#174 リアス海岸はどのようにできた?

岬と入江が繰り返すギザギザの海岸線となるリアス海岸はどのようにしてつくられたのか。
リアス海岸の「リア」とはスペイン語で「入り江」をあらわし、「ス」は複数形をあらわしている。つまり、たくさんの入り江がならんでいるという地形のことをあらわしている。

リアス海岸にみられる入り江は、「溺れ谷」とも呼ばれ、河川が削った谷に陸地が沈降したり、海水面が上昇することで海水が流れ込むことで生まれたものである。

Flood Map を使って海水面を数十メートル上昇させてみると、日本のいたるところにリアス海岸がみられるためイメージがつきやすい。

リアス海岸は、波が穏やかで水深が深いため、古くから港として利用されることが多く、近年ではかきやわかめ、真珠などの養殖がさかんである。しかし、陸地の移動は不便で、海岸線に沿って道路をつくるか、トンネルを掘る必要がでてくる。また、入り江の奥にいくにしたがって容積が小さくなるリアス海岸では、津波の高さが高くなりやすく、10階建てのビルを超える高さの津波が襲うこともある。

リアス海岸と似た地形に「フィヨルド」がある。フィヨルドも沈水海岸の一種だが、氷河がつくったU字谷に海水が流れ込んでできた地形で、海岸線としてはリアス海岸と似ているが、成り立ちが異なっている。

ちなみに、リアス海岸はかつては「リアス式海岸」と表記されていた。教科書でもリアス式海岸の記述が当たり前だったのだが、そもそも「リアス」という言葉に複数の入り江が連続しているという意味があるため、学術用語としては「式」をつける必要はないというのが統一見解となり、平成20年ごろ(2000年代ごろ)から「リアス海岸」の名称が一般的になっていった。

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【参考】


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