだから自立しなきゃと思う気持ちはありつつ、やっぱり家族に甘えて頼ってしまいました。学位記を受け取った今、家族のみんながいなかったらどこかで折れていたかもしれない、と改めて家族のありがたさ、偉大さを感じ、これから親孝行をしていかなければならないと気が引き締まる思いです。4年間支えてくれて本当にありがとう。

何より、4年間の学びをともにした36人の仲間たち。
誰1人として似ている人がおらず、系統を括ることもできないほど個性が爆発していた私たちは、時にはぶつかりながら自然とお互いを認め合うことができました。私は、仲良しこよしで立場を選ばずに、物事によって同じ立場に立つ人が変わるこの学年の雰囲気が大好きでした。そのような人が集まるからこそ、自分の主張をすることができたし、人の意見に耳を傾けることができました。たった1クラス分しかいない小さなコミュニティですが、だからこそ尚更とても貴重な仲間たちです。

私たちはこれからそれぞれの道を歩みます。
各地に散らばっても、この4年間の経験を糧に頑張っていきましょう。
行き詰まっても大丈夫。LINEでメッセージを送ればひとたび、みんながどうしたどうしたと集まってくるでしょう。直接は会えないかもしれません。でも思い出してください。私たちは顔も見えぬところからスタートしたのです。離れていても集まれることを知っています。それが私たちの強みでしょう。
たくさんの経験と思い出を胸に、みなさんのご活躍を祈り、答辞といたします。

しゃけ

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