第1 設問1 1. 攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなけ ればならないのが原則であり(156条)、時機に遅れた攻撃防御方法は却下さ れる(157条)。 2. 157条の趣旨は、不熱心な訴訟追行を行う者への制裁という点にあるこ とから、「時機に遅れた」とは、もっと早い時機に提出しえたことを言 い、また、「故意」「過失」は、そのことを知っていた、若しくは注意義 務違反により知らなかったことを意味すると解する。 本
第1 設問1(1) 1. 甲社による本件株式の買取は、結果的に分配可能額800万円であったの に対して、本件株式の買取総額1,000万円であったことから財源規制に反し ていたといえる(461条1項二号、156条)。 この場合に、本件買取りは有効になるか、明文無く問題となる。 2. 461条1項二号が財源規制を定めている出資は、会社財産の不当な流出を 防ぐことで会社債権者を保護し、円滑な取引を実現できるようにするため である。 そうする
第1 設問1(1) 1. 遺言の効力は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる(985条1項)。そ して、失踪宣告により死亡したものとみなされる(31条)。 本問では、Aは令和3年4月1日に船舶火災によるタンカーの沈没という 「危難」から、その1年後の令和4年4月1日において生死が明らかでなかっ たことから(30条2項)、「危難が去った時」であるタンカーが沈没した令和 3年4月1日に死亡したものとみなされる。 そのため、Aの遺言の効力により、乙土地はCが相続
第1. 設問1 (1) Aがガードレールに衝突する事故をおこした後に本件車両を放置して 逃げ去っていることから、その車両内にあったフェリーのチケットは 「被疑者」が「遺留した物」にあたり、領置として押収することができ る(刑訴法221条1項)。 本件では、Aは車両を放置して逃げ去っている以上、その車両の中に ある物について管理処分権を放棄したと考えることができるため、Aの 意思に反して重要な利益を侵害する行為とは言えず、強制処分たる差押
第1 設問1 (1) 所有権に基づく返還請求権としての建物収去および土地明渡請求権 1 個 (2) YはXに本件建物を収去し本件土地を明渡せ (3) AがYに本件建物の所有権を現物出資した Yが本件建物を所有し本件土地を占有している Xが本件土地を所有している (4) AはXから、令和2年7月1日、本件土地を、賃料月額10万円を毎月末日に 翌月分払いとし、期間30年で借り受けた。 YはAから、令和5年3月17日、本件土地を、賃料月額10万
第1 設問(1) 1 A社がBに支払った年俸は、一般管理費として損金に算入されるのが原則 である(法人税法22条3項二号)。 2 もっとも、Bは、C研究所の所長としてA社経営陣の経営戦略上の指示に 従い、C研究所の運営を広範な裁量を持って行い、C研究所がA社において 重要な役割として位置付けられていると思われることからも、Cは経営の 一角を担っていると評価でき「経営に従事しているもの」(法人税施行令 7条1項)として、「役員」にあたる。 そう
第1 設問1 1. 317条は事実の認定は証拠によると規定しており、適式な証拠調べを経 た証拠能力ある証拠によることが規定されている。 間接事実とは、要証事実の存否の判断に役立つ事実であるところ、証拠 と同様の機能を有することから、事実認定に用いるためには証拠能力があ ることが必要となる。 2. まず、事件②は、事件①と、同じ甲が行っていること及び犯行態様にお いて共通点があることから、最小限度の証明力があると言え、自然的関連 性が認め
第1 甲の罪責 1. (1) 本件ケースを自己のズボンのポケットに入れた行為につき窃盗罪 (235条)が成立するか検討する。 (2) 「窃取」とは、他者が占有する物を奪取する行為であるところ、本 件においてAに占有が認められるか。占有の意思と占有の事実が認め られるかにつき検討する。 確かに、甲が本件ケースを拾い上げたのはAがケースを落としてか ら約1分後であり時間的に近接している。 しかし、その時点で第1現場から約1
第1 設問1 1. 取消訴訟における原告適格は「法律上の利益を有する者」に認められる (行訴法9条1項)ところ、Xは以下の通り主張するべきである。 2. 農地法5条2項は、「その他の災害を発生させるおそれがある」場合、 「農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められ る場合」と規定しており、造成工事を行うような場合に生じうる不利益か らの保護を規定している。 そして、同規定が守られないと、造成工事を行うような場合、
第1 設問(1) 1. A町内会が祭事挙行費を支出することは「目的の範囲内」(地方自治法 260条の2)として可能か。 A町内会に人権が認められるのか問題となるが、町内会も社会的に実在 する重要な存在であり、またその人権は構成員に対する人権保障にもなる ことから性質上可能な限り人権が認められる(判例に同旨)。 本問では、A町内会が祭事挙行費を支出する自由は、宗教的行為として 信教の自由(20条1項)により保障されるものであ