#204 「悪い円安」って何?

2023年上半期の為替レートは1ドル=130円~145円あたりを推移している。
2010年代に1ドル=70円台を経験した30代以上の世代からすると、とてつもない円安である。
逆に、80年代の1ドル=200円代の時代を経験した50代以上の世代からするとまだまだ円高なのかもしれない。

いずれにせよ、現在の為替レートはバブル期以来の円安になっている。
教科書的には、円安だと輸出がさかんになるので加工貿易で製品を輸出している日本にとって円安は「良いこと」のはずである。

しかし、現在の円安はしきりに「悪い円安」と言われ、あまり歓迎されていない。「悪い円安」とは一体どういうことなのだろうか。
そもそも、円安のメリットとは輸出が増加する(であろう)ことである。円安のデメリットとは、輸入品の価格が上がり、企業や家計を圧迫することである。メリットとデメリットを比べた時に、メリットが強く出ている状況を「良い円安」、デメリットが強く出ている状況を「悪い円安」と言う。

現在は、ウクライナ戦争の影響で穀物や原油価格が高騰していることも相まって、円安により輸入品の価格が高騰し、深刻な物価高となっているため、デメリットが強く出ている状況=悪い円安と言われることが多い。
また、工場の海外移転などで産業の空洞化が進み、かつてほど輸出産業が円安の恩恵をうけることがなくなったということも悪い円安の要因となっている。

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【参考】


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