#8 勝海舟の江戸大火計画

勝海舟が西郷隆盛と交渉を行って江戸城の無血開城を実現したというのは教科書に載っている。勝海舟は西南戦争後、西郷隆盛の名誉回復に努めており、このことからも勝海舟と西郷隆盛の特別な関係が分かる。

しかし、無血開城の交渉において、勝海舟は失敗したときの抗戦のシナリオを用意していた。それが「江戸焦土作戦」である。焦土作戦とは、攻撃側に奪われる土地のインフラを自ら破壊して、攻撃側にメリットを与えないという作戦である。勝海舟は、新政府軍が江戸に侵攻してきた場合、江戸の住民を避難させ、町を焼き払う計画を建てていたという。ナポレオンに侵攻されたロシアがモスクワを焼き払った事例を参考にしたらしい。数々の大火に見舞われてきた江戸の歴史を顧みれば、もし実行されていた場合の被害は想像を絶するものである。

後年の勝海舟の冗談という説もあるが、いざという時の策を考えていたからこそ、堂々とした態度で交渉に臨めたのではないかと言われている。


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