#32 ペストと宗教改革

ペストは、ネズミなどの小動物からノミを介して人間に感染する伝染病である。感染すると、リンパ節の腫れ、高熱などの後、皮膚に黒い斑点が出て死に至ることから「黒死病」と呼ばれて恐れられた。

ペストが大流行したのが13世紀の中世ヨーロッパで、推計人口1億人のうち、4分の1から3分の1が死亡したと言われている。
ペストの流行下で、人々は教会で祈りを捧げたものの一向に流行は収まらず、次第にカトリック教会への信頼が低下していった。かわりに、伝染病は神の罰だという考え方が広まり、教会に頼るのではなく、キリスト教本来の禁欲的な生活を送ろうという風潮が高まることになる。

こうした考え方は免罪符の販売への批判や活版印刷による聖書の普及と相まって宗教改革を推し進める原動力の1つとなった。


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